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王都編 第3説

少し遅くなりました

「ところでアナタ?彼女に『アレ』伝えなくていいの?」


俺より少し前でシャルノと会話をしていたアリーシャが俺の方に振り向いて聞いてくる。

確かに。そのままプロポーズしてしまったが彼女にはまだ俺がヴァンパイアであることや不死なこと俺の妻になるなら妻も不死になってしまうことや屋敷のことなど色々と伝えなくてはならないのを後に回してしまった。


「そうだな。大事なことだし、ちゃんと伝えないとな。・・・・シャルノちょっといいか?」

「うん?なんだ?」


赤く伸びた髪が振り向くときに少し揺れる。俺の居た前の世界なら間違いなく高嶺の花のような存在だ。そんな彼女が今は俺の奥さんなんだ。アリーシャとシャルノ、こんなに美人な妻を二人も貰えたこと、この世界に連れてきてくれたウェイスさんに感謝しないとな


「順番が滅茶苦茶になったけど実は俺の妻になってくれるのは嬉しいんだけど伝えなくちゃいけないことがあるんだ」

「ふむ。それは今、ここでは言えないことなのか?」


俺は軽く周りを見渡してみると前方には彼女の部下たちが捕まっていた女性たちを護衛しながら歩いている。多少の距離が開いているとは言えさすがにここでは言えそうにない


「すまないな。ここじゃあさすがに言えない。出来れば後で時間を貰えないか?」

「わかった。なら、今回のことを報告済し終えた後に赴こう。どこに向かえばいいだろうか?」

「そうだな・・・宿とか決めていないけど宿屋で待っていようと思う。どこかお勧めの宿とかあると助かるんだけど」

「よし、それなら私のお勧めの宿にしよう。多少値が張るが大丈夫か?」

「あぁ、値段とかはあまり気にしなくていい」

「わかった。ならば、私の部下を一人つけよう。伝えておくから案内してもらってくれ」

「了解」


言い終えると彼女は部下の元へ走って行き、少し経ってから案内役を連れて戻ってきた。

案内役に選ばれた子は先程、一番最初に剣を抜こうとした子だった。


「彼女の名前はソーナと言ってな。先程の非礼の詫びも兼ねて案内したいそうだ」


紹介された女の子はやや釣り目でキツイ印象を受けるがヘルムを脱いだ彼女はサイドテールにした金色の髪がよく似合っていて歳は16くらいだろうか、もう少し年齢を重ねてアリーシャやシャルノくらいの年齢になったならば恐らく並ぶくらいの美人に育つのだろうなという感じだ


「先程は大変失礼しました。隊長より紹介されましたソーナと申します。宿までの案内役はお任せ下さい」

「いえいえ。先程のことはお互いに忘れましょう。私はガロンと言います。」

「妻のアリーシャと申します」

「ありがとうございます。それでは、街につきましたらそのまま宿へとご案内させて頂こうと思いますが何か用事などはございますか?」


俺たちは何かあったか顔を見合わせるが特に思い当たることがなかった。いや、ひとつあったか


「すみません一つだけ。アルマスルから来た御者の人がどこに滞在してるかわかりますか?無事であることを伝えたいのですが」

「あぁ、それでしたら門兵の休憩所の所にいると思います。確か門で待ってると言ってましたので」

「そうですか。なら無事だったことだけ伝えますので少し待っていてもらえますか?」

「わかりました」


その後、軽く街の中の施設の場所を聞きながら進んで行くと王都が見えた。

まだ少し離れているはずなのに城壁がかなり高くそして横にもかなり広い。さすがは王都と呼ばれるだけのことはあるという感じだ。

感嘆の声をあげながらいるとシャルノが横に並びながら


「王都の守りは何も目の前に見える高い城壁だけではないんだ」

「へぇ?」

「物理結界、魔法結界が何重にも張られているのとこの王都の入り口の反対は大きな川が流れていてそこと繋がっているんだ。おかげで水の都なんて別名までついているくらいだ」


そうだった。俺がプレイしてた時も確か水の王国や水の都なんて名前がついていたことを思い出した。そしてその水は大きな川の名前は確かジュラス川だったか。そしてその川の先の海には水龍が住んでいたはずだ。

俺がやってたたそオンだと確か世界に8龍それぞれ「水龍」「土龍」「風龍」「火龍」「森龍」「空龍」「光龍」「闇龍」が居たはずだ。ゲームだと確かそれぞれからクエストがあって成功したら素材くれたんだったな。こっちでも8龍なのかはわからないけどいるなら久しぶりにクエスト受けたいな等と考えてシャルノに聞いてみることにした


「なぁシャルノ、川の先には何があるんだ?」

「このジュラス川の先には8龍様の中の水龍様が住んでいる海があるぞ」


どうだ!と言わんばかりに胸を張るシャルノが見てくる。俺はそれを聞き、やっぱりいるのかと嬉しくなり教えてくれたシャルノの髪を優しく撫でた


「な、ななななんだ?いきなりそんな・・・こんな所でするつもりなのか?」

「いやいやいや、感謝の気持ちを込めて撫でただけだから!」

「・・・そうか?無理してないか?したいのであれば私は受け入れるぞ」

「そういったプレイが好きなら考えなくもないけど、その前に俺の話を聞いてからにしてくれ」

「わかった。なるべく早く済ませてくる。あぁ、そうだとも、誰にも私は止められんぞ・・・ふふふ」


なんだか変に焚き付けてしまったようだけどもちゃんと仕事してくれることを祈ろう。

そんな様子を横目で見ながら門のところに行くと御者の人と冒険者パーティーの人たちが門兵と一緒に立って待っていてくれた。


「お客さん!」

「無事だったか!」


俺の姿を確認した御者の人と冒険者パーティーの人たちが駆け寄ってくる。

ここまで心配してくれているとは思っても見なかったために少し困惑してしまった


「良かった。本当に良かった・・・」

「え、えぇ。なんとか無事でした。こう見えても私も剣に覚えがありますし逃げ足は早いんです」


軽く冗談を交えながら御者の人や冒険者の人たちと軽く話し王都の中へ入っていく。

彼らはこれから商業ギルドへ行くと行って俺たちと別れた。最後に何か困ったことがあったら王都商業ギルドのジャンという男を尋ねてくれと言われた。恐らく彼の名前だろう

そこから俺、アリーシャ、ソーナは目的である宿へ向かって歩いていく。日が沈む前ということもあってか出店のほとんどが後片付けを始め今日の営業の終了札をかけている。明日は王都を見て回ろうと思っているので店は明日のお楽しみにしよう。

そして出店が立ち並ぶ通りを抜けて周りの街並みが変わっていった。気持ち先程の立ち並んでいた家々より裕福な感じを思わせる場所だ。


「この辺りは、商業ギルドで活動する方たちや冒険者で銀カード以上の持ち家などが並んでいる場所ですね」

「なるほど。王都で腰を据えて活動するならこのくらいの家は持てるようになるんですね」

「そうですね。銀以上でしたら報酬額もかなり上がるらしいですし金以上で安定しているなら上層区に住むこともできます」


なるほどこれ以上にまだ上層区とやらがあるのか。だが、俺には自分の屋敷があるためにそれ以上の土地を持つのは少しだけ引ける。狭量だとは自分でも思うがやはり愛着というのがあるのだ


「と、ここです」


そういってソーナは立ち止まった。そこには周りより一回りも二周りも大きい所建物が建っていた。

旅館。そう、俺の世界にあった旅館に似たような作りの建物がそこにはあった。

まさか、旅館があるとは思ってみなかった俺は驚愕していたがそれを見たソーナは大きい建物であることに俺が驚愕しているのだと思っているのだろう


「初めてみる人たちはガロンさんと同じような顔をなさいます。建物も大きいですがサービスだってすごいんですよ?」

「あ、あぁ」

「アナタ?」

「大丈夫だ。少しビックリしただけだから」

「そう?ならいいけど」

「では、中へ行きましょう。部屋の番号を聞きましたら私は隊長にお伝えしにいきま「その必要はなくなったぞ」え?」

「ふふふ。宿はわかっていたからな全速力でこちらまできた!」

「・・・報告はどうしたんだ?」

「そんなものすぐに終わらせたさ。ちょうど上司がいたのでな概要と後ほど部下がアジトを確認し終えたら戻ってくるからそちらから場所や状況は聞いてくれと言ってきた」


いいのかそれで・・・俺は、顔も知らない上司に対して謝罪の念を送っておくことにした。その時、部下のおざなりな報告に頭を悩ませていた上司になぜか謝罪の念が届いていたが今はまったく関係ない。


「隊長・・・・ちゃんと報告してくださいよ・・・」

「とは言っても私の報告とあとはアジトに向かった別働隊での確認さえ取れればいいんだ。別に大丈夫さ」

「はぁ・・・捕まっていた人たちのこととか色々あるでしょう」

「あぁ、それは書類に書いて渡している。今日はもう遅いから宿舎に泊まってもらって明日には身元確認を踏まえて帰ってもらう手筈だ」

「ならいいです。それでは皆さん。私はこれで失礼します。隊長をこれからよろしくお願いします」


ソーナは綺麗にお辞儀をし騎士団へと戻って行った

それを見送り俺は二人に顔を向け


「さて、では部屋を取るとするか」

「ええ、そうね」

「うむ」


飯が美味いといいなぁ等と考えながら旅館の受付まで向かっていった


「いらっしゃいませ。ご宿泊ですか?」

「えぇ、突然ではありますが3人で泊まれる部屋は空いていますか?」

「申し訳ございません。生憎、当館は只今満室でして・・・最上級の部屋なら空いておりますが・・・」


最上級しか空いていないのか・・・泊まれないことはないのだが最上級となると予想以上の出費になるな

諦めて別を探すかと思案しているとシャルノが横に並んできた


「ここは私が出そう。すまないが最上級で構わないから部屋を取ってくれないか?」


そう言って彼女は金貨10枚をフロントに渡した


「これはシャルノ様。承りました。お食事などは如何なさいましょうか」

「食事は部屋で取ることにする。それで構わないか?」

「あぁ、俺は構わない」

「私も構わないわ」

「よし、なら後で使いの者を寄越してくれ」

「畏まりました。では、よい日を」



そう言ってフロントの男は部屋の鍵を渡し俺たちが見えなくなるまで頭を下げていた。


「人生初の最上級部屋か・・・楽しみだ!」

「ん?そうなのか?私は何度か利用しているぞ。部屋が広くて落ち着けるいい部屋だよ」

「私もそんなお部屋に泊まるなんて初めてだから少し緊張するわね」

「そうだシャルノ。宿泊費だけどフロントではあぁ言ったけど部屋についたら渡すよ」


ここで俺が出さずに彼女に甘えるなんてことはしたくない。プライドがあるんです男のですから


「そうか?私としては別に構わなかったのだが」

「いやいや、俺のプライドが許さないからここは出させてくれ」

「ふふふ。そうか、なら甘えさせてもらおう。あと、甘えるついでに腕を組んでもいいか?」

「あぁ、構わないよ。エスコートしましょうお姫様」

「アナタ。私を除け者にしないでね?」

「わかってるよアリーシャ。ほら」

「ふふっ。ありがとう」


両手に華状態で俺は最上級部屋のあるところまで歩いて向かい扉の前までやってきた。


「ここが、最上級」


ごくり。と喉が鳴る。緊張である。

一呼吸してその扉を開けるとそこには広々とした空間が広がっていた。天井にはシャンデリアのようなものがあり部屋の中だというのにバーのようなカウンター席にお酒の類がズラリと並んで置いてある。

ベッドもキングサイズのベットが置いてあり一国の王の部屋のような感じになっている。


「さて、どうする?先に食事をするか?」

「そうだな。話というのは長くなるのだろう?ならば先に食事にしよう」

「いや、長くはないんだが少し複雑でね。あとシャルノの気持ち次第って所だ」

「今一要領を得ないがわかった」

「アリーシャもそれでいいか?」

「えぇ。私は問題ないわ」


というわけで食事を先にとることに決まり周りを見渡してあれこれ話していると使いの者がやってきたので食事を持ってきてもらい食べることにした。

出された料理はなんだかすごく高級なんだろうなという感じな食材尽くしだった。川も近いということでか魚料理なんかもあったりして個人的にすごく満足の行く料理となっていた。

そして食事が終わりアリーシャが食後の飲み物を出してくれて一息つく。


「じゃぁ・・・どこから話そうか。とりあえずまず最初に、俺は人間じゃないんだ」

「ん?人間じゃない?人間以外の種族ってことか?独特の気配も姿もしていないぞ?」

「あぁ、それは俺がこの世界の人間じゃないってことも絡んでる」

「なに?」

「実際に見るのが早いな」


言うが早いと思い俺はヴァンパイア状態になる。

背中には大きな翼。見えはしていないが口の中では普通の人間より少し長い犬歯。そして目はルビーの様に紅くそして黒い眼


「こんな感じだ」

「・・・驚いた」

「・・・・・え?それだけ?」

「ん?まぁ、さすがにいきなり翼が生えたりするビックリはしたが」

「えぇ・・・」

「伊達に騎士団なんてやっていないし魔物なんかも相手にすることが多い職業だからな。それに中央国や魔国にもたくさんいるからな」


確かに、ここはさすがは軍人だと思えるところだった。


「だけど、それだけではないのだろう?」

「あぁ、ヴァンパイアでもあるんだけどさっきも言った様に俺は元々はこの世界の人間じゃないんだ。いわゆる転生に近い状態だ」

「つまり、ガロンは異世界人でヴァンパイアと言うのか?」

「そうだな。あとはその元居た世界でこの世界に良く似たゲームをプレイしていたんだけど途中で寝てしまって気がついたら神様と対面してゲームで遊んでたキャラをそのまま俺はもらってこの世界に転生してきたってわけだ」


彼女は俺の言葉を一言一句聞き漏らさないように耳を傾けていた。


「で、ここからなんだが、俺は死ぬことがない。所謂、不死ってやつだな。で、俺の花嫁や契約する眷属もみんな不死になる。つまり死ねない身体になってしまうんだ」


それを聞いてシャルノは少し考えているのか口に手をあて目を瞑っている。

不死。それは人間からすれば恐らく喉から手が出るほど欲しいかも知れないが死ねない身体というのは想像以上に辛いものがあると俺は思う。俺は好きでこの身体になったし最初から強い気持ちは変わらない。アリーシャも俺の告白を聞いても尚、一緒に居たいと言ってくれた。でも、彼女はどうだろう?拒否されるかもしれない。そうなったら・・・と考えたら胸がチクリと痛んだ。

はは、俺はすでに彼女を手放したくなくなっているのか。でも、彼女がもし人間であることを選んだのなら俺は、きっぱりと諦めよう。自分勝手になりたいわけではないのだから

しばらくそうして考えていた彼女はゆっくりと目を開け俺を見据えながら


「あの立ち合いでも言ったことを曲げるつもりはない。あぁそうだ。私は君が好きだ。欲しくてたまらない。言っただろう?私のすべてはお前のものだ。不死?その程度上等さ

ガロンと一緒にずっと居られるのならばそれくらいなんてことはない。だから・・・・私をお前のものにしてくれ」


まっすぐに彼女は俺に思いをぶつけてくる。ならば俺も応えよう


「不死をその程度とは、恐れ入ったよ。でも、シャルノらしいな」

「こんな女は嫌いか?」

「それこそありえないな。あぁ、あぁ、俺も君が欲しくて堪らないし俺だけの女だ

誰にも渡さない。渡すなんてありえない」

「ふふっ。まるで魔王のような口ぶりだな」

「魔王でもなんでも構わないさ。俺の妻たちを奪うことは絶対に出来やしない」

「アリーシャはこんな情熱的な男を独り占めしていたのか」

「あら、これからはシャルノも寵愛を受けるのよ?情熱で焦がされないようにしっかりと旦那様を支えていかなくちゃダメよ」

「わかっている。改めて、ガロン。私を君の妻にしてくれないか」

「もちろんだシャルノ。俺の妻になってくれ」


そう言って俺は共生の誓いと共に深く長い口付けをシャルノにした。

これからはずっと一緒だ。シャルノ




それから俺たちは身体を重ね心身共に俺の妻となった彼女に翌朝、リターンリングを渡し屋敷へと案内した。

屋敷を見た彼女は驚きのあまり目が点になっていたがガロンだから普通かという思考になったようで気を持ち直したようだった。さすがに大浴場を見た時はまた驚いていたようだが

そんな彼女に俺たちは王都で家を買うことやなぜ買うのかということを伝えたところ、どうせなら上層区に建てないかと提案されるが上層区に入れる条件が冒険者金ランク以上か貴族のみのため身に余ると話しだと断ろうとしたが嫁たちにせがまれて結局は上層区に建てるということになった。

だが、そのために俺は金ランクまであげないといけなくなってしまったのであった。

当分はクエストの受注量を増やさないといけないし急に上がっては、よくある出る杭は打たれそうなのでどうするか色々考えなければならなくなってしまった。


だが、ガロンはまだ知らない。この王都で起こる数々の問題を


そしてその数々の問題を解決しガロンが有名へと一気に押し上げることになることをまだ誰も知らない


まずはその一つ目を語ろう―


異世界さんこんにちわ~不死王だけど元人間です~ 王都編 第3説「花嫁シャルノ・ヴァル」

次回は火曜日予定です。

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