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第4説後半

あわわわわ!30人以上のブックマークありがとうございます!

「誰だ!?」


バリッシュは振り返った場所より少し後ろの位置に立っている俺を見るや否や


「貴様・・・!ガロンとかいう小僧ではないか!」


どうも俺を知っているようだが何処で手に入れたのだろうか?まぁ、別に本当の姿を見られたわけではないから特に気にする必要もなさそうだな


「ええ、この街で冒険者をしております。改めましてガロンです。そしてアリーシャの婚約者です」


まだ伝えてないけどな。と心の中で補足しておこう。

だが、俺の口から婚約者と聞いた瞬間バリッシュは憎悪に満ちた顔で歯をギリギリ音を立て俺を睨んできた。

一瞬だが、バリッシュの左手の甲が光った気がしマジックサーチをかけて見ると明らかに歪な魔力の渦が徐々にバリッシュの体全体へと広がっているのがわかった。


(明らかに害を為すようなものっぽいのを先に片付けるか)


「おい!なぜ貴様のような冒険者風情がここに居る!私の屋敷に無断で入って来おってからに!」

「影縛り、マジックストップ」

「なっ!?何を・・・動けん!貴様!何をした!?」


バリッシュの罵倒を無視し俺は闇魔法を使い身動きを取れなくしマジックストップで詠唱妨害をする。影縛りは拘束魔法で一定時間相手の動きを封じる魔法だ。レベル差があればあるほどに効果時間が変わるため上級のダンジョンではそこまで時間が長くないので使えなかったがバリッシュ相手なら恐らく効果は長いだろう

マジックストップは妨害魔法ではあるがこちらは効果時間が3分と決まっている。

身動きを取れなくしたのを確認し腰に着けてあったマジックポーチの中から目的のものを探す。

このマジックポーチは拠点の倉庫に繋がっており自分のインベントリに入ってないものでも取り出せる便利アイテムだ。ただしインベントリが10個以上空いてないと使えないので狩りの時は邪魔になるためよく倉庫に入れていた。

そんなことを思い出しつつ漸く俺は目的の清浄なる雫というアイテムを見つけた。

それを取り出すと俺はバリッシュに近づき簡潔に説明した。


「いいか、これは清浄なる雫と言ってあらゆるものを浄化させるアイテムだ。それをお前に今から飲ませる」

「誰がそのような怪しいものを飲むか!馬鹿にするのもいい加減にしろ!」


言うと思ったがそんなことは関係がない。元より拒否権は与えないつもりだったしな。

とりあえず飲ませ方は口に突っ込んで飲ませよう


「よ、止せ!?私にこれ以上近づくな!だ、誰か!誰かおらんのか!?」

「無駄だ。この部屋には一定時間不干渉のアイテムを使わせてもらった。気づくやつはいないさ」

「ひっ!・・・むぐぅ!?」


これ以上の問答をしても埒が明かないためバリッシュの顔を固定し清浄なる雫を飲ませた。

途中で吐くかもと思ったため少し顔を上げ一気に飲み込ませる


「ごほっ!ごほっ!許さんぞ・・・絶対に貴様は許さん!あの女を奪ったあと貴様を処刑してやる!」


バリッシュは未だに身動きひとつ取れない状況でも俺に対しての恨み辛みを吐いてきた。

そんなバリッシュの罵詈雑言を聞き流しながら俺は再びマジックサーチをバリッシュに使ってみるが先ほどの歪な魔力はなくなり正常な感じになっている。

あの歪な魔力がなんなのか気になっているとバリッシュの左手の下側に赤く小さな結晶が落ちているのを見つけた。それを拾おうとしたが、その結晶は拾う前にひび割れ霧散してしまった。

恐らくあれが正体なんだろうが調べる前になくなってしまったために分からず終いである。

さて、気を取り直して最後の仕上げだ。


「な、何だ!貴様のような冒険者風情に屈するとでも思っているのか!?」

「そんなことは思っていないさ。ただアリーシャを苦しめたことに対しての償いをお前に払ってもらおうと思っているだけだ」

「はん!私が気に入った女なんだぞ!私がどう扱おうが勝手だろう!」

「何時からお前が好き勝手出来るようになったんだ?気に入ったなら全てお前の自由に出来ると思ったら大間違いだぞ」

「うるさい!私は貴族だ!貴様らのような平民は私たちのような貴族のモノだ!」

「もういい」


これ以上聞くと反吐が出そうになる。人を何とも思っていないようなこんなヤツを生かしている必要はない。

必要はないが怒りに任せて斬ってしまうなんてのは愚の骨頂だろう。

必要があれば人を斬ることはこれからあるだろうが溺れるつもりは欠片もない。


「イビルアイ」

「・・・」


バリッシュは先ほどまでの煩さがなくなり今は一切口を開かない。闇神の特殊能力であるイビルアイは絶対服従状態に陥らせることが出来る。


「バリッシュよ、お前に命令だ。明日騎士団へ行き、己の今までしてきた悪事を一切の嘘偽りなく話し罪を償え。悪事の証拠などがあるならばそれら全ても一緒に持っていけ。わかったな?」

「はい・・・ガロン様の仰せのままに」


そして俺は目を閉じイビルアイを止める。再び目を開けバリッシュを見ると徐々に意識を取り戻し始めた。

それを確認したうまく行ったことに安堵し俺は闇へと紛れ込んで拠点へと戻った。





翌日、街中が騒然としていた。道端で話合っているもの、少しでも詳しい情報を知ろうと騎士団へ駆け込もうとしているものなど様々だ。

そんな喧騒の中俺は日の高い内から娼館がある一角へと足を運んでいた。それはもちろん今から俺は大事な話をアリーシャにするためである。

歩いている時も俺はあるはずもない心臓がドクドクと脈を打ってる気持ちになる。緊張しながら進んで行くと目的の娼館が見えた。

館の前まで行きボーイの姿を見かけるとボーイは笑顔で近づいて来る。


「ガロン様!ありがとうございました!」

「ん?何のことだかサッパリ分からないですね」


一瞬目を見開いて驚いたがボーイは察したのかまた笑顔になり


「これは失礼しました。実はですね。貴族だったバリッシュ様が今朝方騎士団へと行き今までのすべての悪事の話やら証拠やらをしたそうなんですよ」

「そうなんですか?いきなり善行にでも目覚めたのでしょうかね?」

「さぁ?どうなんでしょうか。何はともあれその証拠と証言によりバリッシュ様の後ろ盾をしていた貴族様も捕まることになったそうですよ」

「それはそれは。ところでアリーシャはいますか?」

「えぇ、いつもの所に。早く行ってあげてください」


軽く話し俺は階段を上っていく。さぁ、彼女に全てを伝えよう

扉の前まで行き身だしなみを整え


「アリーシャ俺だ」

「入ってきて」


昨日と同じような台詞。俺たちのいつもの挨拶


だが、今日は少しだけ違っていた。


扉を開けた瞬間彼女が小走りに近づいてきて抱き付いてくる。


そして


「ありがとう」


彼女は涙を流しながら様々な想いを乗せて感謝を言葉にした。

あぁ、俺は彼女の鎖を断ち切れたんだなと実感した。そしてここからだ、俺は覚悟を決め彼女を引き剥がし


「アリーシャに大事な話がある」


拒絶されるかもしれない。畏怖され二度とアリーシャを見ることが出来ないかもしれない。それでも俺は彼女に伝えたかった。

俺という存在を、だから


「実は俺は人間じゃない。いや、元人間ではあるが・・・不死のヴァンパイアなんだ。一生死ぬことも老いることもない身体だ。でも、俺は君が好きだ。一生一緒に居たいと思うほどに、嫌なら拒絶してくれて構わない。そして俺は二度と君に会わないと約束しよう。俺を忘れることが出来るようにも出来る。だから、返事を聞かせて欲しい」


そう言い彼女の顔を見ようとするが俺は彼女の顔を直視出来ずに上を向いてしまった。

俺は裁きを受けるかのように目を瞑り彼女の言葉を待った。どれくらいの時間が経っただろう、一瞬かもしれないし1時間かもしれない。そんな静寂が包んでいる部屋で彼女は


俺の顔を自分の顔に近づけて長く長く口付けを交わした

チロチロと舌を絡ませ、深く深く相手を受け入れるかのように刻み付けるかのように。


「ぷはっ。私も貴方が好きよ。関係ないの。私は貴方が好き。他の誰でもない貴方自身が好きなの、だから私を貴方のモノにして下さい」


そう言って彼女は頭を下げた。

なんという俺は幸せ者だ。彼女の言葉に俺は幸福感が湧き上がってきた。そして、いつの間にか俺の顔には涙が流れていた。

決して彼女を放さない。絶対に手放したくない。だが、これだけは聞かなくてはいけない。最後のこれだけは


「ありがとう。だけど良いのか?俺の傍に来るということはアリーシャも不死になるってことだ。死ねない身体になるんだぞ?」

「構わないわ。言ったでしょ?私は貴方と一緒に居たいの。他の誰でもない貴方と一緒に。それとも私なんて嫌かしら?」

「そんなことはない!俺も一緒に居たい!」


そう言って彼女を抱きしめた。これから先、彼女を一生守り続けよう。俺の愛する彼女を




しばらく強く立ったまま抱き合った後、彼女と一緒にソファーに腰掛けて彼女に俺が異世界から来て名前は柏木修二という名前だったこと、そして俺は元の世界には戻ることがないこと、この身体は神様から元やっていたゲームを触媒に全てを詰め込んでくれたこと、俺の屋敷は空間がずれた場所にあってこちらの世界からは絶対に干渉の出来ない安全なところにあることなどを全て彼女にリターンリングを渡しながら打ち明けた。

彼女はさすがに異世界から来たという所は驚いたようだがそれも受け入れてくれた。


「修二さんって呼んだ方がいいかしら?」

「いや、その名前はもう使わないからガロンでいいよ」

「なら今まで通りね」

「ああ」

「それで、私は何か特別なことをするばいいのかしら?」

「ん?あぁ、大丈夫だよ。特別なことをするわけじゃないしすぐ終わるから」


そう伝えるとアリーシャは不思議な顔をして俺を見つめていた。何時見てもアリーシャは可愛いし美人だな

ニッコリと笑って俺は共生の誓いを立て自分の唾液と少しだけ長くなった犬歯で少量の血を口の中に流して唾液と混ぜる。これで完了だ


「俺とキスをして欲しい。その時に俺の唾液と血を混ぜたのをアリーシャに流すから飲み込んで欲しいんだ。あ、あとはアリーシャの唾液を少し貰えればそれで俺たちは夫婦だ」


そう言うと彼女は迷わず俺とキスをして強請ってきた。

なんだかちょっと興奮してませんか!?アリーシャさん!?などと思いはしたがそれも彼女の魅力だと思えて嬉しくもなった。

艶かしい吐息をしながら少しだけ昂揚し瞳を潤ませてた顔をアリーシャは離すと少しだけモジモジしていた。

すごく襲いたい気分です。


「なんだか、少しだけ身体が火照ってる感じがするわ・・・あっ、収まってきた」


なんでそんなに少し残念そうな顔をするんですかね?

俺の理性飛んじゃうんでやめて下さいお願いします。


「と、とにかく!これで俺とアリーシャは夫婦になれたよ。結婚式は後日するから今日の所は俺の屋敷に行こうか」

「そうね。ふふっ、結婚式までに子供が出来ないようにしなくちゃね?」

「それは保障出来ないな。今もすごくアリーシャが欲しくて堪らないくらいだし」

「あらあら。私の旦那様は困った方だわ」

「嫌いになった?」

「むしろ今まで以上に好きになってしまったわ」


それから俺たちは屋敷に行き屋敷の中へと案内する。

その時にアリーシャが調度品やらキッチン、大浴場などを見て回っている度にすごく楽しそうにしていた。




それから後で知ったのだが俺たちを目の敵にしていたバリッシュと上級貴族は王都に連れて行かれ審議官と執行人によって極刑になったそうな。

だが、俺はあの時見た赤い結晶がなんだったのか分からかったのが気がかりではあった。初めはバリッシュが魔力を増幅させるために仕込んだのかと思ったが違うようだ。誰が何の目的であれをバリッシュに渡したのか

少しだけこの世界に陰りが差したように感じるがまだ何も分からない。だが、分からないなら俺は最愛の人と俺を慕ってくれる人たちを守り続けよう。それが力を持つ俺の役目だから


これは一人の不死王の物語の序説に過ぎない。


これからの彼の道は激しく険しい道。だが、そんな中で彼は最愛の人たちを護り迷いなく突き進む


彼の物語はまだ始まったに過ぎない


異世界さんこんにちわ~不死王だけど元人間です~ 第4説後半「最愛の人」

あとはエピローグを1個入れて東の都編は終了です。

次の舞台は王都へと移り変わります!これからまだまだ沢山王国やらなにやら出したいので話は続きます!

次の更新は月曜か火曜になります

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