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8話:大学で

あの横浜の日から二日後。


今日、あいは在来線で沼津まで行くという。


地震は絶えず頻繁に起こり、あいは十分に休めない日々が続いている。


次に来る地震が沼津なのではないかとあいは予測したのであった。


あいにく今日俺は大学のゼミがあったため、あいに着いていくことができなかった。


「自衛隊とか警官とか街にウヨウヨしてるからくれぐれもゴスロリになるんじゃねーぞ?」


「わかってるわよ。あとゴスロリじゃなくてあれはセーフティーサモンドスーツというものよ」


なにその野球の専門用語みたいなやつ。


「あー、まあそのセーフティーバントスーツにはなるなよ」


「だからセーフティーサm…」


「はいはい、それです。んでこれがSuicaっていうカードだ。これを改札のところにかざせばどこへだっていけるぞ。まあお金のチャージは必要なんだけどな。一応沼津往復の金額はチャージしておいた」


「ありがと。たいが、あなたわたしのお母さんみたいね」


「まあ保護者みたいなもんだもんな」


あいは軽く微笑み俺に背をむける。


「じゃあいってくるわ」


「おう」


玄関の扉を開き、家を出ていった。


「あいつ本当に大丈夫かよ」


なんだか、子を心配する親の気持ちが分かったような気がした。


言い忘れていたが結局昨日は3人でシングルベットに横たわった後、昼頃くらいまでみんな爆睡。


一番最初に起きたのは真美で、Mドナルドでハンバーガセットを三つ買ってきてくれていた。


その後は浦島太郎電鉄で遊ぶなどして、通常通りの日であった。


一昨日は、死というものがこんなに近いものなのだということや、みなとみらいが火の海になっていることなど、ショッキングなことが立て続けにおきたため、心のケアというのも兼ねて昨日は平穏な日にわざとしたと言ってもいいだろう。


俺は大学に出かける準備をし、家を出る。


大学は府中市にあり、俺が住んでる街調布市の隣の街にある。


いつも大学まで自転車で行っており、今日も自転車で行く。


一昨日の横浜の出来事を『横浜事件』と名付けられ、首都圏には警察と自衛隊で溢れかえっていた。


自転車を漕いでいると、大学までの道のりで数十台の自衛隊関係車両とすれ違う。


物騒な世の中である。


なんせ、いつどこで大地震が起きてもおかしくないのだから。


それを食い止めるために、次起こるであろう場所を予測し、あいは今日沼津に向かったのである。


「あいつ、うなぎパイ買ってきてくれるかなぁ…」


俺は自転車を漕ぎながらそんなことを呟いた。


大学に着く。


同じ学科の3人の友達に遭遇する。


男1人、女2人だ。


「どうした、お前元気ないな?今度アキバでもいこーぜ?な?」


優しく話しかけてくれた人は、男友達、平山紅葉ひらやまこうようだ。


東京生まれ東京育ち。


言い換えるのであればシティーボーイってやつだ。


「まあいろいろあって疲れたんだ。大丈夫だぜ。アキバいいね、今度いこーぜ」


「あ、それうちも連れてけ!この前欲しいフィギュアが祝屋から出たんだよ。金あるかなぁ」


話に入ってきたこのオタクは女友達の一人目、龍造寺花梨りゅうぞうじかりんだ。


出身地は神奈川県川崎市。


こいつの家の部屋はフィギュアと漫画で溢れかえっており、まるで博物館のような部屋である。


「それ、わたしも、行く」


句読点がいっぱいついているこいつは神谷菜奈野かみやななの


出身地は新潟。


ライトノベルをこよなく愛しており、そしてまた小説好きでもある。


話し方からも分かる通り、マイペースな子で、どこかに行く時は手を繋いでおかないと絶対に逸れてしまう。


この3人と俺、合わせて4人で行動することがよくある。


「じゃあ今週末は秋葉原決定だな!」


俺一昨日行ったんだけどなー。


「ねえ、これ、みて」


菜奈野が俺にTwitterの画面を顔に押し付けてくる。


「顔に押し付けたら見えねーよ!もうちょっと離せ!」


菜奈野は「あ、ごめん」というように小刻みにお辞儀をして、今度はしっかりと見えるように画面を見せてきた。


「ゴスロリ美少女、沼津降臨だって〜、かわいい、、」


「おー沼津にゴスロリ美少女かぁ〜。ラブライブの堕天使ヨハ…ん?まて?沼津、、おい!それ見せろ!」


奈々野がびっくりした様子で携帯を俺に渡す。


これはやばいぞ、!あいつ馬鹿かよ!ゴスロリ着るなって言ったのに!このままじゃ自衛隊と警察が動き始めるぞ!


あいが危ない!!



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