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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十七話
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まざりあうこえ

※颯くん視点です。

「……誰かいるの?」

「ひっ……!」


 ……その声を聞いた瞬間に、俺の足は無意識の内に動いてた。


(早く、ここから逃げないと……! また、殴られる……!!)


 ……違う、違う!!

 あれは、俺の大好きな透花さんの声だろ!

 あの人が、俺を殴ることなんて絶対にない!!

 そんなの、ちゃんと考えればわかるはずなのに……。


 ――――――颯はいい子だ。さぁ、こっちに来るんだよ。

 ――――――颯くん、大丈夫だよ。泣かないで。

 ――――――普通の子どもの暮らしなんて飽きただろう?

 ――――――いつも一生懸命で頑張りやさん。颯くんは、そういう人間だよ。

 ――――――汚れた子を受け入れられるのは、アタイしかいないんだから。

 ――――――……汚くなんて、ないよ。


 ……頭の中で、二人の女の声が混ざり合う。

 あの女のねっとりした声と、透花さんのキレイな声は全然似てないのに……。


(オレを汚いって言ったのは、どっちの女だ……? もうわかんねえよ!!)


 冷静に考えれば必ずわかるはずのことが、今の俺にはわからない。

 ……そんな状態の俺にもわかるのは、たった一つのことだけだった。


(女の声は怖い! こんな場所には、いたくない……!!)


 俺は震える足を必死に動かすと、そのまま飛び出しちゃったんだ……。

 俺のとても大切な、“帰る場所”から――――――――――――。

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