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神を殺した世界にて  作者: ほてぽて林檎
第2部:その手はまだ繋がって
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早朝の号令

 


 翌朝。


 朝の四時半。


「ピンポーン」という耳にやさしい効果音の直後――

 スピーカーから叩きつけるような、聞き覚えのある声が響いた。



『起床の時間だ。直ちに準備に取り掛かれ。三十分後にフロア南端の鉄扉を抜けた先へ集まれ。私用はその間に済ませろ。遅れた者には罰則を与える。以上。』



 カティナ教官の、寝起きにはちょっとキツすぎるアナウンス。





「……うっざ」




 思わず漏れる声。



 私はまぶたをこすりながら、重たい体を引きずるようにしてベッドを降りた。



 着替えなんてまだ頭が回らない。

 とりあえず部屋を出て、薄暗い通路へ。



 壁際の照明がぼんやりと足元を照らし、足音とざわめきが交錯する。



 洗面台のあるトイレは、すでに人でごった返していた。




「はやくしてよ」


「うそ、まだなの?」


「あぁ〜もう時間ないってば」




 耳に飛び込んでくる、せわしない声の波。



 何人いるんだろう、ここに集められた“私たち”は。




 ようやく洗面台が空いたところで、顔をジャバジャバと洗う。


 冷たい水が目を覚ましてくれる。



 あくびを一つ、大きくして、深く息を吐いた。



 通路を戻りながら、ふと目でセリスの姿を探す。



(いない……)



 隣の部屋をそっと覗いてみるけれど、空っぽ。



「……あれ?」




 もしかしてもう行った? それともまだ?



 そんなことを考えていたその時。



 そんなことを考えていたその時。


「お、おはよう!」


 背後から、やや詰まったような声が聞こえた。



 振り返ると、そこには――


 小柄な体で、ピンと背筋を伸ばしたトゥヴァが立っていた。


 目が合った瞬間、彼女はそっぽを向きながらも、少しだけ頬を紅くしていた。

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