04 子狐のチュートリアル
このページを訪れてくれたことに感謝を。
遅くなってすみません。
少し変わった書き方をしてみました。
情景描写が少ない分短くなったはずなのですが、説明が多いため今までの話より長めです。
ようこそ、『オールネンドワールド』へ。
よいしょっと。えっと、はい。おまたせしました。
チュートリアル(初期説明)を開始します。
えっ、頭に葉っぱが付いてる? 肩にくもの巣? 急いで真っ直ぐ、繁みを突っ切って来たんですよ。
さて、気を取り直しまして。
初めにお教えしないといけないのは、ログアウトの方法ですね。
一昔前には、電脳空間にとらわれる様を題材にした小説なども流行りましたしね。
「システム・ログアウト」
ログアウトのためのコマンドです。
声に出さず意識するだけでも、可能です。確認メッセージが頭の中に聞こえるので、OKでもYESでも了承を伝えれば、現実で目覚めることになります。
念のため、試しますか?
次の説明に行きましょう。
あなたは今、『ソウル』と呼ばれる意識だけの状態です。
ソウルでの動き方は、移動したい方向へ意識を向けるだけです。
では、ついてきてください。
移動できましたね。今のは無意識だと思いますが、動いたボクに意識が向いた結果ですね。
ああ、はい。これ。尻尾ですよ。髪に隠れてますが耳もあります。
この手のゲームをプレイする人って、こういうの好きでしょ。意識向いちゃいますよね。
で、えーっと、はじめのミッションは移動練習です。
現在地はチュートリアルエリア・『雛の森』の南広場です。この先の分かれ道で左へ進みます。
そこから、森の木々の間をグニャグニャと小道が続いています。
ソウルは実体がありませんから、木々をすり抜けることもできますが、今回は練習なのでジグザグに進むように、がんばってみてください。
行き先は西広場です。グニャグニャ曲がりつつ北上することになります。
慣れてきたようですね。このまま道なりに、しばらく進みます。
その時間を使って、少し説明をさせていただきますね。質問は最後にお願いします。
この世界でのプレイヤーの状態は、ソウルと『ドール』の二種類です。先程も言いましたように、ソウルは実体がありません。
そしてドール。これは今のボクのように動かす身体・実体を持っている状態です。
ボクの話す声は、聞こえていますね。
はい。聞こえません。あなたの声は。声を出そうとしても、出したつもりでも、ソウル状態の声は聞こえません。
ボクにも聞こえていませんよ。
ですが、『チャットパネル』に表示された文字は読めます。
チャットと聞くと、キーボードからの打ち込みを思い浮かべるかもしれませんが、VRのこの世界では声に出した内容、――ソウルの時には声に出そうとした内容もですね。――これがチャットログに自動的に記録されます。
表示設定を変えました。ボクの前に浮かんでいるパネルが、あなたにも見えますか? これがチャットパネルです。デフォルトでは持ち主にしか見えません。
パネルの表示方法は、後にしましょう。移動しながら操作するのは、お勧めしません。他にもご紹介したいパネルがありますしね。
ソウルの状態では、物理的な現象を一切起こせません。木や壁はすり抜けてしまい、触れません。
声は空気を振るわせる物理的な現象ですから、話したければチャットパネルを、相手に開いてもらう必要があります。
『メニューパネル』の類は神の御技。物理現象外として扱われます。
逆説的にいうと、ソウルは物理的な影響を受けません。例え火の中・水の中でも平気です。スカートの中はダメだと思いますよ。後で会いますけど、くれぐれも姉を怒らせないでくださいね。
じゃなくて、ソウルの特徴ですが、見えるのは基本的にはプレイヤーだけです。
基本以外? 特殊人工知能持ちのNPCですね。ボクもそのひとりです。プレイヤーがらみのトラブル処理をおおせつかる都合上、同じ物が見えるようになっています。ゲームの公式HPで準GM権限持ちと、紹介されているメンバーです。
次のミッションは偵察です。
プレイヤーにしか見えないということは、モンスターに見えないということです。
この先の西広場に、スライムがいるはずです。
先に行って、数を確認してきてください。
大丈夫ですよ。見えませんし。触れませんから。
倒すのは、今回はボクの仕事です。武器を用意してから行きます。何匹いるか数えたら広場の入り口で待っていてください。
あ、ここですよ。偵察できましたか?
これですか? その辺に落ちてた木の棒です。スライムならこの程度の武器で問題ありません。
5匹。赤・青・黄と白・黒。基本になる色ですね。
ええ、まあ。チュートリアルですからね。いつも一緒ですけど。そういうストーリーなので。
ではポカ、ポカ、テイ、トウ、タァ。と、ハイ終了です。
倒したスライムの身体の中に、ぼんやり光っているところがあると思います。
場所を教えてください。今のボク…というかドール状態だと見えないので。
ドールは身体のことです。ソウルが入る器となる人形です。ボクもこのドールから出ると、今のあなたと同じくソウルになります。
スライムを引き裂いて取り出したこれは、『ダークコア』と呼ばれるもので、モンスターが必ず持っています。見ての通り赤黒い正八面体をした、指先サイズのクリスタルのような物です。
ソウルの状態でのみ、ネンドを通しても光って見えます。
モンスターを倒した時に、ソウルが飛び出すのが見えたと思いますが、ダークコアはモンスターソウルが宿る心臓のような物です。
はい。先程の赤い光です。遠目に見た蛍のような光の球。それがソウルです。あなたの今の姿もそうですよ。プレイヤーは青色のソウルですけどね。
大きさは一般的な人型の指先サイズです。くわしくは後ほど説明しますが、このソウルの直径が1ミージと呼ばれる基本単位になっています。
それでコアですが、スライムはひとつずつしか持ちません。モンスターによっては複数のコアを持ちます。最大はドラゴンの1000個ですね。
残った身体の方はネンドとして、再利用可能です。とりあえずボクのアトリエに送っておきますね。
落ち着いたところで、第3のミッション。メニューパネルについて。
ボクが言うとおり繰り返してください。
「ワールドリンク・プレイヤーコード・************・メニューパネル・オープン」
ご心配なく。ランダムな数字とアルファベットの羅列なプレイヤーコードを覚える必要は、ありません。設定からお好きなパスワードに、変更が可能です。無しにもできますが、なるべく設定していただくようにお願いしています。コードが短かった初期モニターのプレイヤーの中には、そのままお使いの方もいますね。
さっそく登録しておきましょうか? パスワード。実際にやったほうが覚えやすいですし、後からの変更も可能ですから、思い切ってどうぞ。
設定画面内のパスワード変更から入力画面。パネル右上のマイクアイコンを押して…ソウルの時は意識を向け、えっと…クリックしたいと思う場所を、見つめるようにしてみてください。一定時間見つめることで意識を向けていると、判定されます。
目の前に浮かんだマイクに向かって、パスワードを。とりあえずは、方法の説明ということで。気に入らないならパスワードの変更は、のちほどご自由に。
さて、メニューパネルは見ての通り、アイコンが並んだパネルです。
ワールドリンクに続くコマンドで、最後をチャットパネル・オープンと変えれば直接開くことも可能です。
ああ、似ているでしょうね。その携帯端末の会社なら提携していたはずです。
使い方も変わりません。ドール状態のときなら、タッチパネルとしても利用可能です。
ステータスパネルは今は情報が少ないですね。何もできないソウルの状態ですから。ドールに入ってからあらためて説明しましょう。
時計パネルはこの世界の時間・ネンドタイムと、現実の時間・リアルタイム。両方が表示できます。
この世界の時間の流れは、現実の4倍です。リアルタイム15分が、ネンドタイム1時間になります。
基本的な表示方法のアナログ・デジタルは設定でご自由に。それ以外の表示は、おしゃれアイテム扱いで月額料金外の課金が必要になりますね。サンプルは公式HPで紹介されています。いかにもなカラクリの歯車いっぱいのとかです。ボクのは非売品ですけど、子狐専用ってことで木の葉が降り積もる砂時計みたいなデザインです。
えっと、今続けているチュートリアル、長くかかっていると思うかもしれませんが、まだリアルタイムは10分もたっていませんから。
もし、現実で何か予定があるなら、時計パネルの設定からタイマーをセットしておくといいですよ。目覚まし時計みたいに、ベルで知らせてくれます。
チュートリアルを中断された場合もちゃんと続きから説明することになるので、遠慮なく…。設定方法分かり辛かったらとりあえずボクに言っていただければ、中断しますよ。
必要ない? じゃあ、続けますね。
先程話していた、チャットパネルのアイコンも収録されています。
通常チャットは、普通に声が届くだろう範囲。周囲の地形や途中にある障害物の反響・空気の流れ・風向きで変化します。もちろん実際に声に出した大きさにもよります。ソウル状態では声を出そうとした時のイメージ次第です。実際に使って慣れていただくのが一番ですね。
ワールドチャット・ウィスパー・エリアチャット・パーティーチャットなど。タブの切り替えとか、見れば分かりますか? 確かに従来のMMOと変わりませんけれど。あなたの年代だと説明いらないですか?
フレンドリストパネルは、名称どおり他のプレイヤーを登録して、リスト表示するパネルです。
機能としては、ログイン状態の確認と、メモを入力できる欄があります。ウィスパーチャットの簡易ボタンもありますね。
「キーボード・起動」って言ってみてください。
出ましたね。目の前に浮かんでいるのは、見たとおりパソコン用のキーボートと同様のもので、文字入力ツールです。ソウルでは使えませんけど。
同じく「マイク・起動」で、はい。音声入力用のマイクです。
確かに、ソウルの時は当然全て音声で入力になります。マイクは一見不要です。けれど、マイクを使う場合は、入力箇所の選択や途中の確認がやりやすくなります。
パスワードの登録しかしていないので、実感がないかもしれませんが、多くを入力する場合、入力内容なのか? 会話なのか? と言った確認が必要になる場合があります。
慣れれば、自然に使い分けることになると思います。
アイテムインベントリのアイコンがない?
はい。この世界ではアイテムは、常に実体を持ちます。別空間に収納することはできません。
亜空間と呼ばれるような存在は、ありません。
基本的には、物理的な現象・計算によって物事は行なわれ、これに属しない事柄は神の御技で、ごく一時的なものです。
たとえば先程、スライムの身体だったネンドの塊を黒い穴に入れましたが、あの穴の先はボクのアトリエです。
場所を移動させただけということです。
スライムの身体であったネンドは物理的な物・物質で、これを送った先、ボクのアトリエも実在する――ゲーム世界内の座標としてですが――物理的な場所。
この二点間をつなぐ、移動に使った、アイテムホールの通路が神の御技で、神の御技発現の為の力が宿ったアイテムが、『ホールコア』です。
神の御技は一般的に、魔法と呼ばれています。
思考遊びとしては、アトリエ自体が別空間だという考え方も可能ですけどね。
インターネット接続のアイコンは、パソコンでおなじみのマークですね。
外部リンクになります。ソフトやフォルダのダウンロードも可能です。ゲームワールド内にいながら、パソコンが使えるようなものだと思っていただいて、構いません。
リンク先については、自己責任でお願いします。
当社のウイルス対策は、優秀な方だと自負しておりますが、何かあった場合は原因となった方よりも、ワールド及び他のお客様を優先させていただきます。ご了承ください。
残るひとつのアイコンは、マップパネルです。開いてみてください。
箱庭のような立体マップですが、今はほぼ白地図の状態ですね。今まで通ってきた場所が、色が着いているところです。
第4のミッションは、マッピングです。
チュートリアルエリアである、この雛の森のマップを完成させてください。
ソウルの状態で、森の上を飛び回ればすぐに埋まります。
ボクは中央広場にいます。マップが全て色づいたら、いらしてください。
あっ%表示とかはありませんよ。おおよそで結構です。マップとして役に立てばいいんです。塗り残しの隙間がチョコっとあってやり直しなんて、言いませんから。
おつかれさまです。マップは埋まりましたか?
はい、確かに。東西南北と中央の5箇所に広場があって、小道で繋がってます。地図としてはこれで十分です。
スタート地点が南広場。スライムと戦ったのが西広場。今いるのが中央広場。
えっ、北広場にボクに似た、女の子が倒れてる? また、スライムが5匹?
わざとらしいって、それは言わない約束と言う物です。
ウワサをすればですね。
紹介します。隣に飛んできた、このソウルがボクの姉さんです。
普段の姿は北の広場でスライムにやられた、グチャグチャ少女ですよ。
痛いっ! 姉さん。いや、痛くはないけど、他のソウルに身体突き抜けられるのは変な気分です。止めてください。訂正します。姉さんは美少女です。
っと、はい。着替えてきてください。
ドールはソウルの入る身体です。
本来のドールをメインドール。仮のドールをスペアドールとかサブドールとか呼びます。人によってはいくつものドールを、服を着替えるように使い分けたりもします。
ドールを作れるのはドールだけです。ソウルではネンドに触れませんからね。
今さらですが、この世界は全てネンドで出来ています。
ネンドで出来た身体・ドールをカスタマイズして、ドールにソウルが入って冒険します。これがこのゲームの基本です。
ログインしている以上は、ゲームのあおり文句にもなっているので、言うまでもないと思っていたんですが、大丈夫ですよね。
痛っ! 姉さん。おかえりなさい。ごめんなさい。分かりきったことでも初めに言うべきでしたっ!
はいっ、それで、うーっ痛たっと、ドールはドールにしか作れないので、ドールが壊れた時のためにスペアを用意しておくのが、おすすめです。
まあスペアですから、姉さんを見ての通り、間に合わせ。頭と体と手足があればとりあえず事足ります。
北広場へ向かいましょう。
姉さんの身体はともかく、痛た…えっと、あと5つダークコアを集めれば、ドールを作ることができます。
チュートリアルでは、ベーシックドールを手に入れることになります。
ベーシックドールは基本体型のドールです。一から自分で容姿を作ることもできますが、このベーシックドールにアレンジを施して、利用することが多いです。
ベーシックドールの容姿ですが、頭が小さく細身の小柄な八頭身となります。
ドールの体型はプレイヤーの自由ですので、欧米人のような大柄な体型を作ることも可能ですが、開発元である本国の古来よりの体型を美化したものが基本で、メリット・デメリットの類はそれぞれにありつつも、基本形がやや有利な体型となります。
理想のイメージ元は牛若丸らしいですよ。歴史上の人物としての方でなく、英雄譚的な弁慶との逸話とかの方です。
と、説明しているうちにもあだ討ち成功。姉さんの身体は、ほぼ本人によってスペアドールで自力回収ですが、ボクたちも予定通りダークコアを集めることが叶いました。
先程の中央広場へ戻りましょう。
森の巫女であるオババに、ダークコア10個を渡して加工してもらいます。
このチュートリアルのためのエリア・雛の森では、この巫女のオババがコアに関する技能を担当していますが、街では教会の神官の管轄となります。
街へはのちほど、案内しますね。
ここで、『コア』について説明しましょう。
コアは、ネンドの結晶体だという説が有力ですが、教会の神官たちが奇蹟の結晶と呼ぶ謎の物体です。
乾燥せず、水に溶けず、砕けません。不思議な点は、何百個と抱えてステータスを確認しても、所持重量が増えないことです。重さのカウントされない物質なんですね。ところが、水に沈みます。
基本となるのは、フィールドの地面・岩や木々などの中で凝縮され生まれた『ベースコア』だといわれていますが、実際発見されたことはないので、概念として記憶に留めていただければ十分です。
ベースコアにモンスターソウルが宿ると、ダークコアに変質すると言われています。
このオールネンドワールドの世界は、全てネンドで出来ていると謳っていますが、例外として水・空気、そしてコアという存在があります。後、ソウルと、メニューパネルなどの神の御技系ですね。
ダークコア10個を、オババの前にある台に置きます。
まずは、『ジョーカ』という祝福呪文をかけてもらいます。
オババが手をかざして光って、見てのとおり透明な雫型のコアに変わりました。これが『クリアコア』です。クリアコアは、ただコアとだけ呼ばれることも多いです。
教会でおなじ事を行なう場合は、手数料が発生します。ジョーカの呪文1回につきいくらで、1回にジョーカの呪文を掛けられる上限数はありませんので、一度に多く持ち込むのがお得ですよ。
次に、このクリアコアに『キゴー』という呪文で魔方陣を刻み込んでもらいます。魔方陣が描かれた布の中心に、クリアコアをひとつ置きます。
ニョロニョロした文字と数字で四角く描かれている模様が、魔方陣です。方というのは四角形のことですから。社会科の教科書に出てくる、前方後円墳の方と同じ意味ですね。魔法の陣ではなく、魔の方陣です。
この呪文は、コアひとつごとに行なう必要があります。
内側に方陣が浮かび上がる薄青色の球形コア。これが『ライフコア』です。方陣には種類があり、今回はライフの方陣を使ったのでライフコアになりました。
最後に『ユーゴー』の呪文です。10個のライフコアの内3つをオババに渡します。
ライフコア3つが溶け合い繋がることで、青いハート型のコアになります。これが『ハートコア』で、ドールを作るために必ず必要な物です。
ドールを作るために、あなたの『アトリエ』に移動しましょう。アトリエは、プレイヤー各自に与えられている空間です。
「開けゴマ」って唱えてください。ベタ過ぎる? でも覚えやすいでしょう。設定でシステムコマンドの変更が可能なので、後ほどお好きなように変えてください。
とにかく今は開いた、この黒い穴に入りますよ。
真っ白な部屋で今は、何もありません。広さは300ミージ×300ミージ×300ミージの立方体です。
四方の壁の厚みは各350ミージで、天井の厚みは700ミージです。これら分厚いネンドを掘り抜けば、最大アトリエサイズは1000ミージ立方となります。
掘り出したネンドは、アトリエの持ち主であるあなたのものです。自由に使ってください。
フレンドリストに登録している相手は、アトリエへ招待可能です。勝手に出入りできるわけではなく、入室許可を出すための前提条件になります。
今ボクがいるのは例外です。
とりあえずボクのアトリエを開けゴマ。で、これボクのスペアドールです。使ってください。
ソウルのあなたには、胸の辺りにハートコアが光って見えるでしょう。そこに重なるようにして「ドールイン」と、システムコマンドを唱えてください。出る時は「ドールアウト」です。
ドールに入ると認識範囲が広がります。ソウルを自分と感じて動かしていたのが、ドールを自分と感じるようになります。
動かし方はリアルの身体と変わらないと聞いています。どうですか? 動きます?
では、ネンドをこねましょう。壁からネンドをたっぷり一抱え掘り出してください。
硬さとか重さ・手触りも、紙粘土みたいな感覚ですね。近頃はすごく軽い紙粘土があるそうですが、以前からあるタイプの方に似ているはずです。
ボクも一緒に作業しますからボクの分もください。どこから採ってもいいなら自分で掘りますけど・・・・・・同じ面の壁ならどこでもいい? そうですか。前にいたんですよ。すごく几帳面で端っこから広く浅く掘り出して、掘り出した後の壁をすぐさま平らに直さないと気がすまない人。
えっと話が脱線しました。戻します。
まずフリーソフトをひとつお渡しします。目の前に「メールが届きました」ってメッセージ出ました? ボクからです。開いてソフトを解凍するを指でクリックしてください。メニューパネルに登録されます。
渡したソフトは『スケールパネル』です。開いてみてください。方眼紙のようにマス目のあるツールパネルです。
他のパネルと同じく垂直に浮かんでいますが水平にして、床スレスレに平らに広げて置くようにしてください。
パネル操作はパソコンのウィンドウと同じで、端を引っ張って延ばしたり縮めたり。ドラッグで移動。3次元方向にも動かせます。このあたりは習うより慣れろって言葉が該当すると思います。できましたか?
もっと広げましょう。このパネルの上でドールを作るので。作りたい身長と体格が収まるように。部屋の半分くらいまで。
パネルの範囲内に、ネンドを置いてみてください。
情報パネルがポップアップします。0コード一抱えの量は、およそ6000チッサで3000カルーくらいのはずです。
コード、という単位で表示されている覧に注目してください。これはネンドの硬さです。
アトリエの壁や天井であるベースネンドは、0コードネンドです。フィールド上に存在するネンドは1コード以上で、0コードのネンドはアトリエのベースネンドのみとなります。
コードの上限は10です。数字が大きいほど硬く重くなります。
コード表示の横にHPバーのような細い棒グラフがありますね。今は緑ですがこれを見ながら、右から左まで赤色に変わるまでネンドをコネコネします。
全て赤くなった後、1コードネンドの緑バーに変化します。
緑色は安定状態で、赤色は変化途中を表します。
コネコネの途中で放置すると、他ゲームのHP自然回復のように緑色のバーに戻ります。0.5とか中間の硬さのネンドというのは存在しません。
たとえば1コードのネンドと0コードのネンドを混ぜ合わせて、しばらく放置すると全て0コードのネンドに変化します。
コネコネのコツは、両手に体重を乗せて一定のペースで均一に混ぜることです。
続けるとネンドの重さはそのまま、体積が小さくなっていきます。コネコネで圧縮されているのです。
このためコードの高いネンドは、硬く重くなります。
半分の体積まで圧縮するとコードが1上がります。同じ大きさのネンドなら、コードが1上がるごとに倍の重さということになります。
同じくらいの塊をふたりで後3つずつぐらいコネコネすれば、ベーシックドール1体を作るのに足りる量になると思います。
コネコネ? コードを変化させるために、こねる作業をこう呼ぶんですよ。
それではコネコネしながら聞いてください。単位の説明をします。
基本となるのは『ミージ』という単位で、1ミージはソウルの直径だといわれています。
実体のないソウルをどうやって計測したんでしょうね? とにかく手の爪くらいの長さです。
1000ミージが1『ナーガ』です。アトリエの最大拡張時の1辺が1ナーガです。現在の1辺300ミージは0.3ナーガです。
1ミージ立方の大きさ・体積が1『チッサ』です。1ミージ立方というのは、縦1ミージ×横1ミージ×高さ1ミージの立方体のことです。
1000チッサが1『デッカ』になります。今の部屋の広さが27,000デッカ、0コードのベースネンドの量が973,000デッカですが、大きすぎて例としては不適切かもしれませんね。
1コードネンドの1チッサの重さが1『カルー』です。0コードネンド1チッサは0.5カルーになります。0コードネンド2チッサで1カルーです
1000カルーは1『オモー』です。
ベーシックドールは身長150ミージ、体積35デッカになります。1コードネンド製の場合、体重は35オモーです。
服と武器も必要ですから、余裕を持って多めにコネコネしましょう。
スライムだった色ネンドを、ボクのアトリエから持ってきました。
赤・青・黄の3色を少しずつ混ぜて、手のひらサイズの茶色のボールを作ります。茶色を白色に混ぜ込めば肌色になります。
入れすぎないように少しずつ調整して、好みの身体の色にしてください。
緑? ナ〆ック星人ですか? 大量に青と黄のネンドがあれば作れますね。今あるスライム分だけだと全身緑には足りません。
出来あがった肌色のネンドを、この薄いシート状アイテムの上に置いてください。
『コピー用紙』というマジックアイテムで、このコピー用紙にはベーシックドールが登録してあります。
このアイテムは今回、お貸しするだけです。街の雑貨屋でいろいろ登録された物や未登録用紙も売られているので、ひとつの目標にするといいですよ。
必要なネンドの量がポップアップ表示されますので、OKに変わるまでネンドを乗せてください。
コピー用紙に「トーロク」のコマンドでコピーされている形を、貼り付け再現するためのコマンドは「トーサク」がデフォルトワードです。登録情報を消す場合は「ショーキョ」のコマンドを使います。
変更は可能ですよ。購入なさったらアイテムの設定から変えてください。そのまま使う人も多いですが、変える場合はコピー・ペースト・デリートにする人が多いみたいですね。
身体が出来たら髪を着けましょう。ネンドは絵の具を混ぜるように好きな色が作れます。今回は、ボクの持っているコピー用紙から髪形を選んでいただいて、かつらの様に身体にかぶせます。軽くでいいですよ。強く押さえると髪の毛の筋がつぶれちゃいます。
瞳も色をつけましょう。肌色一色のマネキン人形のような顔では不気味ですから、コンタクトレンズのように薄くした丸い色ネンドをかぶせてください。
後はコアを埋め込めば、ドールの完成です。
コアの埋め込み位置は、自由に変えられます。コアは身体の急所となる弱点です。どこに埋め込むかは、戦闘時のスタイルによって、よく考えて決める必要があります。
今回はオーソドックスな配置にしましょう。ハートコアを心臓の位置に。残るライフコア7つを頭・首・お腹と左右の肘・膝に埋めることにします。
プレイヤー用ドールに埋め込めるコアの最大数は、ハートがひとつとライフが7つです。
ここで注意事項ですが、コアの埋め込みは手早くする必要があります。
先程からネンドをコネコネしている、今あなたが入っているボクのスペアドールもネンドで出来ていますが、最中に指が崩れて一緒に混ざったりはしません。
これは、扱えるネンドの条件によります。
まず、ソウルレベルより高いコードのネンドは扱えません。
Lv1のあなたが、ひたすらコネコネし続けても2コードのネンドにはなりません。2コードのネンドを手に入れて、成形しようとしても硬くて扱えません。
戦闘ダメージの説明は後ほど詳しくしますが、低Lv低コードドールで高コードモンスターを攻撃した場合は、衝撃ダメージは通りますが反射ダメージを負う場合もあり、効率が悪いです。しかし硬いドールを作らない限り強いモンスターを倒せない、というわけではないです。
ドール作成の話に戻りますが、コピー用紙に乗せての整形にはレベル制限がありませんので、低いコードで雛型を作って、高いコードのネンドをフィールドで探してきたり、モンスターを倒して手に入れたり、他のプレイヤーから購入したりすれば、強いドールや武器を低レベルで作ることができます。
ただし、装備品にもドールにも重量制限がありますので、完成品を自分で身に着けることはできないでしょう。造形に自身があれば、商品として高レベルの方に売るのも良いかも知れませんね。
次に、コアが入っているネンドはコネコネできません。
コアの入ったネンドがダメなのは、ネンドにコアが埋め込まれると『個別記憶力』という力が働くためです。コアの埋め込まれたひと連なりのネンドが、ひとつの個として認識されます。
この力がないと握った武器をが手のひらにくっ付いて手放せないし、スライムは飛び跳ねるたびに草や石を取り込んで大きくなるなんてことになってしまいかねません。
逆に言うと、かぶせていただけのかつら状の髪がこれで身体にくっつきます。
コアが埋まっている個別記憶力が働いているネンドを、コネコネしようとすると過負荷によって千切れはしますが、くっつかないのでボロボロ崩れて、コアから離れた分のネンドだけまとまっていくことになります。
コアがネンドに定着して、個別記憶力が働くまでに1分かかります。
この間に全てのコアを埋め込んで、埋めた穴を塞がなくてはいけません。遅れると穴の形のまま記憶されてしまって塞げなくなります。
記憶力といっていますが、形状記憶合金ほどに元に戻るほどの力はありません。あくまでも個としての認識力です。
戦闘中に破損した箇所が時間経過で戻ったりはしません。ドールアウトして他のドールを使って、もしくは他の人に頼んでドールの修理をしてください。
それと、ソウルの入っているコアはネンドから離れません。
余談ですが周囲のネンドごと抉り出すようなまねならできます。もちろん対象者との能力差が必要ですが。ハートコアを周囲のネンドごと切り取られて、コアに入ったまま相手の手の中なんて状態もありえますね。まあ、ドールアウトを妨げられるわけでもないので、ソウルだけなら脱出は容易ですけれど。
プレイヤスキルしだいですが、キ儿アやトラファ儿ガーのようなロールプレイは可能ってことです。
とにかく埋め込みましょう。見本が見たい? では、今回はボクが埋め込むことにしましょう。
一度ドールアウトして、出来たばかりのドールにドールインし直してください。
コアにソウルが入ると個別記憶力の強化が起きて、肌の弾力のような物が表面に生じます。自分の指でつついてみてください。
その程度ならダメージにならず元に戻ります。コネコネしていた時のネンドの感触とは違っているでしょう。
その状態で、ステータスパネルを開いてみましょう。
一番上はプレイヤー名。隣にソウルLv。レベルの上げ方は後で、街を案内する時に説明します。
次に『乾湿度』。これで「ほしつど」と読みます。漢字テストとかで間違えちゃダメですよ。テストに出るだろう、ほしつは保湿ですよ。
これはドールに使われている、ネンドの状態を表します。スケールパネルの情報覧の中にも項目がありましたね。
コードの高いネンドほど乾燥しやすく、コードの低いネンドほど湿気りやすいです。圧縮されているほど、水分が入り込む余地がなくなるためです。
今☆マークは、棒グラフの中央の緑部分にありますね。乾燥すると☆マークが左へ移動し、湿気ると右へ移動します。
一番左端の赤はかなり乾燥している状態です。カラカラに乾いていて衝撃に弱く、動くだけで身体がぽろぽろと風化するように崩れてダメージを受けます。
次の黄は乾燥気味を現します。ダメージはありませんが素早さが低下します。赤に近づくほど遅くなりますよ。
現在の状態、緑は適度です。この状態を保つように心がけてください。
右に移動すると青。これは湿気っている状態です。これも黄と同じく素早さの低下が起こります。今度は右に行くほどに遅くなります。
さらに右。紫の部分は水に溶けていることを示します。体が溶け崩れて、ドールをロストします。原因になった水の深さによってはコアの回収も不可能になりますので、乾燥の赤よりも重症です。
先程のコネコネの条件に追加ですが、乾湿度が赤と紫のネンドもコネコネがムリです。
ドール重量と所持重量は、どちらも名称通りの数値で、単位はオモーです。ステータスの表示上は、小数点以下は四捨五入されています。
ハートコアが1ランク。ライフコアが1ランクが7つ。ランクについては教会で説明します。
HPは『ホールドポイント』の略です。
ソウルとハートコアの反応で生じたエネルギーがライフコアに行き渡り、ドールを支配する力になります。これはソウルLvとコアのランクとライフコアの数によって、変動します。
戦闘などでダメージを負うと減少し、0になるとドールからソウルがはじき出されます。
ドールインし直すだけでHPは全快します。が、HPが0になったということはドールが壊れている場合がほとんどですので、ドールインしてHPが全快しても、動けないドールはモンスターの的になるだけですね。HPの全快と健康な肉体はイコールではないのです。ドールを動かすのはプレイヤーのイメージです。リアル人間型なら、イメージするまでもなく普通に動かせますが、手足の折れ曲がったドールでは、痛みがなく支配力が完全でも自在には動けません。
パーティーを組んでいる場合は、ドールのロスト覚悟でモンスターの注意を引く役に徹することはあるようです。
貢献に対する分け前・取り分の交渉トラブルには注意してくださいね。ダークコアの分配などのシステムアシストはありません。
ステータスの話に戻りましょう。
パワーは、HPがコアを循環することで生じる力です。
コアのランクが上がると循環率が良くなり、大きくなります。元となるのはHPですので、HPの減少とともにパワーも減少します。
つまり、怪我をすると力を発揮できなくなります。
理想体重は、パワーと身体の大きさによって決定します。
なので、現在の体重が理想体重より重いからといって、ドールを軽くしようとネンドをけずっても、身体が小さくなる分理想体重も小さくなります。
そもそもソウルLv1、コアランク1ではドールを扱いきれないってことです。
重量制限は武器防具アイテムなど、持ち歩く物全ての重さの合計に対する制限です。理想体重の3分の2になります。
これより重い物を身に付けた場合、HPダメージが継続的に発生します。つまり重量オーバーのままでいると、圧死するわけですね。
ただしこの重量に関するふたつの数値は、あくまでも目安となります。
たとえば理想体重ちょうどで、身に着けているのも最低限の衣服だけだとしても、ヒョロヒョロした細い足に逆三角形のムキムキ上半身を作ったら、想像つきますよね。足がプルプルして、ダメージ発生です。
この世界では、体型とそこから生じる物理現象は現実に則しています。
体型によってどの動きの時にどこに過負荷がかかりやすいとか、そういった事柄全てをステータスに書き込むことはできませんので、理想体重と重量制限はドール体積から計算された目安です。
HP減少が実際に起こった場合のみ、メッセージパネルがポップアップして、原因が知らされます。
逆に工夫次第では、制限以上の荷物を運べたりする場合もあります。
ステータスとしてありがちな要素である素早さ・攻撃力・防御力の数値は、オールネンドワールドにおいてはマスクデータになります。マスク・隠す、つまりプレイヤーに公開しないデータと言う意味です。パワーを元に算出される数値だとだけ言っておきます。
これらにはネンドの造形のほかに、リアルプレイヤースキルが影響します。効率のよい体の動かし方とか、走り方のクセとか、攻撃を真正面から受けるのか、とっさに力を受け流せるかとかですね。
それらを全て数値化すると膨大な量になり、目安として平均値を表示しても、揺れ幅が大きすぎて目安として役に立たないためです。実際、βテストの初期段階でクレームが多く、表示内容から削られることになりました。
後、MPは存在しません。これは魔法・必殺技などが全て、アイテム依存になるためです。
能力を秘めたスキルチップをドールに埋め込み、コマンドで発動します。
チップもネンド製ですので、ロストの可能性があります。使用回数の限られた安価なチップを使う方が安全です。
スタミナも存在しません。あえて言うなら無限大ですね。
ネンドで出来た身体・ドールは疲れ知らずです。途中モンスターにさえ出会わなければ、全力疾走で世界何週でも走り続けられます。
精神的な疲れは個人差で生じますが、自然に感じる物ですから、ステータス表示はありません。
話している間に、ボクが作ったこれは扉です。この『アトリエゲートコア』を埋め込みます。
このコアは床においたままでも、壁に浅く埋め込んでも使えます。
ここへ来る時、開けゴマというコマンドに反応したのが、この部屋の中に置かれていたこのコアです。
扉に埋め込むと先程の黒い穴だった物が、扉の形に固定されます。
コマンドは内側から開く場合は開錠のパスワード。外から戻る時は扉の呼び出しコマンドへと変わります。扉に埋め込まない場合は、内側でコマンドを使った場合も黒い穴の出現です。
外から使う時と違うのは、出口を選ぶ必要があることです。ドアノブを握って開けゴマと言ってみてください。
チュートリアルエリア・雛の森のマップが浮かびましたね。中央広場をクリックしてください。
ポップした画面でOKを押して。これで扉を開けば中央広場へ出ます。
ただし・・・・・・。
はい。エラーが出ました。
エラーメッセージに言われたとおり、裸ではアトリエから出られません。
ごめんなさい。もちろんわざとです。百聞は一見に如かずといいますから。
服の作り方はドールと同じです。
1コードネンドをコピー用紙で、素朴なシャツと素朴なズボン。同じく素朴な靴。いわゆる初期装備ですね。色はお好きにどうぞ。
出来あがったものには、このクリアコアを埋め込んでください。
コアによる個体記憶力は、コアの種類に関わらず発生します。
ネンドのままでは着られませんからね。このコアはサービスでお渡ししています。
武器はコピー用紙を使わずに作ってみましょう。ここまで全てトーサクコマンドでコピーですから。オリジナルを作りましょう。
簡単なお試し品ということで、初心者の剣(仮名)を作ります。好きな色、好きな長さ・太さで棒状にしてください。
先を手のひらで押さえて少し細くします。そこから側面を薄く、刃の部分ですね。手のひらで叩いていきます。柄の部分を細めに。鍔の部分はつまんで広げても、他のネンドを付け加えてもいいです。
クリアコアを埋め込んで完成です。
上出来ですよ。多少グニャっててもたぶん、棒切れよりは威力ありますから。
それと、この箱とカバンもボクが作りました。
箱のフタの内側に『アイテムホールコア』の片割れを埋め込みます。残りの片割れを、このベルトつきのカバンの底に。
プレゼントです。ベルトを腰に巻いて身に付けてみてください。
試しに、この手のひらサイズのネンドをカバンに入れて、「アイテムホールオープン」とコマンドを唱えてみましょう。
消えたネンドは、こちらの箱の中です。
ホールコアはふたつでひとつ。セットになっていて、コマンドで空間が繋がります。
カバンの底のネンドが、ホールが開いたと同時に、重力によって箱の中に落ちたわけです。
ホール周辺は空間にゆがみが生じますから、結構大きな物でも入りますよ。
中央広場から、東広場へ向かいます。
このミッションの目的は、ドールの動かし方になれること。モンスター討伐。
クリア条件は、ダークコア30個を集めること。
討伐数が30ではありませんよ。スライムはコアがひとつだけでしたが、コアの数はモンスターによって違います。
ここから東の広場までは沼地になっていて、棲みついているのは、主に水生系のモンスターになります。
では、3人パーティーで沼地の探索へ向かいます。3人目は姉さんです。
姉さんはあの通りの性格なので、先頭。ボクが殿、一番後ろのことです。いわゆるバックアタックに対応します。
あなたは真ん中を歩いてください。目的の一番はドールでの動きに慣れることです。
今回のパーティーの取り分は、ボクと姉さんが倒したモンスターのコアもあなたの物になりますから、気楽に行きましょう。
陸地と陸地をつなぐように丸太や木の板が渡されている、足場は狭いから気をつけて、水溜りに落ちないように。ドールが溶けちゃいますよ。
攻撃ダメージについてですが、まずハートコアは心臓に当たる部分で急所です。
埋め込み箇所の真上に強い衝撃を受ける、クリティカルヒットが起こると、ソウルがコアからはじき出されます。即死ですね。
次にライフコアですが、こちらは急所ではありませんが弱点になります。
クリティカルダメージを負ったライフコアは、ソウルの影響下から除外されます。ステータスのHPとパワーの計算式からライフコアの数が引かれ、ステータスにペナルティーを負った弱体化状態になります。
同時に、ソウルの影響を受けないコアの周辺は動かしづらくなります。たとえば肘のコアがやられれば、腕が上がらなくなります。
元より肩から先にコアを埋め込んでいなかった場合は、腕が動かなくなるということはありませんが、その場合身体のどこかにコアの集中している部分があるということで、そこを狙われると大ダメージですね。
どちらもドールインをし直せば回復しますが、ドールアウトは安全が確保された場所で行なわないと、危険ですから注意してください。
通常のダメージは、ダメージを受けた箇所から一番近いコアでカウントされます。
例としてHPが70あったとします。
ライフコアが7つの場合、コア1つ当たり10のHPを担っています。
肘にライフコアがあるとして、手首にHP2のダメージを5回受けたとします。
そうすると肘のライフコアがクリティカルを受けた時と同様に、ソウルの影響下から外れます。ステータスの弱体化が起こり、腕が動かなくなります。
さらに手首にダメージを受けた場合は、次に近い首のライフコアが担っているHPでカウントされます。
最終的に全てのライフコアがソウルの影響下から除外される、HP0の状態になるとソウルはハートコアから弾き出されます。
ライフコアをひとつも埋め込まず、ハートコアだけだった場合は途中経過で身体の一部が動かなくなることなく、HP0までカウントされます。
ですけれど、その場合のHPもパワーもすごく低いので、デメリットの方が大きいと思います。
ちょっと、姉さん! ひとつぐらい、いいじゃないですか!? 水に落ちたダークコアが入ってそうなネンドを無理に回収しようとしないで・・・・・・ああ、もう。腕溶けてるじゃないですか!
そこに座ってドールアウトしてください。・・・・・・しなさい! 修復はそっちの木の枝を使いましょう。肌の色と違うとか文句は聞きません!
枝をこねて伸ばして指を作って、ドールのコアを一度全部取り出して、肘から先を斬り落としてつないで、コアを埋め込みなおして終了です。
変な目で見ないでください。姉さんが悪いんですよ。ボクは、お外で女の子の服を脱がす趣味があるわけじゃありません。コアを取り出さなきゃいけないんだから、仕方なかったんです。
アトリエに一度戻れば? プレイヤーの男女の場合、その方がいいでしょうね。
ドールがダメージを受けた際の痛みなどは、バイタルデータを元に心身に負担がかからない範囲で、よりリアルに感じられるように自動設定されています。
詳細設定から下方修正は可能ですが、今より痛くすることはできません。
ハプニングもありましたが、ご苦労様でした。ボスの討伐もしちゃいましたね。後で褒章アイテムをお渡ししますよ。
手に入れたダークコアも予定より多い、37個。これを使うために、いわゆる始まりの街である『地下街』へ行きましょう。
地下街へはアトリエを経由します。
姉さん。それでは、鱗の処理はお願いします。
今送ったメールに、ワールドマップを添付しています。受け取るをクリックしてください。代わりにチュートリアルエリア雛の森のマップは、回収させていただきます。
ボク宛にメールを作成、添付してみてください。パソコンとか携帯とか使い慣れていれば、難しくはないと思います。
はい。受け取りました。OKです。
ワールドマップは球形をしています。ネンドワールドは、リアルワールドと同じく丸いんです。
ただし、世界の裏側にいても時間は共通です。どこにいても同じ時に朝になって夜になります。
これは地面は丸いけれど、天体は実在しないためです。太陽も月も周囲の明るさも、テクスチャでプレイヤーを中心に展開しています。
設定の中に従来のMMOと同じく、画面クオリティーという項目があります。影を表示するとかしないとか、太陽を――、水面の反射を――って項目です。
ですから丸い世界のどこにいても、日の出時刻になったら各プレイヤーから見て東側に太陽が出現します。
ワールドマップはエリアごとに拡大表示ができます。拡大マップは雛の森のマップと同じく、箱庭のような表示になります。
白地図状態でも、なんとなくスライムの形のようになっている部分があるでしょう。そこが初心者エリア『はじまりの丘』で、地下街はその下です。
球体マップの内側、二重写しにぼんやり見えるところへ指を突っ込んで、地下街をクリック。ソウルで操作する場合は設定パネルの時と同じく、意識を向けて見つめるようにしていただければ、拡大マップが開きます。
地下街のマップの北寄り、すでに色がついている場所が中央広場です。北寄りですが、地下街の機能的に広場が中心ですから。
はい。先程と同じく選んでいただいて、扉を開けば行けるんですけど・・・・・・。
すみません。もう少しこの場で待機、お願いします。
少し前に地下街でトラブルがあって、立ち入り禁止エリアに指定中です。
立ち入り許可の申請を出していますので、しばらくお待ちください。
地下街は通常エリアで、チュートリアル専用ではないのです。ですからチュートリアルのストーリでなく、突発の正真正銘トラブルです。
トラブルの内容ですか? 簡単に言うとおバカさんなプレイヤーに天罰が下って、天罰の内容が災害規模で周囲にも被害が出たんです。
天罰を実行するのは、精霊たちです。公式ホームページで準GMって紹介されているの見ました? はい。そのAIの精霊たちなんですけど。
普段隠れ住んでいてお仕置きに出てくるなら、NPCを痛めつければ精霊が見られるって考えた人がいたみたいで、現場で巻き添えくったプレイヤーさんたちは全員野次馬ですから、自業自得なんですけど随分と多かったみたいですね。
地下街が機能停止に陥る規模の天罰に、なってしまったみたいです。
そうですね。精霊は天罰の現場実行者ですから、神様は別にいらっしゃいます。
精霊たちがウワサするのを聞きかじった、地下街のNPCたちは『エスキサン様』と崇めていますね。この世界の創造神たる神々の主神たる御方になります。
AI組みは、さん付けに様付けでおかしいの分かってるんですけど、今のところ訂正する気はないですね。
ついでに言っておきますけど、プレイヤー同士での戦闘PKも存在します。
それと先程ボクたちとパーティーを組んだ時に、簡易ステータスの閲覧許可を設定してもらいました――はい。HPバーの表示のことです――が、許可さえ出せば一緒に行動していなくても見えますし、許可された物を見られる以上のシステムアシストはありません。
一緒に冒険するメンバーをパーティーと呼んでいるだけで、システムとしてのパーティーはないんです。
だから、フレンドリーファイアに気をつけてください。同士討ちのことです。
この世界では射線上に味方がいれば、当然のように当たります。水や炎の範囲スキルが味方をすり抜けて、モンスターだけにダメージを与えるなどという都合のいい話はありません。
立ち入り許可が取れました。
地下街の機能は停止中ですので、最低限の施設の案内だけになります。
バカをしてまで見たがった方のいた、精霊たちは見放題ですよ。地下街の修復作業は彼らの仕事ですから。
さて、真っ暗ですがここが地下街です。普段は明るくてにぎやかなエリアですよ。
この世界唯一の街ですから、名前はありません。街とか地下街とかいったらここのことです。
広場の北にある建物が『役所』、南が『教会』で、西が『銀行』です。東側のスペースはイベント用の舞台です。
精霊たちは全員広場にいますね。
見た目でだいたい分かると思いますけど、駆け回って地面を乾かしている、ぬいぐるみサイズの元気な子が火の精霊。黙々と地面を塗り固めている、ぬいぐるみサイズだけどがっしりしたお兄さんが土の精霊。人間サイズで指示を出しながらゴミ拾いな、銀髪美人なお兄さんが光の精霊。あちこち見て周っては声を上げている、ぬいぐるみサイズお転婆なのが水の精霊。それにおっとり返事を返している、優しげなぬいぐるみサイズのお姉さんが風の精霊。2人を見守っている、建物サイズな大きな大人のお姉さんが闇の精霊。
この6人が地下街の守護を担当するAIです。
街を直すのは、男の子の仕事。天罰って名前のお仕置きで、街を壊したのが女の子たち。
え? ああ。作業服の植木屋さんは、あの人プレイヤーです。
指名クエストかな? リアル植木屋さんだったらしいですから。
かっこいい? 若い頃はモテモテだったらしいですけどね。
作業用だから若作りなのかな。普段はサンタクロースみたいな真っ白ふさふさに、作務衣姿のドールだったはずですけど。
ボクらの間では有名なプレイヤーなんですよ。何しろ最高齢のプレイヤーですから。
準GMのAIはプレイヤーのバイタルデータの閲覧が可能なんですけど、あの人が視界に入るとついつい、血圧から何から確認しちゃうんですよね。
まずは、教会へ行きましょう。
長椅子に寝ちゃってるのは、街の人も神官さんも通常AIのNPCですね。地下街の機能停止中に地下街の中で起きているのは、準GMでもある特殊AIだけです。
教会で該当AIなのは、大神官様だけですね。普段は奥で偉そうにしているだけの人ですけど、今回は他にいないので用事をお願いしましょう。
アイテムホールからアトリエの箱の中に入れてあるダークコアを、全部取り出してください。手探りになりますけど今回他に入ってるものはないはずですし、そんなに大きな箱でもないので大丈夫でしょう。取り出したものはボク、数えますよ。
まずは、雛の森のオババにしてもらったのと同じく、ダークコアをジョーカしてもらってクリアコアにしましょう。
教会での御技には手数料として、ソウルLvと同じ数のコアもしくはツーカの寄付が必要です。ツーカは銀行で説明します。今回はクリアコアになったものの中からひとつを、お渡ししておきましょう。
普段は前払いになりますから、気をつけてくださいね。
これで手元には、36個のクリアコアがある状態ですね。
次にステータスの説明で少し出てきた、『ドールコア』のランクアップを行ないましょう。ドールコアというのはハートコア・ライフコア・ダークコアなど、ドールに埋め込まれているコアの総称です。
ランクアップは、『キョーカ』という呪文をかけてもらいます。
キョーカの呪文には、媒体としてクリアコアが必要です。必要数は、すでにドールコアに使われているクリアコアと同数になります。
すでに使われているというのは、1ランクのライフコアの場合ひとつのクリアコアにキゴーの呪文をかけたものですから、使われたコアの数は1です。これに同数の、ひとつのクリアコアを媒体にキョーカをかけます。すると媒体のコアが凝縮し取り込まれて、2ランクのライフコアが出来ます。
2ランクのライフコアから3ランクにする時には、今回媒体にした分を合わせて数えて、ふたつクリアコアを用意する必要があります。3から4へ上げる時には4つ必要になりますよ。
キョーカはジョーカと違い複数同時にはできませんので、ランクを上げるライフコアの数×ソウルLvの寄付金が必要です。7つのライフコア全てを2ランクにすると、媒体と手数料で合わせて14個のクリアコアを消費します。
ハートコアはライフコア3つで出来ているので、すでに使われているクリアコアの数は3つです。これにLv1分の寄付金でクリアコア4つを使います。
ということで、合わせて18個のクリアコアが必要です。ボクに預けてください。あなたがドールに入ったままでは、あなたのドールの中のコアを取り出せません。
ひとりでコアのランクアップに訪れる際はスペアドールに入って、メインドールのライフ・ハートコアを持ち込んでください。
ということで、ランク2にしたコアを埋め込み直しました。
ドールインして、ステータスを確認しましょう。
乾湿度は沼地を移動してた上、地下街も台風の後のびしょぬれ状態ですから、乾くわけがありませんね。少し青へ近づいてますけど、これくらいなら大丈夫でしょう。
大きく変わったのは重量関係ですね。パワーが上がって理想体重が現在の体重を上回りました。身体が軽いでしょう。
でもジャンプはダメですよ。かなり高く跳べると思いますが、今のドールだとたぶん体重と落下速度の衝撃で足がつぶれます。
マスクデータな防御力にはパワーも影響を与えますから、ネンドのコードが全てではありませんが、着地で膝を曲げるタイミングだとか、空中でバランスを崩さないでいられるかだとかは、ダイレクトにリアルプレイヤースキルの影響を受ける要素なので、試すならチュートリアル終わってから、ボクのいないところで自己責任でしてくださいね。
あ、ライフコア7つが全て同じランクである必要はありませんよ。
ランクがバラバラでもドールの中で機能します。
コアひとつあたりの担うHPの計算は均等割りでなく、ランクの高いコアにHPが偏ることになります。
次は、銀行へ行きます。
銀行ではクリアコアをゲーム内通貨に換金します。手数料はかかりません。
ただし、逆に通貨をコアへ戻すことはできないので、ご注意ください。
通貨単位は『ツーカ』と言います。覚えやすいでしょう。
今お手持ちのクリアコアは18個ですね。全てツーカへ換金しましょう。
そちらの壁際にある、ATMのような機械で可能です。
ステータスパネルをこの四角いところへ重ねるようにして、提示してください。使用者が確認されます。
開いた投入口に、コアをザラザラと入れてください。表示されたコアの数に間違いがなければ、OKボタンを押しましょう。
ステータスパネルの、プレイヤー名とソウルLvのすぐ下を見てください。
「所持金 18ツーカ」と、表示項目が増えていますね。
ツーカはデータ化されて、管理されます。物質としてのお金はこの世界に存在しません。全てのNPC店舗でこのツーカを使用して買い物が可能です。
メールに添付することもできるので、プレイヤー間でお金のやり取りをする場合は、メールで送ります。額が小さい場合は、コアのままでやり取りすることもあります。
役所へ行きましょう。
買い物ではありませんが、さっそくツーカを使用します。
こんばんは。先程連絡しました、雛の葉です。こんな時にすみませんが、チュートリアルにご協力お願いします。
こちらの役所の代表さんは、街の長も勤めている方です。
ソウルのLvは、役所へ納税することでアップします。
役所職員は神様の書記係です。この場合の神様は、エスキサン様ではなくワールドシステムですね。役所職員はシステムへのアクセス権を持ちます。
役所で記録された納税額で、ネンドワールドの活性化に対する貢献度を認められ、ネンドのコードを上げるコネコネの権限など、ネンドワールドへの影響力がアップします。
ソウルLvは、システム権限とも言えます。
Lvをひとつ上げるのに必要な納税額は、現在のLv×10ツーカです。
Lv1×10で10ツーカを支払って、Lvを2にしましょう。
ステータスパネルを提示してください。
はい。ソウルLvアップ完了です。
コアは「素材」であり、「通貨」であり、通貨に換えてから納税しますが他ゲームでの「経験値」にもあたります。
ステータスを強化するなら素材として使うのが一番ですが、水場でドールをロストするような事態になれば、コアは水底に沈むことになります。
通貨として換金すればデータになるので失くす心配はありませんが、コアには戻せません。
Lvの上昇、システム権限の強化は、ネンドコードの最大が10ですから、より大きくしても得るところは少ないです。ステータスにも影響しますし、一度上げたLvが下がることはないですが、Lvが上昇するほどに納税額は大きく、ドールコアの強化ほどステータスへの影響は大きくありません。
何にどれだけのコアを使うかは、よく考えて決めてください。
コアを使用する説明は、これで終了です。
ステータスを確認しておきましょうか?
HPが増えて、パワーが大きく上がりましたね。
そうすると理想体重が増えて、今の体重が軽すぎます。
軽すぎるドールは速く動けたり高く飛べたりする一方で、バランスを取り難く、間接部などへの過負荷が大きくなります。
同じ大きさで理想体重にしようと思うと、3コードネンド製が適当になります。
3コードネンドの入手と、ドール作成に使える大きなサイズのコピー用紙購入が、初めの目標と言ったところでしょうか。安全策をとるなら、その前にハートコアをもうひとつユーゴーして、スペアドールの作成かな?
他プレイヤーとの交渉しだいで、ドール自体の購入も可能ですよ。ドールを販売している方は、能力より容姿にこだわっている方が多いので、お高いですけどね。
次に通常クエストの受け方の説明を、本来なら広場の掲示板を見ながらするところなのですが、外はあんな状態ですからこの場でしましょう。
広場にあった大きな4つの石壁がクエスト掲示板です。先程は、ビニールを被っていました。ビニールに見えた透明なあれも、特殊なネンドです。見た目通り防水性ですね。
あそこに、クエストの依頼用紙が張り出されます。この依頼用紙も文字のインクもネンドです。
ありがとうございます。今ここに出していただいた用紙が、クエスト依頼用紙です。
依頼内容や依頼者・募集要項・報酬などが、書かれています。
見ての通りの平たく薄いネンドで、右上の役所の紋章のような物の中央が薄い専用のコアで個体記憶されています。
乱暴に扱えば破れたりグシャったりはしますけど、薄いネンドだからといって、触るのが要注意というような物ではありません。
この役所の紋章がついている依頼は、役所で受付を行ないます。そちら側の窓口ですね。剥がした依頼書を持って、受付の列に並んでください。
受付を終えた依頼は、データとしてメニューパネル内に依頼書アイコンが入ります。掲示板に張られていたのと同じ内容が、依頼書パネルとして見られます。
その後は依頼書の指示に従ってください。報告場所も役所であることが多いですが、違う場合は依頼書に書かれていますから、依頼書の内容はよく読んでください。
役所以外が貼っている依頼書もあります。街の住人からの個人的なものなどですね。広場はとにかく人の多く集まる場所ですから、何かあれば掲示板に募集が張り出されます。
この場合は依頼の受付場所も依頼書に書かれているはずですので、依頼書を剥がしたらそちらへ向かってください。
広場のクエスト掲示板に張られた依頼書は、必ず剥がして受付へ持っていってください。同じ依頼を受けたい人が重複すると困ります。大勢に受けていただきたいクエストの場合、同じ内容の依頼書が複数張り出されていますから心配要りません。
同時に、剥がした依頼書は必ず受付を行なってください。
広場にはカメラがありますから、剥がした依頼書を依頼期限を過ぎて持ち歩いたり、捨てたりした場合、迷惑行為としてペナルティーが科せられます。ご注意ください。
チュートリアルは以上です。
アトリエに戻って、チュートリアルミッションクリア報酬をわたして、終了のはずなんですが、今アトリエに戻ると地下街は立ち入り禁止で、ワールドマップはここしかマッピングされていないので、どこへも行けなくなっちゃうんですよね。
中央階段を上って、始まりの丘へ出るところまで案内します。
ついでに、初心者クエスト受けていきますか? さっき見本で出してもらった依頼書が、初心者用だったはずです。
中央階段の途中の踊り場は、このような公園になっていてテラスと呼ばれています。
少し街を見下ろしてみましょう。
南東に伸びる「よろず商店街」は、NPC店が軒を連ねます。コピー用紙やネンド加工用のヘラや押し型など便利グッズの類と、魔法を使うためのアイテム・スキルチップなどが売られています。
南西に伸びるのは「ブランド街」です。空き店舗が目立ちますが、プレイヤーメイドの商品が並びます。
その他のアイテム取引としては、まずアナログな方法として露店。これは品物を置いて客引きをして、全部自分でします。ちょっとしたお助けアイテムは、よろず商店街になくもないですけど、基本的に保護のない販売スタイルです。
もうひとつの方法は自動販売機です。教会の南側、2つの通りに挟まれた住宅街の、あちこちに設置されています。中身のない売り切れの物を探して、商品を登録しておけば売り上げが自動的に届きます。登録手数料がかかりますけどね。
報酬アイテムは、『霧吹き』と『乾燥剤』、A4サイズの未登録なコピー用紙が5枚。それから『ポストコア』と『スターコア』です。
霧吹きと乾燥剤は乾湿度の調整、体調管理に役立ててください。
水を入れる必要のある霧吹きに使っている防水ネンドは、雛の森東の沼のボスから手に入った鱗が材料です。さきほど姉さんからボクのアトリエへ届きました。通常の霧吹きより防水性が高いですよ。安価な霧吹きは、中身入れたまま放置すると水漏れしちゃうんですよ。防水性といってもネンドですからね。
コピー用紙は何度も使いましたから、説明しなくても分かりますね。
ポストは任意のアドレスを設定していただいて、アイテムホールのボックスのような感じで、アトリエに設置してください。
アドレスを知っていれば、ポストからポストへ品物を送れます。メールに添付できるのは実体のないデータ的なものだけですから、実体のある物を送りたい時はポストを使います。
ポスト内に品物を置いて送る相手のアドレスを入力すると、ポストの中から荷物が消えます。アドレス先のポストへ手を突っ込んで、物を取るようなことはできません。
スターコアは『座敷童』というサポートシステムを、起動するための物です。
アトリエ内でスターコアに、「召喚・座敷童」とコマンドを唱えてください。くわしい説明は、現れた座敷童自身がしてくれます。
コマンドが分からなくなったら、公式ホームページに説明があります。
改めまして、オールネンドワールドへようこそ。
それでは、よい旅を。
機会があれば、またお会いしましょう。
最後までお読みくださりありがとうございます。