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嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第一部

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第四話-13

 結論からいえば、相沢たちは普通に無事に人混みから出てきた。


「お前らよく平気だったな」


「まあな、俺らは毎年のことだから慣れてるし」


「むしろ御影ちゃんたちこそよく無事だったね。別れたあとで人が思ったより多かったことに気付いて、ちょっと心配してたんだけど」


「うん、大変だったけどね」


 毎年のことだっていうなら、教えてくれても良かったのでは?


 食べ終えた焼きそばのごみをビニール袋にまとめながら、文句を言ってやろうかと思案する。まあそれはさておき、この後何をどうやって食べようか。多分人が減ってくる頃には、食べるものなくなってるよなあ……。


「とりあえず、俺らも座りたいからベンチ詰めてくれん?」


「ああ、そうだな。梨花、こっちおいで」


「東宮くん袋ちょうだい、わたしが持ってるから」


「悪いな、荷物持ち任せちゃって」


 そうして俺が梨花を抱えて詰めた分、御影が俺の方に詰めたことで、向こう側には余裕が生まれたのだが、


「ほらほら御影ちゃん、もうちょっと詰めてもらわないと、私たち座れないよ」


 と言って小西が御影を押してくるのだからたまらない。


 じわじわと距離を詰めている御影だったが、明らかに二人分余裕ができたところで、小西が最後のひと押し(物理)をするものだから、半ば突き飛ばされるような形で、御影の身体が俺の肩にもたれる姿勢になってしまった。


「ご、ごめんね東宮くん!」


 御影は謝ってくるが、これはどう考えても御影は悪くない。


「小西、もうスペースは充分だろ!」


「えー? まだまだもうちょっとだよ」


 あいつ、絶対分かってやってる! 止めない相沢も同罪だ、何がしたいんだあいつらは! まったく、俺の膝に梨花乗せてるの、見えてないわけじゃないだろうな。だからおい、そんなに押されたら、


「きゃっ」


 ほら言った! どうなったかといえば、御影が俺の方に倒れてきたのだ。そりゃそうなる。梨花は咄嗟に反対側に避けたので、ベンチの隣に無事に着地して立っている。代わりに俺の膝の上には、御影が転がっている状態だ。


「はあ、だから言ったのに……。御影、大丈夫か?」


「ううっ、ごめんね」


「いいよ、悪いのはあいつらだし」


 お前らのことだぞ、にまにましてるそこの二人組。俺は根に持つ人間だからな。あとで覚えとけよ。


 やれやれまったく、太腿に肩から落ちてこられると、結構痛いんだよな……。合宿のときは、頭だけだったけど。いやそれはそれでどうなんだ?


 俺は梨花を抱え直し、相沢たちも(スペースに余裕を持って)ベンチに座った。


「小西ちゃんたちは、ご飯食べたの?」


「なんとかね。フランクフルトと焼きそばと焼き鳥は食べてきたよ」


 結構しっかり食ってんじゃねえか。


「けど揚げパンとかチョコバナナは食い損ねたなあ。狙ってたら売り切れちまってた」


 嘘だろもう終わった屋台あるのかよ。


「なあ、御影。俺たちが辛うじて獲得できたのって」


「焼きそばだけだよね?」


「……お前ら、それで足りるの?」


「足りるわけない。とりあえずかき氷でも買いに行こうとしたんだけどさ、ちょっと人混みが激しすぎてな。二の足を踏んでたところだ」


「だとしたらやばいかもな」


 まああて(・・)がないわけでもないけど、期待していいものかどうか。とはいえこのままだと最終的に食いっぱぐれるので、手段を選んでいる場合でもなさそうだ。駄目で元々、やるだけやってみるか。


「ちょっと電話してみる」


「誰に?」


「食えそうなもの用意できる人。まあ忙しいだろうし、繋がるかどうかは賭けだけどな」


 だけど、繋がった。運が良かったみたいだ。


「あー、もしもし? 俺々、俺。ちょっと用意してほしいものがあるんだけど」


『おお、これが噂のオレオレ詐欺』


「何ちょっと感動してんだよ」


 ちょっとずるい気もするけど、祭りの中枢に身内がいて助かった。

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