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嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第二部

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第七話-5

 バスがアメリカンビレッジに到着し、班別に俺たちが解き放たれると、ここぞとばかりに雨が降り出した……ということはなかったけど、空模様はいつそうなっても不思議ではないような、少々怪しい感じだ。


「できるだけ屋根の下を歩くような方向で」


 という外波山の提案で、俺たちは本来しなくてもいいような遠回りをしつつ、思ってた以上に広い敷地内を歩き回った。アメリカンにハンバーガーを昼飯にして、また少し歩き、雑貨屋や服屋を見て回る。ここにもAtom(あとむ)ってあるんだ……どこにでもあるなあ。


 ダーツを投げ、ゲームセンターで金を溶かし、休憩のお供にサーターアンダギーを食べる。健人は大丈夫だろうか、俺たちの中で一番食べているが。あいつそんなに飯食えるタイプだったっけ?


 疑問に思いながら見ていると、さっきから写真を撮ってはスマートフォンを操作していた凛が、LINERの画面を見せてきた。天宮先輩とのやり取りらしいが、さっきまでに食べていたものの写真を送り、こう返事が帰ってきている。高校は五時間目が終わったくらいの時間だろうか。


『食べすぎてお腹壊しちゃダメだよ。去年の僕たちみたいに』


「天宮先輩、去年沖縄で食べすぎてお腹壊したのか……」


「普段はしっかりしてる人なんだけどね」


文芸部(うち)の先輩からはそういうの聞いてないけどなあ」


『ちなみにお腹壊したのは僕の他にも結構いたからみんな気を付けてねって伝えておいてね。ゾンビパニックみたいだった』


「怖っ」


 俺も気を付けよう、調子に乗って食いすぎないようにしないと。


 その日の夜、ホテルに着いて夕食を摂り、部屋に戻ってしばらくすると、健人と鳥羽山が苦しみ始めた。前情報なくこの光景を目にしたら、アメリカンビレッジかホテルのビュッフェで食べたものに、何か良くないものが混じっていた可能性を疑っただろう。四人部屋なのでルームメイトはもう一人いるが、彼は無事のようだ。


「大丈夫かー、二人とも」


 布団の上で蹲るこいつらに一応声はかけておいたが、


「やばい、飯を食いすぎた……」


「俺も……」


「だからさっき言ったじゃん、天宮先輩から忠告があったって。『沖縄のご飯は美味しいから調子に乗りすぎないように』って言われたって言ったじゃん」


「「返す言葉もございません」」


 息ぴったりだなこいつら。まあグループ決めで健人が連れてきた時点で、多分元からそれなりに関わりがあったんだろうってことは想像できてたけど。なお残る一人のルームメイトは、我関せずとばかりに一人さっさとシャワーを浴びてベッドを勝ち取り大の字になって爆睡している。マイペースな奴め……。


 馬鹿なミスをしでかした馬鹿は部屋に置き去りにして、俺は部屋の外に出た。この時間はまだ、館内であればある程度自由に出歩いていいことになっている。お土産の物色タイムも兼ねているようだ。実際、俺もその目的で外に出てきている。三日目の夜は忘れそうだし、今夜品定めして明日買っておこうと考えたわけだ。


 外出はOKだが、客室のあるフロアは自分の階以外行くなと言われているので、例えば女子部屋のフロアを歩いて意中のあの子とばったり、みたいなイベントはない。売店でなら男子と女子が遭遇することはあるだろうけど、それが気になってる異性である確率はどこまでも低い。菅野台の一つの学年に何人いるかを考えれば当然だろう。

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