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猫と僕と知らない世界  作者: シマタロウ
第一部2章:猫と魔術師のお仕事

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2-4:猫と飼い主の友達 暴力で仕事を進めるのは良くないよ?

 遠方から友人が来てくれたのに、十分にもてなせていない内に仕事の依頼が来てしまった。楽しいカニ鍋の余韻も台無しな感じ。


 だが、そこはベテランの依城さん、ナイスな提案をしてくれた。仕事に同席する事により新人のフォローをすると同時、業務開始前後の時間を活用した『もてなしの機会』まで与えてくれるというファインプレイ。

 流石だ。隙の無い采配。ちょっと好戦的なとこはあるけど、それさえ除けば配慮も出来るし能力もあるし、まさに完璧人間じゃないか。


 というわけで、明日は朝から皆でお出かけです。お仕事の場所は電車で少し行ったところの繁華街だし、時間はお昼過ぎからだから結構余裕。なので、皆でお昼食べてから仕事に向かって、それが終わったら晩御飯も食べに行くという素敵な算段。


 ん?よく考えたら依城さんは、いつまでいれるのだろう?月曜もいれるのかな?こっちとしてはクロも喜ぶから大歓迎だけど仕事は大丈夫なのかな?あれかな?自分の仕事より、やらかしそうな新人のフォローの方が大事だったりするのかな?

 流石にそこまで心配されるような事は・・・まぁ、無いことは無いか。いきなり死にかけたし、被疑者を亡き者にしたし。でも、仕事が行き詰ったら腕力で解決するのは、たぶん依城さんも同じようなものだし?仕事の進め方・・・今の方針で別にいいよね?


 ・・・・・・

 ・・・

 いや、いいわけねぇな。ダメに決まってるじゃん。まともな人間のやることじゃねぇよ。

 そりゃ依城さんとしてはその辺り心配するのも当然なわけか。自分が連れてきた人材なわけだし。今まで殴り倒して解決以外の方法は取れていないわけだし。

 客観的に考えたら自分が組織に紹介した人が「どんな仕事も殴って解決」みたいなスタイルだったら・・・マジで笑えなくない?任命責任とか、恩を仇で返すとか、そんな言葉が頭をちらつくよね?

 それが今の僕の立ち位置。

 ・・・ほんと明日は気を付けよう。よく考えずに暴力に頼らない。まず、それが第一目標。ご安全に!


 ちなみに今晩クロは依城さんと一緒に僕が普段使っているベッドで寝ている。僕は1人で来客用の布団で横になりつつ明日の事に思いを馳せてたってわけ。なんでさ。



 日曜とはいえお出かけするので平日と同じ朝7時に起きた。もちろん依城さんとクロはまだ寝ている。今の間に朝の身支度をパパッと終わらせ、朝ごはんの用意にかかる。といっても、プロテインの用意をして、シリアルを皿に盛るだけの簡単な準備なのだけど。


「おはよ・・・ございます・・・・」


 ゴソゴソしていると依城さんが起きて来た。かなり眠たそう。昨晩はクロと話し込んだりしてたのかな?

 にしても年頃の娘さんが男性の前に無防備な寝間着姿で出てくるのは如何なものか?・・・いや、こんな感覚って古いのかな?どうなのかな?よく分かんない。


「おはよう。朝ごはんの用意してるから顔洗っておいで」


「・・・あい・・」


 ふらふらと依城さんが洗面所に向かう。大丈夫かな?

 ちなみに例の如くクロは起きてこない。猫だからね、寝起きは良くないのよ。たまに早起きして朝からハイテンションの時もあるけど。猫って可愛いけどよく分からないよね。

 というわけで二人分のプロテインとシリアルを用意する。そして、普段は入れないけど暖かい紅茶も用意してみたり。クロの分は・・・起きてきたら用意するかな。ほぼカニのパッケージを開けるだけだし。


「すみません。用意してもらっちゃって」


 幾分意識がはっきりしてきたみたい。着衣にも乱れが無くなって目のやり場に困らなくて良いので助かります。


「いいってことよ。って言っても、ほとんど何もしてないけどね。パンとか買っておいたら良かったんだけど、ちょっと気が回らなくて。いつも朝は簡単にすませてるから」


「朝、というか食事はいつも簡単にすませてるってクロちゃんに聞いてますよ。確か『栄養さえ摂れれば別に何でもいいんじゃない?』でしたっけ」


 それ言った覚えあるわー。とりあえず意味なくHAHAHAと笑いながら、いただきます。いつも通りのオールブラン。食物繊維がたっぷりで身体によいヤツ。うん、これは流石にお客さんと食べるものでは無かったかも。身体には良いのだけど、この美味しくなさは・・・ちらりと依城さんの様子を見てみると


「これはちょっと食べにくいですね」


 苦笑いを浮かべながらモショモショ頑張って食べているところだった。オールブランって砕いたコルクみたいな食感だからね、コルク食べた事ないけど。朝食はちょっと配慮が足らなかった。美味しさがあまりに足りない!でも大丈夫!昼ご飯で挽回するし!



 というわけで、お昼は奮発して繁華街のお洒落なイタリアンのお店をチョイス。自分の人生の中では存在していなかった類の選択肢だったので、正直出かける前から若干の緊張があった。だけど、結果としては大成功。午後の仕事の場所の近くに良いお店があって実にラッキー。なんだかとても楽しくて、お土産用のお菓子も買ったりしちゃったし。


 うん、楽しくて本当に良かったんだ。ただね、次の仕事場の雰囲気がね。想定していたよりちょっと悪かったんだよね。


 オフィスビルで打ち合わせ的なものかと思っていたのに、行ってみたら年季の入った雑居ビル。相手さんは顔が怖い系のおじさまばかり。そして、こちらを呼び出した安藤さん(地元のこっち系の団体の人。50歳ぐらいのベテラン経営者風なおじさん)も、最初から険悪かつアグレッシブな態度で攻める攻める。

 応接室の重そうな木のテーブルを挟んで飛び交う罵声。攻撃的な言葉の応酬。

 手土産の菓子を誰かに預ける暇もなく、もちろん休憩中に出してもらう事も出来るわけも無く、というかお茶も出てきてないけど、会議という名の口論は順調にヒートアップ。


 そして、いま僕はテーブルの上に立って、右手に怖い顔の人から奪い取った拳銃、左手には何となく握ったままだったお菓子のチョコレートのサラミという意味の分からない状況。


 怖い顔の人たちは僕をみて酷くおびえた様子。やっぱりうまくいかねぇ。


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