第68話 ユート、突然の裏切り
レッドがゆっくりと、ユートの傍まで歩いて行く。
「ユート、お前には色々と訊きたい事がある」
「まあ、そうやろな」
俺もユートに色々と訊きたい事はあるが、まだ結界の中にいた方がいいだろう。ユートが豹変して、突然俺たちに襲ってくる可能性もあるからな。ここは、レッドに任せるとしよう。
「レッドはんは、わいに何が訊きたいんや?」
「まずは――」
「駄目ですよ、ユート。何も、喋っては」
女性の声!? どこからだ!?
「誰だ!? 姿を見せろ!」
「そんな大声を出さないで下さい。耳が、痛くなってしまいます」
部屋の奥から、ユートと同じ黒のローブを纏った人物が姿を現した。あいつは、何時からこの部屋に居たんだ? 全く、気付かなかったぞ。
「やっぱり、来てもうたか」
「黒いローブ……。ユート、奴はお前の仲間なのか!?」
「そうや。ただ、もう仲間やあらへん。今からは、レッドはん達の仲間や」
ユートが突然、俺たちの仲間? どうゆう事だ?
「あらあら、ユートは私たちを裏切るのですね?」
「たった今、わいは天を穿つ咆哮を抜けさせてもろうたわ」
「そんな事が、許されるとでも?」
「まあ、許されへんやろな。けどな、それでもわいは抜けるで」
「おいおい、一体、何がどうなってんだよ? ユートは、俺たちの仲間になったのか?」
「そうやで。よろしゅうな、レッドはん」
ユートが強引に、レッドの手を握った。




