第12話 頼もしい仲間
「フェリス、あの事をリリーナちゃんに話したのか?」
「あっ、えっと……。ごめんなさい。つい、話の流れで……。でもね、黒竜王に関係する事は何も言ってないよ」
あれ、そういえば……。
(あっ、やば! ここには、こいつが居たんだった!)
テーブルの周りには四つ椅子があり、俺とレインはいつもテーブルを挟んで対面になるように座っている。レッドは、俺の横にあった椅子を引いて腰かけた。
「フェリスちゃん、今の黒竜王って何の事?」
何の事?
……じゃねえんだよ! その事を突っ込むんじゃねえ!
「お兄ちゃん、またやっちゃった。本当に、ごめんなさい」
もう、こうなったら謝り続けるしかねえ!
「なになに? 何でフェリスちゃんが、レインに謝ってるの?」
いちいち、突っ込むんじゃねえよ!
「フェリス、大丈夫だ。どのみち、レッドには話すつもりだった」
「え、そうなの?」
「レッドは、世界で数少ないSランク冒険者だ。仮に危険が迫ったとしても、十分対処出来るだけの実力はある」
言われてみれば、確かにこいつなら、何かが起こっても大丈夫そうだ。
「ん? 俺がどうとかって、何の話?」
「実は……」
レインは白竜のテレーザから訊いた話を、レッドに事細かく説明した。レッドはレインの話の中で、何度か驚きを見せていたが、ふざける様子もなく真剣に最後まで訊いていた。
「なるほど、死の森でそんな事があったとはな」
「今の話は、他の誰にも話さないでくれ」
「そうだな。話をした相手にも、危険が及ぶ可能性があるからな」
リリーナには、絶対に話さないように気を付けよう。
お口に、チャックだぜ!
「で。俺にこの話を聞かせたって事は、俺にも黒竜王について調べろって事か?」
「頼めるか?」
「おお、いいぜ。四千年前の災厄、黒竜王の封印。なかなか面白いじゃねえか」
「くれぐれも、慎重に動いてくれ。それと、絶対に無理な行動はするなよ」
「はいはい、分かってるって」
この二人が動いてくれるなら、頼もしい限りだな。
「さあて、フェリスちゃんの無事も確認出来たし、面白い話も聞けたから、俺は……ここに泊まります!」
は? 何で、そうなる!?
「フェリスちゃん! 今日の夜は俺と……一緒に寝よう!」
おい! ふざけんな! 誰が、お前のような獣と一緒に寝るか! 俺の貞操が、ヤバイじゃねえかよ!