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視るだけ無双 〜スキル合成で世界を塗り替える転生者  作者: 天音天成
第2章:遺跡の鍵

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第8話:動的合成と、空を覆う眼

 遺跡から地上へ戻った俺たちを待っていたのは、歓迎の宴ではなかった。

「出たな、小賢しいネズミ共!」


 待ち構えていたのは、王都の密使と、彼らに買収された森都の温存派の私兵たちだ。

 しかも、彼らの装備は異様だった。全員が目を覆うような布【遮眼幕】を被り、手には奇妙な杖を握っている。


「貴様の能力は、すでに我々の『観測』で割れている! “視る”ことで魔法を模倣し、合成するのだろう? ならば視線を遮り、この【反合成鍵マージ・ジャマー】で術式の結合を阻害すれば、貴様はただの無力な――」


 密使が杖を振り上げると、空間が歪み、俺の頭の中にエラーメッセージが鳴り響いた。


『警告:術式の結合が外部干渉により阻害されています』


「迅! 魔法が……形にならない!」

 リアナが不安げに声を上げる。確かに、これまでの「A+B=C」という固定化された合成プロセスでは、途中の結合部分をジャミングされて霧散してしまう。


「……なるほど。メタ対策としては及第点だ」

 俺は笑みを浮かべた。

「だけどな、エンジニアを舐めるなよ。結合プロセスを固定するから邪魔される。なら、常に変異し続ける流動的なプログラムにすればいい」


(【基盤プロトコル】を軸に、ストックした全術式のパラメータをミリ秒単位でランダム変動させながら合成・展開を繰り返す!)


 ――合成完了。【動的合成ダイナミック・ビルド】。


 俺の手のひらから放たれたのは、炎でも氷でもなく、万華鏡のように性質を変化させ続ける光の奔流。

 ジャミングの周波数を常に置き去りにしながら、光は私兵たちの杖だけを正確に溶かし、彼らの足元を泥に変えて拘束した。

 もちろん、今回も一切の流血はない。


「ば、馬鹿な……対策は完璧だったはずだ……!」

「お前らの“観測”は、アップデートが遅いんだよ」


 腰を抜かす密使たちを前に、リアナが凛とした足取りで進み出る。

「王家の名において宣言します! 森都の不当な裏取引に関与した者たちの、一時停職と財産凍結を命じます!」

 その宣言は、魔導拡声器を通じて森都全域に響き渡った。

 旧態依然とした権力構造が崩れ去り、新しい秩序が生まれた瞬間だった。


 だが――。

「迅、あれを……!」


 リアナが震える指で空を指差す。

 森都の上空、雲を割って現れたのは、都市を覆うほど巨大な『円環と眼』のホログラム投影だった。


『――特異点エラーの無限循環を確認。これより、該当地域の確率固定デバッグを開始する』


 空に浮かぶ巨大な目が、無感情に俺たちを見下ろしていた。

 王都の腐敗は、単なる表層のエラーに過ぎない。この世界そのものを管理し、停滞させようとする不可視の監督機構『観測者』。

 本当の戦争が、ここから始まろうとしていた。



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