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料理人カラン

 俺とアイラが肉を食べている様子をウルスに見られたので、瞬く間にこの噂は町中に広まり、この食料室には、ロイヤルナイツだけではなく一般の客まで来て大繁盛していた


「遊牙!炒飯二個と塩ラーメン持ってB席に持って行ってくれ!」


「はいはい!」


 俺はいつのまにかこの食事室の担当になっていた。

 彼を召喚できるのが俺しかいないので当然であるが、俺まで働かせることはないだろうと思いながらも手を動かす。

 一応アイラも手伝ってはくれてはいるが、まだまだ子供なので手が遅い。

 彼女が料理を持って席に運んでいると転けそうになるのが見えたので助ける。


「おいおい大丈夫かよ」


 俺が心配そうに彼女の体を抱き起こすと、じっとこっちを見てくる。


「な...なんだよ...」


 何か言われるのかと思い、ヒヤヒヤしていると「ありがとう...」と静かに呟かれたので余計にビックリする。


「感謝されたのか?」


「ふふっ、遊牙がいい人だって彼女にも伝わったみたいだね」


 突然現れたウルスに俺は変な声を上げる。


「ウルスか!?、なんだよ...急に背後から話しかけんなって」


「別にいいでしょ、それに貴方には感謝してるしビックリさせようと思ってしたんじゃありませんから」


 プイッと横を向く彼女を俺はうんざりそうに見つめる。

 こいつ可愛いけどちょっと面倒いよな...。

 女の子ってやつは正直苦手だ。

 基本俺は男友だちとしかつるんでこなかったので、どう接するのが正しいのかよくわからない。


「嬢ちゃん!またきたのか!」


 カランが大声でウルスが来たのを見つける。

 彼女は彼を見ると急に礼儀正しくなる。


「カランさん、私達の町に食事と言う名の恵みをもたらして下さいありがとうございます、このウルス、ロイヤルナイツ団長として心から感謝いたします」


 鎧のスカート部分を少し上げて頭を少し下げる。

 これは彼女達流の感謝の仕方らしい。

 それを見た彼は豪勢に笑う。


「ははは!、俺は腹ペコのやつが腹一杯になるとこを見るのが好きなだけさ!食料なら無限にあるからな!好きなだけ食え!」


 そう言うと彼は次々に材料を捌いて調理していく。

 彼のレパートリーには底がないので次々の新メニューを思いつくのだ。

 それを見た俺はまたげんなりする。


「俺は飯屋でアルバイトする為にここにいるんじゃねぇからな!」


 そう言っても彼は調理の手を止めないのでさらに落ち込む俺。


「ちょっとくらい手加減しろよな...、てかここの住民料理に飢えすぎだろ!」


「仕方ないでしょ...、私だって豆くらいしか最近食べてなかったんだから、こんな美味しい物を前にして衝動を抑えられる人なんていませんよ」


 彼女の言い分もごもっともである為何も言い返せない。


「うぬぬ...、仕方ねぇ!俺だってここに厄介になってるからな!少しくらい頑張ってやらぁ!」


「そうそうその域よ!遊牙!」


 俺は大声を張り上げながら、やる気を出し作業を始めた。



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