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アルカディア・クエスト~死にゲーを極めたRTA廃人が駆け抜けるMMORPG『理想郷探索Any%盾使いチャート』~  作者: 蒼唯まる
欲望と万富の教祖へ捧ぐ黄金の神話崩壊

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目に留まるは、悲運と栄華の転身

無理矢理ねじ込んだ感があるのはご了承ください・・・()

 スロットを打ち始めてから早くも数時間が経過した。


 ——爆勝ちした。

 もう意味分からないくらい爆勝ちした。


 メニュー画面から現在の所有コインを確認すれば、表示されている数字は”97’6000”——ガルに換算すれば、大体千万ガルになるか。

 これなら余裕でライトとひだりに立て替えてもらったクランハウス代を清算できるどころか、聖女様が作った回復アイテムをストックできるようになる。

 そうなれば雑魚戦とかで獣呪が暴発したとしても、そこまで大事にならずに済むはずだ。


「うわ……カジノパワーえげつねえな。確かにこれなら一日で数億稼げるのも納得だわ」


「だろ! たまに超絶下振れることもあるけど、金策にはもってこいなんだよなー!」


 暫く前から合流していたダイワが隣の台から相槌を打つ。

 一瞬、画面に集中してスロットのボタンを順々に全部押すと、台から「ボーナスゲーム!!」と軽快な音声が流れた。


「……そうだな」


 頷き、俺は椅子から立ち上がる。

 もう十分稼がせてもらったし、ここらが潮時だろう。


 正直なところもっと稼げる——それこそ億単位で——気はしているが、下手にのめり込んで溶かす可能性もゼロではない。

 俺たちがわざわざあんな大掛かりな大砂漠縦断をしてまでここにやって来たのは、今後の攻略をスムーズに進められるようにする為だ。

 ここは欲を掻かずにさっさとガルに換金しちまって、当初の目的を果たすとしよう。


 ——必要になれば、また思いっきり稼げばいいだけの話だしな。


 もう昼時になっていたこともあり、ダイワとあまみおとは一旦別れてカジノを後にした。

 それから一度クランハウスに戻って、稼いだ金を金庫にぶち込んでからログアウトする。

 昼飯のカップ麺を用意しながら、ARフォンで暇つぶしにネットを眺めていたらふと気になる記事が目に留まった。


「ふーん……プロ格闘家からプロゲーマーへの転向、ね」


 スポーツ系の記事を中心に取り上げる編集部のコラムだった。

 今回の取材対象は、短く刈ったアッシュグレーの髪が特徴的な青年、元プロボクサーで現在は格ゲーのプロゲーマーである和良部(わらべ)(たける)

 競技シーンでのプレイヤー名はKID——あの現世界五位(籠手使い)である。


 あまりこういうネット記事は見ないのだが、相手が相手だ。

 ついついリンクを開いて記事の内容を確認してしまう。


 どうやら今回が一回目のようで、話題はプロゲーマーに転向するまでの経緯だった。


「へえ、結構苦労してたんだな」


 小学生からボクシングを始めて、学生時代は何度も大きな大会での優勝を重ね、高校生の時点でプロデビューする程の期待の逸材だったが、程なくして網膜剥離を患い引退を余儀なくされたという。

 これはeスポーツ界隈でも有名な話だから俺もなんとなく知ってはいたが、こうして本人の口から語られると中々に重いな。


 出来上がったカップ麺を食べながら、俺は記事を読み進める。


 唐突に選手生命を絶たれ、一気に失望のどん底へ。

 そんな状態からどうやってここからプロゲーマーに転身を遂げることができたのか。

 きっかけは、まさかのJINMU RTAだった(一応、これも知ってたけど)。

 途方に暮れていた時に何気なく視聴したJINMU RTAの動画に影響を受けて、即VRギアとソフトを購入したらしい。

 これでVR内での身体の使い方を学び、すぐにRTAに挑戦。

 僅か一ヶ月ちょっとで当時世界十八位の記録を叩き出し、更にその後、数ヶ月と経たずに当時世界七位(以前)の記録に塗り替えてみせた。


「こうして見ると、マジもんの天才だよなあ……」


 天性の身体能力と驚異的なVR適正。

 この二つを兼ね備えたプレイヤーは本当に希少だ。

 俺の知る限りこのタイプにあたるのは、KIDと朧の二人だけだ。

 この二人だけは、お世辞抜きに天賦の才の持ち主だと思っている。


 ——だからこそ、モナカも朧のことが気に入ってるんだろう。


 KIDとは未だちゃんとした面識はないが、いつか朧と引き合わせてみてえな。

 確かユウェナテシアって都市のコロッセオに入り浸っているって話だったから、会おうと思えばそのうち会えるだろ。


 そして、満を持して『Grand Fist』って超メジャーどころの格ゲーに参入。

 長年のボクシングとJINMU RTAで培った技術を活かし、あっという間にランクを駆け上がったことでプロチームのスカウトが舞い込み、現在に至るという。


「そこから破竹の勢いで超大型ルーキーか。シンデレラストーリーってこういうことを言うんだろうな」


 まあ、プロゲーマーになってからも色々あったみたいだが、そこに触れるのは次回のようだ。

 ARフォンをスリープ状態にしてから俺は、読んでいる間に食べ終わったカップ麺を片付けて自室に戻る。

 ちょっと休憩を挟んだら、黄金楽園の散策と金策を再開するとしよう。

この世界のVRゲームは脳に直接映像や音声を送り込んでいるので、五感のいずれかに障害があっても問題なくゲームが出来るようになっています。

一歩間違えれば、ディストピアまっしぐらな技術ですが、現時点ではまだ悪用されてはいないようです。

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― 新着の感想 ―
うーんこれは新手のカイジ ジンムくんや一旦クソデカ借金作ってVR上の豪華客船で返済のためのゲームに出ないかい?
更新されてら嬉しいなぁ
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