流れてくるのをぴたりと止めれば
エリア内をざっと見て回った結果、結論から言うとカジノに入り浸るのが一番効率が良さそうだった。
というのも、このゲームの挙動がリアル過ぎる故に起きる事象なのだが——、
「スロット目押しできるじゃん」
動体視力で全部解決できる。
流石に百発百中とはいかないので、ある程度まとまった軍資金は必要となるが、ザ・ニンジャ・トライアルズをTAがてら周回していれば勝手に貯まってくれた。
結局、目標の三十秒切りには至らなかったが、これに関してはぶっちゃけパラメーターの問題が大きかったので仕方ない。
とりあえずリベンジは最上職にクラスアップしてからってことで、俺はカジノに戻ってスロットに勤しんでいた。
「……っし、三百ゲット」
今、俺が触っている台は10コインレートだ。
なので、実際には3000コインをゲットしたことになる。
「確か1コインが10ガルだったから……これだけで3万ガルかよ」
まだスロットを始めてから十分そこらしか経っていない。
なのにこの稼ぎって……確かにこれなら普通に金策するのがバカらしく思えてくるのも分からなくもないな。
しかもスロットはまだ一プレイ100コインにレートを跳ね上げることも可能だ。
そっちに移行して尚、この調子を維持できたのなら……クランハウス代を賄うのも現実味を帯びてくるだろう。
「それにしても……主さん、目押し上手いっすね。これもJINMUの賜物っすか?」
「まあな。……あ、あと親父が持ってるゲームの影響もあるな。『ギャンブル×ギャンブル』ってゲームなんだけど知ってるか?」
訊ねれば、「あー、ダブギャンっすか」とあまみおの苦笑と生返事が返ってくる。
この反応を見るに、こいつ……中々の情報通だな。
「主さん、あの闇のゲームやったことあるんすね……」
「殆どオフラインモードだけだけどな。あれのオンラインは俺でもあまりやりたくない」
『ギャンブル×ギャンブル』は、簡単に言ってしまえばファイイレ——あの世紀末サッカーゲーム——のカジノ版だ。
イカサマ、賄賂、暴力なんでもありの最早ギャンブルとすら言えないような修羅のゲームで、俺は以前、これの最高位のランクに最速で到達するマスターギャンブラー到達RTAを走ったことがある。
その時に編み出した最速の金稼ぎ方法が高設定台のスロットによる高速目押しだった。
ちなみに体感、あのゲームのオンラインに棲みついている連中の大半がプロのマジシャンかマジもんのイカサマ師じゃねえかってくらいイカサマの手際が良すぎるので、三十分くらいやってから二度とオンラインには潜っていない。
あんな妖怪どもの化かし合いに付き合ってられるか。
親父は今でもたまに潜って身包み剥がされているみたいだが、ごく稀にだけど逆に一泡吹かせているらしい。
……普通のゲームやれよ。
なんてたわいもない会話をしているうちにどんどんコインが貯まっていき、気づけば5万コインまで増えまくっていた。
「そろそろ100コインスロットに移ってもいい頃合いか」
「っすね。当たり台は、もう目星つけてあるんで思う存分稼ぎまくってくださいっす」
「サンキュー、恩に着るわ」
ついでに言うと、あまみおが当たり台を見繕ってくれているのも好調の一因となっていた。
曰く、ダイワも前に俺と似たようなことをやっていたらしく、その時に当たり台を見分ける技術を身につけたのだそうだ。
100コインスロットの台に移動していると、ふとあまみおが後ろを歩くシラユキの方を向いた。
「今更っすけど、シラユキさんも好きに遊んでていいんすよ。ずっと見てるだけだと退屈っすよね?」
しかし、シラユキはふるふると頭を振って答える。
「いえ、そんなことは。十分楽しいですよ。私が遊んでもコインなくす気しかしませんし、ジンくんが楽しそうにしてるのを眺めてるだけで私は満足ですから」
言って、にっこりと微笑むシラユキ。
恐らく建前でなく本心からの発言なのだろうが、あまみおはシラユキを訝しむようにじっと見つめていた。
「え、えっと……どうかしました?」
「……いーや、何もないっす。——と、そうだ。さっきダイワくんから今起きたって連絡きたからちょっと迎えに行ってくるっす。お二人は好きにしててくれっす〜!」
なぜか温かい眼差しを向けると、あまみおは大手を振ってカジノを後にする。
「……なんだったんだ、今の」
「さあ、でもなんだか楽しそうだったね」
「ああ」
なんか碌でもないこと考えてそうな感じだったけど……まあいい。
今はコインを増やすことに専念しようか。
ここでヒロインちゃんがカジノに興じなかったのは何気に英断だったり




