頭を悩ます父リオネル
「今日は王宮に泊まりだから晩餐は一緒にとろう」
「うん」
近すぎる距離
「アラン様ドレスありがとう、ゴメンね、また手直しに時間が掛かっちゃった」
視線を下に胸元に目をやるアラン
「様はいらない、いい加減慣れてくれ…あと、そんなに苦しかったか?」
「デザイン的に胸元が開いていたから…夜会だから仕方ないんだけど、えっとね…着れるんだけどね、あのまま着たら、胸の谷間が溢れちゃって…デザイナーさんに少しだけレースを足してもらったの…お父様に見てもらったら、目の毒だって言われて…世の中の令嬢は胸元を出して恥ずかしくないのかしら」
思い出して恥ずかしくなり、アランの胸元に顔を埋めるマリー
…いい香りがするスーハーと香りを堪能する
アランの香りが大好物なマリー
胸元の筋肉も発達してシャツの上からでも分かるほどの男らしさだ心臓の音も心地よい
はぁ…幸せだ
幸せを噛み締めるマリー
「そうだなぁ…俺はマリー以外に興味がないから世の中の令嬢は目に入らないけど、彼女達も自分を魅力的に見せようと頑張ってるんだろうな…マリーは今でも十分魅力的なのにドレスを着ると、俺でさえ目を奪われるからなぁ…」
マリーの肩をギュッと抱きしめるアラン
「王宮のメイドとアンの腕が凄いんだよ」
「……………」
アランが王太子になったあの日のパーティーで付いてくれていたメイドはマリーが王宮に泊まる日はそのままマリーに付いてくれる。
歳も近いので仲良くしてくれ、流行に敏感なメイド達とアン(父親)の監視の元、王太子の婚約者として、ドレスアップされる
「…マリー明日さ、帝国の若き皇帝が来られるんだけど…花嫁探しも兼ねているらしいんだ…」
「へぇーそうなんだ、レオ様のお手紙にそんなこと書いてなかったのに…あっ!」
…やばい口が滑ってしまった
レオ様の手紙は直接マリーには届かない。
王宮経由でマリーに渡されるのだが、たまに父であるリオネルとやり取りをしている手紙に同包される事もある。
父は別に良いよ、私に渡す手紙の中に入っているくらいだ、見られても困らない内容でしょ?っと軽く言われたので内緒にしていた
じろっと上から睨まれ体を離されるマリー
アランがマリーの両肩に手をやり
「良いか?お前は俺の婚約者だ!責任とって結婚するって言ったよな?覚えているよな」
「はいっ!覚えています」
真剣な目で訴えてくるのでアランの顔が恐ろしい…
「次、何か異性でのトラブルを起こしたら、俺の部屋に閉じ込めるからな!分かったな?」
「アラン様、こわいよぉ…」
うるうると涙の膜がマリーの瞳を覆う
「真剣に言っている、浮気をしたらその場で相手を殺す!俺にはそれくらいの権力はある、分かったな?!」
「しないもん…こわいよぉ…浮気なんてした事ないのに…」
「肝に銘じておけ」
ぐすっ「…はい」
声が小さくなるマリー
…アランの本気が怖い
そうだった…
ヤンデレ体質を持っているんだった
マリーはまだアランと結婚していない、
死亡フラグは立ったままなのだ
幸せすぎて忘れていた…
アランは長い足を組み直しマリーを抱き寄せる
震えるマリーはまるで小動物のようだ
「悪い、怖がらせたか…」
ぐすっと鼻を啜るマリー
「俺の側から離れるなよ」
こくんと頭を下げるマリー
「もうアラン様と結婚したい…」
ぽそっと呟くマリー
「アラン様と一緒にいたい」
「あと二年なんだ…長い、我慢してるんだよ…その間に誰かに取られるんじゃないかと不安で堪らない」
「アラン様が好きだもん」
「知ってる、でもな拐われたらどうする?俺がいない間に襲われたらどうする?マリーの力じゃ無理なんだ」
ぞっとするマリー…
「…アランじゃないとヤダ」
マリーの顎に手をやり顔を上に向かせ
「愛してるマリー誰よりも…」
口付けをされる、深くなる口付けにマリーは
「んっ…ん」と高い声が出る
こほん…
執事の咳払い、ストップ!の合図だ
口付けをしたままチラリと執事をみるアラン
睨みつける執事
攻防戦だ…
アンは明日の準備にマリーの与えられた王宮の部屋に詰めているので今は居ないのだ
「んっ」
と声を上げるマリーに気をよくするアラン
マリーの胸に手を置き
「はぁ、柔らかい」
「もぅ、やだぁ、アランっ」
涙で訴えてくるマリーにハッとするアラン
「悪い…止めてくれて、ありがとう」
チュッと目元にキスをする
「嫌じゃないの、恥ずかしいの…」
「うん知ってる」
かぁっと顔が赤くなるマリー
「可愛い、早く俺のものにしたい」
「…もうなってるみたいなものでしょ?」
「マリーの身も心も全部欲しい」
耳まで赤くなるマリー
「あと二年…待って…」
「うん、待つよ、楽しみだ」
チュッチュッとキスを落とされ、ぐったりするマリー
…愛情が深すぎて辛い
早く二年が過ぎて欲しいと心から思う
コンコンコンと扉がノックされ執事が対応する
「ブロッサム侯爵がおいでです」
「入ってもらえ」
「かしこまりました」
アランの唇に紅が付いている…焦るマリー
ハンカチを出して、アランの唇を急いで拭いていると
「やぁ相変わらず仲がよろしいようで何よりです」
「お…お父様…」
にこりと笑うリオネル
「殿下の口周りを心配するよりも自分の乱れた顔をなんとかしてこい!」
ゾッとするマリー立ち上がり、隣の扉にある洗面ルームへと急ぐ
涙を流した目元は赤く、口紅は取れまだらになっている…
「これは…怒られる」
ぞくっとするマリー
メイドの一人がサッと化粧を直してくれる。
「いつもありがとう」
礼をするマリーに、みなれた光景であるメイドは
「いつものことです!お気になさらずにいちゃついてくださいね!」
と言われた…
そぉっーとアランとリオネルがいるテーブルに戻り一人掛けのソファに腰掛けようとする
「マリーは俺の隣に座れ」
アランに止められる
リオネルを見ると頭で座れと指示される
少し離れてアランの隣に座るマリー
気に入らないのかチラリと目線を寄越すアラン
「みっともない顔がまともになったみたいだな…」
リオネルにチクリと嫌味を言われる
いつもの事だ…気にしないようにしようと、ふぅーと息を吐く
「侯爵、急にどうかしましたか?」
アランが本題に入る
「えぇ、明日帝国の若き皇帝が、王宮に到着します。若くして皇帝になった挨拶がてらに三カ国を周遊していますが、マルベリー王国からの報告によるとやはり、花嫁候補を探しているようです」
「マルベリーには居なかったのか?皇帝の目に止まる美姫は…」
「そのようですね…」
「…なんかヤダ」
ポツリと呟くマリー
「なにが?嫌なんだ?」
リオネルに言われ
「目に止まる美姫ってなに?性格とかじゃなくて見た目なの?そんなんで結婚って決まるの?」
「あんまり言いたくないけどね、帝国の若き皇帝が見染めたってだけで、もうほぼ決まりみたいなもんだよ」
リオネルが、マリーに説明をする
「それって一人じゃないんでしょ?」
「…正妃か側室かは分からないね…分かっているのは、花嫁という事だ」
「…ふーん」
と言うマリー
「そこで…ですね、やはりうちの娘は問題児なもので、結婚まで二年あるんですが、式までは白い結婚という事で、籍だけ入れてしまおうかと言う話もあるんですよ」
「えっ!それは、良いのか?」
ソファから立つアラン
「はぁっーうちの娘は十六にもなって天然が過ぎまして、私も頭を悩ましていまして…」
「え?なんでよ?お父様にまで…ひどい」
驚くマリー
「顔は妻に似て綺麗で性格も素直で、勉強も出来ますし、自慢の娘ではあるんですが、どうも…自分をわかっていないと言うか、不安しかなくて、どうせ二年後に手放すので、ちゃんと責任を持って王家で引き取って下さい。式まで今まで通り邸に住ませますし、今まで通りなにも変わりません。言わなきゃいいんですよ」
リオネルが諦めたかの口調で説明する
「なんか…ひどい」




