完敗宣言
「陛下このたびは私事にお時間を取っていただきありがとうございます」
「畏るなよ。ここにはわしとお前しかおらん」
王の執務室である。
「そう?では遠慮なく。モルガンお前の息子は面白いな。気に入ったよ」
「昨日早馬が来てな、驚いたよ!アランがとうとうローズマリアを射止めたって?」
「らしいな」
「知ってるか?あいつなローズマリアのこと四年前から好きだったんだぞ」
「あぁ、昨日知った」
「あいつがお前に言ったのか?」
「いや。フランソワに言っていたのを偶々聞いたんだよ」
「婚約発表するぞ!早めに!」
「それは任せるよ」
「どうした?お前らしくもない」
「完敗だよ」
「なにが?」
「完敗だって!セシリアと結婚するときも俺は家から早く出そうと思って、セシリアの家族を蔑ろにして奪うように娶った。だからガブリエル伯爵がシスコンを拗らせたままだったろ?」
「まぁそうだな」
「アラン王子は、うちのフランソワを丸め込ませたんだよ。ユーリウスの婚約も決まったろ?娘はブラコンでもあるからな、反対するかと思ったら、アラン王子が上手く話してくれたんだ、二人を祝福するってさ。」
「へぇー。アランが?我が息子ながらやるなぁ。」
「あぁ。俺にできなかった事を王子はいとも簡単にやったんだよ。だから完敗だ。娘を頼むぞ」
「任せろ。エルザもソフィも喜ぶ」
「頼むよ、娘に王妃なんて務まるか心配だよ」
「王妃教育か……大丈夫だろ?」
「その事なんだが、王妃教育は十歳からにしてくれ」
「なんで?」
「娘をまだ甘やかしてやりたい。十歳までは伸び伸びと過ごさせてやってくれ、頼む」
と頭を下げる
「そんなことか。構わんよ。わしが許す。でも王宮には来させてくれるんだよな?」
「あぁ、俺が連れてくるよ」
「わしも会うのが楽しみだよ」
「アラン王子は凄いな。娘は面倒くさい男に惚れられたもんだよ」
苦笑いするリオネル
「お前がそこまで人を褒めるなんて珍しいな」
「本心だよ」
「さてと、わしとの話はおしまいか?エルザを呼ぶぞ!」
「あぁ、面倒だな…」
「そう言うなよ、明るくていいだろ?」
「まぁな」
「おい!王妃を呼んできてくれ」
側で控えているメイドに伝える
「はい、かしこまりました」
コンコンコン
「王妃様がおいででございます」
「入れ」
「お待たせーー!!」
「王妃殿下、忙しいところお時間をとらせてしまって申し訳ございません」
「あらあら。良いのよー。リオネルったら普通に話してよ!調子狂っちゃうから」
「……そうさせて貰う」
「それで?アランとローズマリアちゃんでしょ?」
「あぁ。娘の事を頼みます」
頭を下げるリオネル
「こんな嬉しい事ってある?アランの初恋も実ったし、セシリアの娘と婚約よ?私ね嬉しくってアランを抱きしめちゃったわ」
「アラン苦しそうだったよな…」
「ソフィアもアランを抱きしめていたわ!初めて見たわよ!そう言う事でウェルカムよ!」
「ありがとう、娘をよろしく頼む」
「あんたの家の問題は解決したの?」
「あぁ。アラン王子が解決しちゃったよ。俺の出る幕無しだった」
「やるわねぇ。アラン」
「そうだな。面白いなアラン王子は」
「リオネルってば、どうしたの?」
「アランの事を認めたらしいぞ!凄いなアイツ!婚約発表もこっちに任せてくれるそうだぞ」
「えぇー。本当?ドレスも?髪型も?アクセサリーも?」
「任せるよ。金は出させてくれ」
「え?要らない。娘になるんだもの。私費で払うわよ」
「いや。払うよ。」
「要らないってば」
「まぁまぁそこは後で話してくれよ。エルザ話を拗らせるな!アランに殺されるぞ!」
「……分かった」
「それと、うちのユーリウスの婚約は認められるんだよな?」
「あぁ。証明書を出してくれたら即日発行してやっても良いぞ!アランの件はもうお前の名前を書くだけだ。早く書け今日中に発行するから」
「こういう仕事は素早いな」
「アランが段取りしていた」
「さすがだな。もうお手上げだよ。つい最近まで、俺のことを一番好きって言ってたのになぁ……嬉しかったんだよなぁ」
「アランの事虐めないでよ……」
「エルザ、リオネルは認めた人間はとことん面倒見るから大丈夫だ」
「言っとくけど私だってアランの相手がローズマリアちゃんじゃなかったらここまでしないからね!大事な息子なんだから。アランの初恋が私じゃないのがしゃくだけど!」
「娘はファザコン気味でもあるしな、そうさせたのは俺かもな」
「分かってるんじゃないの!」
「だからローズマリアはアランなんだろ?似てるよな、丸め込み方とか?性格かな」
「アラン王子の方が上手だけどな」
「父親に似た人を好きなるのかしらねぇ」
「それだと嬉しいけどな」
三人で笑い合う。こんな日が来るとはなぁ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とアランの両親とマリーの父は、この婚約に乗り気でどんどん話が進むのであった。




