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わたしはLINEで影と朔に巡を回収したことを伝えた。
巡はわたしの隣で歩いてくれている。花束はわたしが持っていた。泣き腫らした瞼が熱く重い。でもそんなのもう気にならないほど、満足感が充足していた。
「どうやって俺の居場所特定したの?」
巡がおもむろに尋ねる。
「影がwhooで巡くんと繋がってるって言ってたから、途中までそれ追ってた」
「あーやっぱwhooか、俺途中でアカウント消したわ」
「だよね」
無言が続く。わたしたちは今、巡の自宅へ向かっていた。そこに影と朔がいる。
スマホが振動したので、ロック画面を見る。と、トップにLINEの通知が来ていた。影からの個人LINEだった。
『あとでこの前のやり直しさせて』
わたしはしばし熟考した末、この前、があのインターネットコミックカフェでの出来事のことだと理解する。あの時の記憶を鮮明に思い出して、わたしは硬直した。
「どうしたの?」
巡がそれに気づいて声をかける。わたしは少しのタイムラグの後に「あっいや」とだけ返す。
巡は刹那の沈黙の後に、わたしに問うた。
「他の男のこと考えてる?」
わたしより20センチ近く高い背を傾けて、巡は覗き込むようにわたしを見つめる。
わたしは突然の至近距離に心臓が高鳴り、息が詰まる。
「……違くはないんだけど、そういうんじゃなくて」
巡は目を細めて少し考え込むようにした後に、「あれかー、あの、影だろ?影」と言った。
「う、うん。すごいね、わかるの」
やっぱり人を観察する能力に長けてるな、と思いつつ、わたしはそう溢す。
「影に告られた?」
「えっ!?なんでわかんの」
「わかるよ、この19年で死ぬほど磨いた洞察力」
「ははっ、何それ」
わたしは笑った。
「あいつが女の子のこと好きになるなんて初めてだから。真剣に返事してあげてね」
その一言で、巡と影の間の長年培った絆が強固なものであると、思い知った。
「うん、わかってる」
そう言うと同時に、わたしたちはマンションの敷地内に入った。
「はー帰んの久しぶり。アイス買ってくればよかった」
「じゃああとでみんなで買いに行こ」
「また外出んの暑くね?」
「えーじゃあアイス食べないの?」
そんな軽口を交わしてわたしたちはエレベーターを待つ。
最後にここを訪れた時には考えられなかった、晴れやかな気持ちで巡の隣に立つ。
「たまにはスーパーカップとか食うか」
巡が斜め上を向いて言う。
わたしは笑って、「じゃあチョコチップがいいな」と返した。




