9.我々の力
「あ!?BSFとはどのような組織なのでしょうか?」
「ふっふっふ、それはじゃな、対バグズの専門部隊じゃ!!」
おい!このオヤジ、一言で済ませ過ぎだ!早く次を言いなさい!
「あ、あの、もう少し詳しく…」
「む!?えっとじゃのう…
バグズを倒すために作られた部隊で…」チラッ
「バグズが出た際に各地に赴き、奴らを倒す」チラッ
「そのために一般の人々とは一線を画す力を持っておる!」
脇に控える秘書の橋本さんをチラチラみているな。
だんだんとメッキが剥がれてきているな。まぁ、もったほうか…
このオヤジはこうゆうのより、現場肌の人だからな…
「その一線を画す力とは具体的には!?」
「お、それならわかりやすい!鳴!!」
「事前の予定と全く違いますが、分かりました。
えー、ご紹介頂きました、"零番隊"隊長の夜白龍鳴と申します。
後ろの2人が隊員のアリス・ミスカ、アレン・クーパーです」
私とアレンは隊長の紹介に合わせて、頭を下げる。
「さっそくですが見て頂いたほうが分かりやすいかと。アリス、やってしまえ」
「了」
私はわざと高めにジャンプして隊長を飛び越え、前に出る。
既に自然に使えるようになった、能力を発動させる。狙いはさっきのムカつく記者だ。手をかざすとすぐにあの記者を囲むように氷の壁が出現。
「なっ!?なんだ!?」
「え!?」
どよめきが広がる…
ふふふっ…これでパフォーマンスとちょっとしたイタズラが両立する。
…素晴らしい。
「今、見て頂いだいている通り、私の得意な能力は氷を操ること…
このように色々バリエーションは豊富です」
言いながら、隊長達のテーブルの両サイドに氷柱を出現させる。
「創るも壊すも自在です」
たった今、創り出した氷柱を自壊させる。破片が散らばるが、そのうち溶けるだろう…
ちなみに記者の壁はいまだ健在だ……
「次は俺の番だな!」
アレンも前に出てきたので、後ろに下がる。
「俺の得意なのは…
これ!炎だ!」
アレンの両手のから火球1つずつ出現する。
黒を基調とした隊服のコートは通常バックルでとめていて安全のため、広がったりはあまりしない。
今のアレンはわざとバックルを外しており、火球の熱で気流が発生、かなり広がって長身のアレンはさぞ映えることだろう…
いや!?いくら何でもコートのはためきが強くないか!?
あいつ、風も操ってやがる……
火球を記者達の頭上をぐるっと回してから消した。
記者達とあの熱で実感も増すだろう。
「こんな感じだな!危ないから今はこれ以上温度は上げないけどな!」
「アリス、アレンありがとう。
皆さんに今お見せした通り我々はこのような能力がある」
「そ、その能力を使ってバグズクラストと戦うのですか?」
「そうなります。まぁ、メインはこちらの…
高周波ブレードになりますけどね!」
隊長はそう言いながら刀身を抜いて見せた。見た目だけなら一見、普通の日本刀にも見える。
「バグズクラストの甲殻は非常に硬質です。通常の刃物で斬るのは非常に難しいです。よって我々の武装は刃を高速振動させ切断力を向上させたものとなっています。
先程の能力は、かなりの練度にならなければ甲殻を貫くことが出来ません」
「そうなのじゃ!そしてここにおる零番隊は国境なく世界各国全てにまたがりバグズ共に対抗する、BSFのエース部隊じゃ!!
こやつらでも被害が出てしまう状況は、誰がやってもどうにもならんじゃろうて」
「じ、自衛隊は!?銃などは効かないのでしょうか?」
「それはですね、効くものもある!という表現になります。一般にアサルトライフルや機関銃と呼ばれるレベルの弾丸12.7mmでは基本的に甲殻に阻まれ効き目はありません。
機関砲と呼ばれるレベル以上の銃器でなければ効果を発揮出来ないのです。どこに現れるか分からなければ、運用も難しく、市街地での使用は困難なのです」
「あなたがたのような能力はいったいどのようにして使っているのですか!?私達にもなれるのでしょうか?」
「その点についてですが、順をおって説明しますね。まず、先程お話にでたバグズクラストから未知の元素が発見されている事が関係します。これはバグズの血液中に含まれており、人の血液と混合した場合にですが、突然変異を起こします。この突然変異した血液を要因として、身体能力の向上や先程のように炎を操ることなどが可能になっています。
何故、こうなるのか実際には分かっておりません。そのような性質があるとゆうことくらいで……
バグズクラストに対抗するために研究した結果と考えて頂ければ…」
「それはバグズクラストの血液を投入すれば誰でも力が使えるということですか!?」
「概ねその通りです。
ただし、適合成功率は約10%、失敗した場合は100%死亡します。一応、適正の検査は出来ますが、適正ありと判断されても約55%で失敗しています。」
「そっ!?それはもう人体実験ではないですか!?」
「皆さんにはそう捉えられるかも知れませんね…
しかし、200年前当時のBSF発足からバグズクラストに対抗するべく研究してきた成果でもあります。先も申し上げましたが、人類の身体能力で対抗することが難しかったのです。あぁ、我々も本人の許可の上で適合手術を受けており、無理やりなどはありませんよ。大型の銃器の運用だってありますから、適正がなくてもやれることは多いです。
主にBSFメンバーはバグズに対して恨みのあるものばかりですしね…」
今日まで知らなかったのだ…
認識のズレも無理もないだろう...
ただ、バグズを甘く見すぎだ………
「まぁ、分かりやすく説明するなら、適合成功したものがオリンピックに出たら圧勝する。そのくらい劇的に変わります。それでやっとバグズに"対抗"できるステージに立つのです。
あくまでも抵抗できるというで、1対1で勝つには研鑽が必要です。
バグズクラストとという生物はそのくらい脅威なのです!」
「あっ!あー!記者の人達には後日BSFの研究施設にご案内することになっておる!
そこで奴らの事がよく分かるだろう!どれだけの脅威であるかを!
そして、その上でBSFが希望となることを約束しよう」
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