49.真実
side:リリーナ
「00、現状報告を」
「はい、出現したタイプ:δ、4体中、02が2体討伐完了。現在、03含めレベル7、3名で残る2体と交戦中です」
「了解、すぐ着く」
ふぅ、もう安心だね!
いやー、そういえば、00で私の任務中のコードネームだったわ。隊長を00と呼ぶのは変だったねー。
なーんか、自分で言っておいて、小骨が引っかかってる感じあったんだよねー!
〈00ってリリさんのこと?〉
〈00使えないやないかい!?〉
〈リリさ〜ん!絶対忘れてましたよねー?〉
目ざとい視聴者が気付いたようだけど、気付かないふりをする。
くっ!カンのいい視聴者は嫌いだよ!
「01到着、殲滅行動に移行する」
お、隊長が到着したみたいだ。
専用武器はもうその長い刀身を抜いている。タイプ:δはどちらも、現れた隊長を警戒して動きを止めた。
「全員怪我はないか?」
「あぁ、私達は擦り傷程度だ」
ウィルソン隊長が答える。
「アレン、もう少しだったか?」
「なんとなく課題が見えたっす!」
「そうか。それはいいぞ!」
ちょうどアリス達も遅れて集合する形となる。
「隊長!」
「アリス達も怪我は?」
「はい、怪我はありません」
「よくやったな。あとのこいつらは俺がやる。その後は今も湧いて来てるホールに突入しながら討伐する。みんなは各員の援護だ。負傷者を限りなく抑えるように!」
「「「了解」」」
〈隊長ってばかっけー〉
〈まだδが2体いますよ!?〉
〈みんな油断してない?バグズいるよ!?〉
〈いや、δ見てないじゃん!ヤバいって!!〉
各レベル7、5名が散らばろうとする。必然、アレンがδに背を向ける形となり、止まっていたδが動きだす。狙いはもちろん背を向けたアレンだ。
しかし、δの爪がアレンに届くことはなかった。
なにせ伸ばした3本の腕は既に切り落とされていたから…
隊長が腕を切り落としたδの隣をゆっくりと歩いて、もう一体の方へ近付く。
既に半分も腕の無くなったδは警戒心か動けずにいた。
〈え?〉
〈何が?〉
〈俺、映像スキップしてないよな?〉
〈隊長がやったんだよな?〉
コメント欄もザワついている。視聴者たちは隊長の強さをはっきりとは理解していなかったのだろう……
強いとは分かっていても、視聴者にハッキリと伝わる描写はなかったかもしれない…
でも、私達は知っている。
隊長がなぜ、1人だけランキングから外れているのか。
隊長がなぜ、特定拠点ではなく遊撃部隊という形をととっているのか。
近年、BSF全体のレベルが上がっているのは、誰が教えているからなのか。
レベル7複数人、それもランキング上位まで含めた相手に1人で模擬戦出来るその事実を……
完全に背後となったδが雄叫びのような、奇声を発してその爪で再び斬り掛かると同時に、正面から未だ健在なδが襲いかかる。
もはや、私には何が起きたか分からない。だが、結果だけははっきりとわかる。バラバラに切り刻まれたδがボロボロと崩れ落ちるのはゆっくりだから。
「うむ、相変わらずだな」
ウィルソン隊長が横目で確認して呟く。
「お前らぁ!!あと少し気合いを入れろ!ここからは殲滅戦だ!」
「「了解」」
ウィルソン隊長にハッパをかけられて、各部隊員も気合いを入れ直す。
〈隊長強すぎじゃね?〉
〈恐ろしく早い攻撃、俺でも見逃しちゃったね〉
〈はい、後でスローでおねしゃす〉
〈隊長ー!かっこよ過ぎる!〉
〈たいちょぉおおお!!惚れてまうやろー〉
〈一生ついていきます!〉
「こちら01、これよりホールに突入する」
「了解!ドローン追従します」
隊長がホールへと降りていく。ただ直径3mほどの穴、当然ながら光などないが、ドローンが照らしておりある程度の視界は確保されている。
少し進む度に暗闇からバグズが出てくる様は、ほとんどホラーだった。
〈暗闇からヌルッとバグズは怖すぎです〉
〈ホラー映画鑑賞会開始〉
〈隊長ガンガン進んでいくやん〉
〈隊長の背中は安心するなぁ〉
未だに出てくるバグズはタイプ:αだろうとタイプ:γだろうと、そこに差は一切ない。
ただただ真っ二つに斬られて道をあけることになる。
隊長がどんどん下に降りていく。45°くらいの傾斜で掘られた穴は、ドローン画面越しだとかなり急に見える。
追従ドローンから計算しておそらく1.5kmくらいだろうか。光が見える。
光まで進むと場所には発光した正方形の何かがあった。
それは角にひし形のクリスタルのようなものがあり、お互いを光で結びあって正方形が造られていた。正方形の内部はほんのり発光しており、半透明になっていて、その奥の岩石が見える。どうやら行き止まりとなっていることが分かる。
「…なんだ?」
〈なにこれ?〉
〈なんやろ?〉
〈ヤバそうな雰囲気……〉
「00、見えてるか?」
「はい、映像でも確認出来ています!ここからバグズが?」
「そうとしか考えられないが…」
観察していると、急に発光が強くなる。
「ん?」
すると正方形の内部からタイプ:δが姿を現す。軽く飛び出してきたように現れたδは、隊長を見て、動きを止めた。
「ずっと、お前らは地下に住み着いてるんだと思ってたよ」
「ギシギシギシギシ」
相変わらず不快な鳴き声を発して、隊長に襲いかかる。
隊長は、冷静にδをみた後…
うん、δはすぐに首を斬られてその場に転がる。
なにをしたかは見えないが、斬ったのだけはわかる。
〈びっくりが追いつかないんだけど〉
〈俺はなんか、逆に冷静になってきたわ〉
〈強すぎて戦闘にならないww〉
〈バグズの種類がなんだろうと、戦闘時間変わらないの草〉
ん、研究室から連絡が入った。
なるほど…
「01、研究室より連絡です。バグズ出現の原因である可能性が高いため、回収して欲しいそうです」
「まぁ、そうだよな……バグズは転送されてるのか?」
隊長が観察している。
「どう、回収するか…」
隊長は近くの石を拾って転送ゲートと思しきものに投げ入れる。しかし、石はその後ろの壁にぶつかり、まだ手前に転がってきた。
「これはー、一方向なのか?」
隊長はまた石を拾って今度は角の割れたクリスタルの部分に投げた。今度はクリスタルに当たって石が転がる。
転送ゲートには特に反応がない。
「んー……」
ゆっくり手を伸ばし、角のクリスタルに触れる。コンコンと叩くが反応はない。
隊長は首をかしげて、正方形の光に触れた瞬間、
「おっ!?」
隊長の姿が消えた。
「っえ!?」
ドローンには相変わらず少し発光した転送ゲートだけが映っている。
「01、応答してください!」
なにも返事が帰ってこない……
「隊長っ!?隊長応答してください!??」
〈え?〉
〈は?〉
〈隊長??〉
〈隊長が転送された!?〉
さっきは反応してなかったのに!!
ドローンを転送ゲートに突入させる。ゴンッ!っと奥の石壁にぶつかる。
なんでっ??
なんで、なんでなんで!??
ドローンをバックさせて、もう一度突っ込ませるが、転送されず、壁にぶつかる。
どうして!?
ドローンをまた戻して転送ゲートを映すと、光が減っていく。四隅のひし形が中央へ集まって、拳サイズの1つのクリスタルとなって、発光が止まる。
輝きを失ったクリスタルが転がり、カランカランと虚しい音だけがホールの中に鳴り響く……
「えっ?00、どうしたんです?」
「あ、アリス……隊長が……転送された」
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