48.私の姪
side:フラー
予想されていた通り発生した、大規模進行の現場に向かう途中、追加情報がくる。
「バグズが総数70を超えました!」
「なんて数なの!?」
サンダブリッツから投下されたドローンの映像が映る。広報部はラスベガス支部からもう配信し始めたようね。
鳴くんが降下しする直前から生配信されているこの映像、若干のディレイを挟んで配信することで、モザイク処理が必要なものが映り込んだ場合対応出来るようにしている。
まあ、私達が見てるのはディレイなしの映像だけど。
「あの高度からみんな飛び降りるなんて…」
カイくんが感想をこぼす。
「そうだね、私たちレベル7でもいきなりは無理!」
「え、フラーさんでもですか!?」
「えぇ、ライアンさんなら出来るかもしれないけど、私はもっと低空から練習しないと厳しいわね」
ましてや、鳴くんみたいな、マッハで飛んでる減速前の降下なんて実際見てなきゃ、嘘だと思うレベル。
これだけで零番隊の実力の高さを思い知る。
今も切り倒しているバグズの殲滅スピードが、異常だ。ほんとに同じレベル7でも本当に上位11人はまた隔絶した壁なのだと言うことをまじまじと感じる。
私ももう45歳、いい歳になってしまってきたが、ランキングは17位で止まっている。
「こちらウィルソン、ラスベガス支部全軍へ通達、我々は予定通り、零番隊の援護!レベル7のみ包囲網の内側で殲滅行動に移れ!」
「「了解」」
うちの支部のランキング9位さんから指示がくる。
私も気張って行かないと!なんたって今回は私の師匠であるレミーさんの娘、アリスちゃんがいるんだ。気合いも入るというもの。実際に会ったのは数回程度だったが、レミーさんから話を聞いており、もう、姪っ子だと思っている。
でも、笑いながらバグズを倒してるのは、ちょっと不味いんじゃないかな…
〈バグズ戦闘、これ現実なんだよな…〉
〈すげー、バッタバッタと切り倒してる〉
〈アリスちゃん、笑ってないか?〉
〈バトルジャンキーだったの!?〉
ほら、言わんこっちゃない…
〖アリスちゃんが持っているのは専用武器!その名も銀世界!使いやすいって言ってましたからね。アリスちゃんは新しい武器が楽しそうですね〗
シャルルちゃんナイスフォロー!
〈アリスちゃん、新しいおもちゃが楽しいのか〉
〈おもちゃ(日本刀)〉
〈新しいおもちゃ買って貰った子供だったか〉
〈そう思うとやっぱりカワイイな〉
そう、アリスちゃんはカワイイの!!よく分かってるわね!
「タイプ:δ出現!!な!?よ、よ4体です!」
「4体!?い、急いで!!」
「間もなくです!」
「私はすぐに援護に向かう、お前達は予定通り包囲殲滅を!」
「「「了解!」」」
◇
降下後、真っ直ぐアリスちゃんのところへ向かう。
「ライアン隊長、私はアリスちゃんの方へ」
「了解した、俺とノアでアレンの援護に向かう」
現場は夥しい数のバグズで溢れている。
アリスちゃんはどこだ!?
足から水を噴射させ飛び上がる。ホールの方で氷柱が造られたのが見えた。
「あそこね」
両手両足に水を纏い、再び飛び上がるとアリスちゃんの方へ水を噴射しながら飛んで向かう。
そこにはタイプ:δを2体も相手にして互角に戦っているアリスちゃんがいた。
噴射で加速させて、1本腕の無いδを背後から切り付ける。もちろん、節を狙って。
首は躱されたが、体勢が崩れたことで、アリスちゃんが腕を更に1本切り落とすことに成功した。
「援護するよ!!」
「助かります!」
すぐに違うδがこちらに攻撃してくるため、噴射して急加速して躱す。
アリスちゃんが噴射した水を氷結させ氷槍で攻撃する。私はなるべく水を撒き散らすように立ち回りながら、δに牽制する。
アリスちゃんの氷の攻撃速度が上がる。δは私よりアリスちゃんを脅威と認識しているようで、こちらへの意識は薄い。
なら、とことん嫌なことしてやろう。水でδの右足を絡めとる。同時に左腕を切り落とすように剣をふるう。
δ相手だと私なんて大したことないのだろうが、節なら斬れる。だから、全く対応しないことは出来ない。
それだけあれば、アリスちゃんなら……
δの腕くらい切り落とす!!
「ギシギシギギギ」
また、1本腕が無くなる。
止まらず、別のδへ剣を振るう。まあ、腕で阻まれるが、アリスちゃんの刀がこちらにも向く。残り3本腕のδには氷の槍が近距離からかなりの速度で射出されている。
器用なことをする。
まだ健全なδがアリスちゃんを向いて、余裕が出来たため、援護するように3本腕を全力で水を生成する。【水撃】直径1m程円柱状の水を上下から生成してぶつけ合う。
3本腕は視界不良と水圧による行動制限が生まれる。アリスちゃんは素早く3本腕を氷漬けにした。
健全なδの方は仲間が氷漬けにされても動きに同様はなかった。
それでも…
そもそも1対1でもδに勝てるアリスちゃんと、更に私に挟み撃ちにされ、すぐに押し込まれる。
そのままアリスちゃんが素早く首を切り落として討伐完了だ。
「まだ生きてますね」
アリスちゃんが、氷柱ごと3本腕δの首を切り落とし、トドメをさす。
「流石ね、アリスちゃん強くなり過ぎておばさんびっくりよ」
「ふふっ、フラーさんのアシストのおかげですよ。2体相手は危なかったです。」
そのようだ。訓練中でも、なかなか息を切らさないと思っていたアリスちゃんが、肩で息をしているのだから。さすがに2体は全力運動だったのだろう。
「δ2体討伐完了!」
私は報告を行う。
「すまん、援護を頼む」
すぐにライアンさんから要請がある。そうよね、アリスちゃんが強いから麻痺しそうになってた。いや、既に麻痺していた。
δはそんな簡単な敵じゃないのに……
私とアリスちゃんは急いでライアンさんたちの援護に向かう。
場所は分かりやすい。
火柱が上がっているからだ。すぐに見える位置まで近付いてきた。
ライアンさんとアレンくんがメインで2体の相手しており、ノアくんが援護している。
ノアくんはあまりいない雷系統が得意なタイプだ。でも、ランキング26位で残りの2人に比べてδが相手だと実力不足感がある。
私もだけど、やっぱりランキング11位以内でやっとδと互角なのね。
両者拮抗しており、決め手にかけるといったところかな。
援護に入ろうとすると、
「01到着、殲滅行動に移行する」
鳴くんが到着した。
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