炎の大魔導師、風邪をひく -1-
どういうわけか後頭部がズキズキと痛み、起き上がることがかないません。
だというのに、家の中は非常に騒がしく、頭痛が収まる気配はまったくといっていいほどありません。
「おまえ、居候のくせに火の番もできないのかペン! 居候なら居候らしく、ちったあ役に立ったらどうなんだペン!」
「そ、そんなこと言われたって、オレサマは基本、鳥獣属性のブラックカラスン。こちとら、火は怖いって相場が決まってらあ。できねえもんはできねえんだよ」
「は? おまえ、気に入らないやつを火だるまにしてたペン! 火が怖いなんて、そんな言い訳通らないペンよ!」
「だ、だからあれは、火をつける役は手下のイワトビーに命令して......。そ、それに、あれはほんとに火炙りにしてたわけじゃないからな! あれは、パ、パフォーマンスとして......」
「ペギー!おまっ! ふざっけるなぺんよ! パフォーマンスでガチに火をつけるやつがあるかよ! クソッたれ!同胞の恨み、ここではらさでおくべきかペン!」
「や、やめろよ! 暴力反対!」
双方のモンスターによる言い争いが頭に響き、まるで頭をハンマーでガンガン叩かれているかのごとくです。
「おばはんも寝てばかりいないで、なんとか言ったらどうなんだペン、炎の大魔導師たるもの、火の番をモンスターに任せきりというのはどうかと思うぺんよ」
痛すぎて頭は上げられませんが、トビーの言っていることは理解します。しかしながら、どうしても起き上がることは困難です。
「ミリアのおかみさんに、役に立ちたい、なんでもいいから手伝わせてくれってお願いしたのはオレサマなんだ。だから、おかみさんをせめないでやってくれ」
「だったらおまえ、それこそ、火の番をちゃんと最後までするペンよ!」
「いや、オレサマもまさか、火の番を頼まれるとは思いもよらなくてだな、えっと......」
ペギーがごにょごにょと言い淀んでいます。
ということは察するに、現時点でだれも火の番は見れていないということになります。
炎の大魔導師たるわたしの家に、イワトビーであるトビーと、ブラックカラスンであるペギーがただいま共存しています。
が、最初こそ、双方上手くやっていたのですが、ここのところは日々いがみ合う関係が続いています。




