表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノンマルタス伝説~四天王編~  作者: トト
一筋の道・永遠の光
1/37

~第一話~

 四天王編を通しての主人公はセラフィナイトですが、この「一筋の道・永遠の光」はジェムシリカがメインのお話です。

  挿絵(By みてみん)



 それは練習試合の筈だった。

 少なくとも周りにいる者はそう思っていた。

 一部の人間を除いて。


 二人が使用している剣は“真剣”。

 二人にとってそれは紛れもない“死闘”。

 お互いが自身の想いを――信念を貫く為に、己の全てを賭けた闘いだった。


 試合開始の合図があってから既に二時間近くが経過していた。

 実力が拮抗した者同士のハイレベルな闘い。

 一瞬の隙も許されない過酷な勝負は二人の体力を著しく消耗させていた。


(……負けない。負ける訳にはいかない! あの方をお護りする為に! あの方の一番近くに居る為に!!)



    挿絵(By みてみん)



(貴方の決意がどれほどのものか、試させて頂く。この私に勝てぬようでは、あの方の側近筆頭の位置……貴方に任せる訳にはいかない。貴方の選んだ道がどれほど厳しいものか、この私が貴方に教えて差し上げよう。貴方はまだ若い! いくらでも違う道を選べる筈なのだから! それが貴方の為だ。セラフィナイト殿っ!)



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



 八歳の時、ラピス女王にその才能を見出されシェルの守役に抜擢されたセラフィナイトは、その類稀なる才能を遺憾なく発揮し15歳でシェルの側近の地位を得た。

 それまでシェルの側近の最年少は17歳のクロサイト。

 17歳で成人を迎えるノンマルタス一族の中では異例の事だった。


 アクアオーラ一族を見守る為にムーカイトを頻繁に訪れていたシェルの身を案じた女王ラピスは、彼を護る為に(後に)四天王と呼ばれる最強の戦士を側近に迎える必要があった。

 シェルの側近に求められた条件(もの)は出自よりも純然たる能力(ちから)


 四天王の称号は、最強の剣の使い手四人に与えられたものだったが、四天王にはそれぞれに特性があった。

 例えば、諜報能力を誇るクリソコラは四天王一の体術を持ち剣の腕前も一級だったが、それよりも小型の武器(苦無手裏剣)を得意としていた。

 クロサイトは弓の名手。


 一族最強の戦士は誰なのか?

 四人がそれぞれに死力を尽くし闘う事態など起こりうる筈がない故に、それを的確に把握する事は出来ないであろうが、一番年長でありシェルの側近筆頭であるジェムシリカが“四天王最強の戦士だ”というのが定説となっていた。


 実際、ジェムシリカの剣技は他の四天王とは隔絶していた。

 彼は“本気”で誰かと戦った事など一度もなかった。

 “本気”になる必要すらなかった。

 ただ一度、ムーカイトの碧い髪の力が覚醒した八歳のシェルと対峙した時以外は……。


 それまで、ジェムシリカにとって王子殿下(シェルタイト)は“護るべき存在”だった。

 勿論それは現在(いま)も変わらない。

 誰よりも、己が命よりも大切な主君――それが変わる事は決してない。

 しかし、その想いは自身の初めての敗北以降、徐々に変化していった。

 ジェムシリカ自身も己の気持ちの変化に気づいてはいたが、それを表に出す事は一度もなかった。


 その日――

 四天王はラピス女王の召集を受け謁見の間に集っていた。


「今日其方たちに集まってもらったのは外でもない。今日よりシェルタイトの側近筆頭はセラフィナイトとする」


 そのラピス女王の言葉は、誰にとっても予期せぬ衝撃的な言葉だった。


 ジェムシリカ25歳、セラフィナイト16歳。

 それは、セラフィナイトが自身の気持ちに気づいた――あの春の日から半年後の事だった。  

 “セラフィナイトが自身の気持ちに気づいた――あの春の日”は、「セラフィナイト~巡り来る青陽」第一話~を参照して下さいませ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ