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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第三百二十六話 クリスの様子を見に来た人が

 翌日も、屋敷にクリスの様子を見に来る人がいた。

 そんな中、大教会からサイオン枢機卿がわざわざ助産師のシスターさんを派遣してくれた。

 そして、シスターさんの助言で僕はある魔法をクリスに使った。


 シュイン、ぴかー!


「ふう、クリスどうかな?」

「ケン、ありがとう。気持ち悪いのがだいぶ良くなったよ」


 僕がクリスにかけたのは、ただの状態異常回復魔法です。

 クリスも、少しスッキリした表情を見せていた。


「流石、【蒼の治癒師】様の回復魔法です。しかし、逆を言えば【蒼の治癒師】様の治療が必要な程と言えましょう。また、あくまでも一時的な措置ですので、当分は毎日治療が必要になります」


 シスターさん曰く、妊娠状態が続いているので再び気持ち悪くなる可能性が高いという。

 その為、悪阻が軽くなるまで毎朝治療をする事になった。


「しかし、【蒼の治癒師】様と奥方様は本当に仲が良いですね。貴族家の方でここまで親身になって心配する方は少ないです」

「ふふふ。シスター、そこがケン君の良いところよ。相手を思いやる気持ちは、初めて会った時から変わることはないわ」


 実は今日は王妃様が早朝から来ていて、治療に立ち会ってくれた。

 王妃様はシスターとにこやかに話をしていたが、今度は僕とクリスに話しかけた。


「クリスちゃんは、【蒼の治癒師】様の治療が必要で教会のシスターからも無理は禁物と言われたわ。明後日の謁見は残りの人で対応すればいいわ」

「「王妃様、申し訳ありません」」

「いいのよ。謁見で何か言ってきた貴族がいたら、私がガツンと言ってあげるわ」


 王妃様が僕とクリスにニコリとしてくれたが、これで僕に何か言ってきたら王家を敵に回す事にもなった。

 陛下にも連絡し、正式に謁見時にクリスが欠席する事となった。


 コンコン。


「はい、どうぞ」


 ガチャ。


「「きたー!」」

「あうー」


 ここで、新たにクリスの様子を見に来た人達が部屋の中に入って来ました。

 なんと、メアリーさんとイリスちゃん、シーリアさんとスーザンちゃん、そしてシンシアお姉様とオルテガちゃんだ。

 どうも、たまたま同時に屋敷に到着したらしい。

 そして、クリスの容態と対応方法、明後日の謁見にクリスが不参加の件を説明した。


「こればかりは仕方ないですわ。私も、最初の妊娠時には悪阻で苦労しましたわ」

「私は、そんなに悪阻は酷くなかったわ。でも、ケン君の治療が必要なレベルなのね」


 クリスの苦労を理解したメアリーさんに対し、シーリアさんは悪阻は軽かったという。

 その代わり、シーリアさんの初産は難産だったけど。


「でも、あの小さかったケンが父親になるのね。時が経つのは、とても早いわ」

「あぶー」


 オルテガちゃんを抱っこするシンシアお姉様は、何だかとても感慨深そうにしていた。

 確かに、僕がシンシアお姉様と初めて会ったのは七歳の時だ。

 すると、クリスがシーリアさんに謝ってきた。


「シーリア様、明日のイベントを手伝えなくなって申し訳ありません」

「あら、クリスちゃんが謝る事ではないわ。昨日の内に、色々と調整しているわよ」


 元々クリスは明日軍に出勤予定だったし、何かイベントをやるために色々動いていた。

 クリスはかなり悔しがっていたが、イベントの内容を知っているスラちゃんがシーリアさんの補佐をしてくれる事になった。

 他にも手伝いの手配をしたみたいで、シーリアさんなら全く問題ないと思った。


 コンコン。


「どうぞ」


 あれ、また来客?

 僕はドアの外に声をかけた。


 ガチャ。


「失礼します」


 ここで、ハンナおばさんがちょっと申し訳なさそうに部屋の中に入ってきた。

 うーん、何があったのだろうか。

 すると、ハンナおばさんがとんでもない事を報告してきたのだ。


「先程ケーラ様がお見えになったのですが、ケーラ様の馬車に続いて側室を勧めようとする貴族家の方が入ろうとしました。その為、現在玄関前でケーラ様とその貴族の方が揉めております」


 うわあ、ちょっと大惨事になってるではないですか。

 シロちゃんを残し、スラちゃん達も急いで現場に向かった。

 ここは、軍に来てもらうように通信用魔導具で連絡してっと……

 あっ、王妃様、メアリーさん、シーリアさんも僕と同じ内容を通信用魔導具で送っちゃった。

 何はともあれ、玄関前に急がないと。


「イリス、赤ちゃんを抱いているお姉ちゃんと一緒にいてね」

「スーザンも、一緒に赤ちゃんを守ってあげるのよ」

「「はーい」」


 イリスちゃんとスーザンちゃんは、メアリーさんとシーリアさんに元気よく手を上げた。

 そして、オルテガちゃんを覗き込んでいた。

 これで、ここは大丈夫。

 僕達は、一斉に玄関前に向かった。


「ぐっ、何故この俺様が格下の貴族の女如きに文句を言われなければならないんだ!」

「当然です。畏れ多くも、国王陛下よりアスター伯爵家に側室を無理に勧めないようにと命令が出ています。それを、豪快に破ったのですから」

「煩い! 俺様は上位貴族のオオグチ伯爵様だ! 側室ではなく、正妻を勧めて何が悪い!」


 玄関前に到着すると、まさに修羅場と化していたのです。

 どうやらチビスライムの誰かによる拘束魔法で拘束され、座り込んでいる中年男性がオオグチ伯爵みたいだ。

 一方、ケーラさんは背後に包丁を手にした般若が見えるほど激怒モードだ。

 というか、このオオグチ伯爵はクリスを側室にして自分の関係者を僕の正妻にしようとしているのか。

 うん、僕もちょっと頭にきているぞ。

 そして、王妃様が冷たい笑みで怒気をはらみながら、オオグチ伯爵に話しかけた。


「ふふふ。まさか、旦那様である国王陛下の命を堂々と破るものが目の前にいるだなんてね……」

「げーーー!」

 

 オオグチ伯爵は、激怒モードの王妃様を見るなり絶叫していたのだ。

 更に、王妃様の背後には王太子妃様であるメアリーさんと元王子の妻のシーリアさんもいる。

 オオグチ伯爵は格がどうだかと言っていたが、自分がどうやっても太刀打ちできないレベルの人物が目の前にいた。


 ズドドドド!


 更に、敷地内に軍の大軍が入ってきた。

 よく見ると、近衛騎士まで加わっていないかな。

 軍の大軍を見た途端、オオグチ伯爵は顔を真っ青にした。


「王妃様、到着いたしました」

「ご苦労様ね。私の目の前で、陛下の命を破ったのを確認したわ。取り調べと共に屋敷への捜索もお願いね」

「畏まりました。直ぐに対応します」


 近衛騎士は、王妃様からの指示を受け兵と共に動き出した。

 オオグチ伯爵は、ヤバいという表情と共に兵に縄で拘束された。

 どうやら、強制捜査をされたくない何かがあるようだ。

 僕には特に関係ないけど。

 そして、王妃様がオオグチ伯爵にある意味トドメを刺した。


「ああ、そうそう。これを言わないといけないわね。正妻がどうこうとか言っていましたが、アスター伯爵夫人の妊娠が分かったのですよ。王家や親しい貴族は、こうして懐妊したアスター伯爵夫人を見舞っているのです。ふふふ、どうやら貴方はこの情報を得ていないみたいですわね……」

「へっ?」


 王妃様にしては珍しく、少し見下した言い方だった。

 一方、オオグチ伯爵は理解が追いつかずに完全にフリーズしていた。

 そして、ひょうきんな表情のまま護送用の馬車に乗せられた。

 ふう、これで一件落着だ。


「王妃様、ご対応頂き申し訳ありません」

「いいですのよ。貴方も、娘の事を悪くいわれたのですから」


 ケーラさんと王妃様が、お互いに話し合っていた。

 良かった、二人とも落ち着いてくれた。


「噂には聞いていましたが、本当に正妻や側室とか言う貴族がいるのですね」

「本当に呆れるわ。恐らく、今頃オオグチ伯爵家の屋敷は大騒ぎになっているはずよ」


 メアリーさんとシーリアさんも、プリプリしながら話しあっていた。

 何にせよ、僕ももう少し気をつけないとならない。

 クリスとお腹の中の赤ちゃんを守るためにも、僕も頑張らないとって思ったのだった。

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