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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第三百一話 クリスと帝国兵との手合せ

 続いて、魔法兵の訓練の様子を見学する事に。

 やっぱり、僕は剣よりも魔法の方に興味がある。

 行っているのは魔力制御の訓練で、一定の魔力を維持する訓練だ。


「魔力制御ができないと、大きな魔法も小さな魔法も制御できないぞ。地味な訓練だが、これができないと魔法使いとはいえないぞ」

「「「「「はい」」」」」


 教官の指導を受け、魔法兵は真剣に訓練に励んでいた。

 基礎だがとても良い訓練内容で、僕もスラちゃんもうんうんと頷いた。


「僕も、毎朝魔力制御の訓練をしています。もっと魔法を扱うことが上手になるように頑張っています」

「【蒼の治癒師】でも、毎日の訓練を怠らないか。これは良いことを聞いた」


 皇帝陛下だけでなくヘルナンデス様やルーカス様も、僕が毎日訓練をしていることに好印象だ。

 忙しい時でも、クリスやスラちゃん達と魔力循環を行ったりと基礎は必ず行っていた。

 そして、魔法兵の訓練も無事に終了した模様だ。


「皆、意欲的に訓練に励んでおり、余も大変満足だ。基礎の積み重ねがあってこそ、その先に進むことができる。これからも、訓練に励むように」

「「「「「はっ」」」」」


 皇帝陛下は、再度整列した帝国兵に満足そうに話した。

 帝国軍としても、これだけの訓練をしているぞといいアピールになったはずだ。

 すると、皇帝陛下が帝国兵にこんなことを言ったのだ。


「王国軍ニース将軍と話をし、希望者は【蒼の治癒師】たる宮廷魔導師のケン・アスターと手合せする事にした。剣だろうが魔法だろうが、我こそはという勇気あるものはどしどし手を上げる様に」

「「「「「おおー」」」」」


 あの、僕が話を聞いていたのは魔法の手合わせであって、剣の手合わせは全然聞いていないんですけど。

 しかも、クリスとスラちゃん達もやる気満々でアップしていた。

 帝国兵も盛り上がっているけど、この後どうするのだろうか。

 すると、クリスがこんなことを言ってきたのです。


「畏れながら、皇帝陛下にお願いがございます。剣の手合わせにつきましては、【蒼の治癒師】の妻である私にお任せ下さいませ。私を倒せなければ、夫である【蒼の治癒師】の相手では無いかと。また、夫の友人でもあるスラちゃんも魔法の手合わせをすると言っております」

「ははは、確かにそうだな。そなたも、女性ながら勇猛果敢だと聞いておる」

「私の願いを聞いて頂き、感謝申し上げます」


 クリスとスラちゃんが皇帝陛下に深々と頭を下げているが、ヘルナンデス様とルーカス様も特に何も言わなかった。

 もしかしたら、ヘルナンデス様とルーカス様にとってこのくらいの事は想定済みなのかもしれない。

 すると、二人の帝国兵が名乗りをあげた。


「なら、この俺が剣の相手をしてやる!」

「惨敗して、旦那に泣きつくなよ」


 両人とも筋肉ムキムキの大柄な男で、如何にも力自慢って感じだ。

 普通なら、線の細いクリスが相手になるにはかなり厳しいはずだ。


「あっ、私は魔法使いですけど魔法は使いません」

「「なにー!?」」


 しかも、クリスの魔法は使いません発言で、帝国兵は馬鹿にされたとちょっと怒り顔だ。

 帝国兵の女性兵が同じ女性のクリスのことを心配しているが、当のクリスは全く気にしていない。

 準備運動を終えると、クリスは帝国兵から木剣を受け取って訓練場に上がった。

 ここで、クリスは更にこんな事を言った。


「あっ、もし良かったら二人一気に相手をしても大丈夫ですよ」

「「ふざけるな!」」


 クリスのトドメの言葉に、二人の帝国兵は激怒モードで木剣を手に訓練場へと進み出た。

 審判は、帝国軍の幹部がやってくれる事に。


「戦闘不能、待ったなどで勝敗をつける。五分間一本勝負だ」

「はい」

「「やってやるぞ!」」


 冷静なクリスに対し、二人の帝国兵は完全にヒートアップしていた。

 これでは、冷静な判断はできないはずだ。


「はじめ!」

「「うおおおおー!」」


 二人の帝国兵は、同時にクリス目掛けて突っ込んできた。

 クリスはというと、リラックスした状態で剣を構えていた。


「「うぉりゃー!」」


 ブオン、すかっ。


 誰にでも分かるフェイントなしの上段斬りなので、クリスは最小の動きで連撃を避けた。


「はっ」


 バシッ、バシーン。


「「うぐっ……」」


 クリスは、連撃を避けつつ手加減しながら二人の帝国兵の手首を木剣で撃ち付けた。

 流石に二人の帝国兵も木剣を落とすことはないが、それでも予想外の一撃に少し怯んだ。


「はあああ!」


 バシーン。


「ゴフッ……」


 返す刀で、クリスは一人の帝国兵に胴打ちを放った。

 胸当てをつけていたとはいえ、この一撃は結構なダメージだろう。


「ふっ、やあ!」


 バシッ。


「ぐっ……」


 今度は、クリスはバックステップで距離を取り、一気に鳩尾に突きを放った。

 こちらも見事に帝国兵に決まり、帝国兵は苦々しい表情をした。


「畜生!」


 ブオン、ガキン。


 帝国兵の苦し紛れの一撃も、クリスは難なく受け止めた。

 力で受け止めているのではなく、相手の木剣が当たるタイミングで少しバックステップするなど相手の力を吸収していた。

 こうして、五分間の手合わせは終始クリスが圧倒する事になった。

 教官が、手加減しながら新人兵を相手にしているに等しかった。


「そこまで」

「ふうっ」

「「はあはあはあ……」」


 終了の合図で両者は構えを解いたけど、多少呼吸を整えているクリスに対して二人の帝国兵は汗ダクダクで息も荒かった。

 結果は、もう一目見て分かるほどだ。


「はあはあ、ま、魔法を使ったんだ!」

「ふうふう、そ、そうだ! イカサマだ!」


 帝国兵は、手合わせの結果が信じられないのかあーだこーだ言っていた。

 まあ何となく予想できた話の内容だし、信じられないのは確かだろう。

 でも、クリスは一切魔法をつかっていない。

 それは確かだ。


「なら、魔法を使って一振りだけお相手します」

「「上等だ!」」


 クリスと二人の帝国兵は、再び木剣を構えた。

 周りにいる帝国兵が、固唾を飲んで成り行きを見守っていた。


「はじめ!」

「はっ」


 シュッ、シュパッ。

 カランカラン……


「「はあ!?」」


 開始の合図と共に、クリスは一瞬で二人の帝国兵の木剣を斬り落とした。

 そして、スタスタと僕達のところに戻ってきた。

 一方、二人の帝国兵は一瞬にして木剣が斬り落とされ、目をまんまるにする程驚いていた。

 すると、クリスは皇帝陛下の前に膝をついた。


「皇帝陛下、訓練用の木剣を破壊し申し訳ありません。費用は私が支払います」

「ははは、訓練用の木剣は消耗品だ。気にすることはない。しかも、相手をけがをさせないようにと最大限の注意をしていたな」

「ご慧眼、恐れ入ります」


 皇帝陛下は、クリスの動きの意図が分かっていたんだ。

 僕としては、クリスかやりすぎないかちょっと不安だった。

 ヘルナンデス様とルーカス様も、クリスの対応に満足そうに頷いていた。

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