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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第二百九十二話 お城に到着

 段々と大きなお城が眼前に迫り、僕達も一層緊張した。

 同時に、気を引き締めた。

 そして、お城の馬車乗り場に到着……


「おい、国賓が降りる場所はここではないだろうが。誰がここに降ろせと指示を出した?」


 突然、レーベンス様が大声で馬車の御者に質問した。

 御者も、戸惑いながら振り向いた。


「その、ビーゼル伯爵様です……」

「ちっ、あの強欲馬鹿か」


 どうやら、馬車が降りる所で少し問題が発生した様だ。

 ビーゼル伯爵というものが、どうやら堂々と何かをしているはずだ。


「皇帝陛下の指示もある。最初の予定通り、このまま皇族、上位貴族用の馬車乗り場に移動するように」

「はっ」


 レーベンス様の指示で、馬車は別の場所へと動き出した。

 あっ、馬車の窓からちらりと見えたが、悔しそうにしている貴族の姿があった。

 間違いなく、ビーゼル伯爵なのだろう。

 王国の強欲な貴族と同じく、横に大きく豪華な貴族服を身に纏っていた。

 その間ヘルナンデス様は余計なことを口にせず、レーベンス様の対応に従っていた。

 勿論、僕達も余計な事は口にしなかった。

 こっそりとスラちゃんがビーゼル伯爵に鑑定魔法をかけたくらいだ。


「とまーれ」


 そして、係りの合図で馬車はお城の玄関にかなり近い馬車乗り場に到着した。

 厳重な警戒の中で、僕達は馬車から降りた。

 すると、これまた僕が良く知る人が出迎えてくれた。


「ビクトリア皇女様、お久しぶりです」

「【蒼の治癒師】様も、お元気そうでなによりですわ。また、新しい噂を聞きましたわ」


 薄いベージュ色の綺麗なドレスに身を包んだビクトリア皇女様が、僕達一人一人とにこやかに握手してくれた。

 スラちゃん達にも、快く握手をしてくれた。


「どこかのお馬鹿さんが、兄上の命を無視して馬車の運行を妨害しました。本当に申し訳ありません」

「いえ、レーベンス大将が的確な指示を出してくれたので何も心配しておりませんでした」

「そう言って頂けると、本当に助かります。未だに、自分は偉いのだと勘違いしていものがおりまして……」


 ビクトリア皇女様とヘルナンデス様が色々話をしているが、既に一部の兵が先程ビーゼル伯爵達がいた方向に向かった。

 うん、後の対応は帝国軍にお任せだ。


「それでは、皆さま謁見の前にご案内いたします」


 ビクトリア皇女様の先導で、僕達はお城の中に入った。

 見た感じは王国の王城と同じ感じだけど、このお城の方がもう少し豪華な感じがする。

 官僚などは、王国と変わらない服装だ。


「この方法を……」

「うむ、私も……」


 僕の前を進むレーベンス様とヘルナンデス様が、お互いに何か話をしていた。

 更に、スラちゃん達も呼び寄せてあれこれ話をしていた。

 うん、下手に突っ込まない方が良さそうだ。

 クリスはというと、緊張のあまり無言になっていた。

 無意識に僕の手を握っていたが、これ程の大役はない。

 僕も、ギュッとクリスの手を握り返して安心させたのだった。


「こちらが謁見の間になります。もう暫く、お待ち下さいませ」


 王国の王城と同じく、帝国のお城の謁見の間の扉もとても豪華な作りだった。

 やはり、威厳を出す必要があるのだろう。


「では、改めて確認をする。基本的に、話は私が対応する。個々に話しかけられた場合は、その都度対応するように。なお、スラちゃんは私達の側にいるが、チビスライム達はレーベンス大将の側にいる」

「「「はい」」」


 ヘルナンデス様の方針に、僕達は直ぐに返事をした。

 恐らく、アクアちゃん達が別行動なのは先程レーベンス様とヘルナンデス様が話していた事に起因するだろう。

 現に、アクアちゃん達はスラちゃんと念入りに打ち合わせを行っていた。


「いやはや、スラちゃん達は本当に凄いわね。あっさりと、重要作戦を任されたわ」

「王国でも、いつも色々な作戦を任されています。私も、たまにスラちゃん達と一緒に作戦を実行したりします」


 ビクトリア皇女様とクリスも、打ち合わせをするスラちゃん達を見て思わず苦笑していた。

 一方、打ち合わせをするスライムを初めて見た帝国兵は、なんだこりゃって困惑の表情だ。

 そんな中、僕はあることが気になった。


「ルーカス様、スラちゃん達がレーベンス様の命を受けて動いてもいいのでしょうか?」

「その点は大丈夫だろう。レーベンス大将と話をした叔父上が指示を出した事になっている」


 ヘルナンデス様が間に入る事で、色々問題が出ないようにしているんだ。

 この辺は、流石と言えよう。

 僕にとっても、ヘルナンデス様は目指す人だ。

 そんな凄い人みたいになれるように、僕も色々な事に頑張らないと。

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