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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第二百八十五話 帝国へ出発する日の朝

 いよいよ帝国へ向かう日の朝となった。

 前日のうちに様々なものの準備を整えているので、今日はキチンとした服に着替えて王城に向かうだけだ。


「一週間くらいで戻ってくるからね。ハンナおばさんや他の人の言うことをよく聞くんだよ」

「「「はーい」」」

「ガルッ」


 朝食時に、僕はアイちゃん達に色々話をした。

 チビスライム達やピーちゃん、それにトラちゃんも残るし安全は大丈夫。

 ただ、離れ離れになって寂しくなっちゃうのは避けられない。

 ハンナおばさん達が対応してくれるというし、日中は安息日を除いて王城で勉強だ。

 ある意味、忙しい方が寂しくないのかもしれない。

 早く帰ってこれるようにと思いながら、僕とクリス、それにスラちゃん達は馬車に乗り込んで王城へと向かった。

 アイちゃん達は、もう少ししたら王城に向かう予定だ。


「えっと、打ち合わせ時間前まで処理可能な書類を確認しますね」

「ケンは、本当に律儀ね……」


 いつもの執務室で簡単に仕事をしていると、ソファーに座っているクリスが苦笑しながら僕を眺めていた。

 アーサー様も職員も苦笑しているが、何もしないって何だか落ち着かないんだよなあ。

 僕の側にいるスラちゃんも、しょうがないって表情だ。

 とはいえ、三十分もしないうちに僕とクリスは、アーサー様と共に応接室に呼ばれた。


「真面目なケンらしいが、道中も程々にするように。本来の目的は、皇女の結婚式を通じた王国と帝国との親善友好なのだからな」


 陛下は、執務室での僕の様子を聞いて思わず苦笑した。

 そんな陛下の目の前に、豪華な装飾品が二点置かれていた。


「シェイク子爵領は宝石の産地でもある。たまたま大粒のルビーが採れたので、帝国と皇女への贈り物として加工した」


 大粒のルビーがあしらわれたブローチとネックレスで、ルビーの周りにも数多くの宝石があしらわれていた。

 誰が見ても、一級品だと分かった。

 僕は、豪華な装飾品を魔法袋に入れて大切にしまった。


「あと、ヘルナンデスに帝国への書簡を預けている。帝国到着後に、謁見が行われる予定だ。そこで、皇帝に到着の挨拶をする。装飾品なども、そこで渡す予定だ」


 到着の挨拶などは、ヘルナンデス様が対応する。

 この辺りは、偉い人にお任せだ。


「到着後に、歓迎の夜会などが行われる。会談なども行われるが、ケンとクリスも参加だ」


 クリス、陛下の話を聞いてあからさまに嫌そうにしないの。

 表面上はほんの僅かな表情の変化だけど、僕やスラちゃんには直ぐに分かるよ。


「担当者が側にいる予定だが、ある程度自分の身は自分で守るように。スラちゃん達もいるが、何が起こるか分からないからな」


 スラちゃん達は、護衛は任せてとふるふると震えた。

 見た目はただのスライムだけど、スラちゃん達は本当に強い。

 勿論、僕達も十分に気を付けよう。

 その後も事務的な話をし、いよいよ辺境伯領へ出発する時間となった。


「では、行って参ります」

「うむ、気をつけるように」


 僕達は、陛下に見送られながら応接室を後にした。

 王城から軍の施設へと移動し、魔導船のところへと向かった。

 魔導船は最新式で、小型だけど速度が向上しているという。

 既に整備は完了し、いつでも出発可能だ。


「ヘルナンデス様、いつでも出航可能です」

「うむ。では、直ぐに出発する」

「はっ」


 ヘルナンデス様は、出迎えの兵に短く指示を出した。

 僕達は、そのまま搭乗口から船内へと入った。


「わあ、待機室も少し変わっていますね。椅子なども、座り心地が良くなっています」

「ケン君はさっそく気が付いたか。居住性も良くなるようにと、色々手を加えた。勿論操縦性の向上にも腐心している」


 ルーカス様が色々と教えてくれたが、魔導具の改良は日々凄いスピードだ。

 僕が初めて乗った魔導船も凄かったけど、その頃と比較すると何もかもが雲泥の差だ。

 更に、今までに無かったシートベルトみたいなものまでついていた。

 出発の際の対応も、色々と向上しているぞ。


「間もなく出発します。椅子に座り、ベルトを締めて下さい」


 船内アナウンスも、今までと少し変わった。

 勿論、僕達も椅子に座ってベルトを締めた。

 そして、ゆっくりと魔導船は浮上した。

 さあ、辺境伯領へ一直線だ。

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