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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第二百五十話 延期だった謁見の日

 延期された謁見の日になるまで、僕達はとにかく忙しかった。

 普通の仕事もしつつ、たまに軍に呼ばれて捜査資料の整理なども行った。

 今回はかなり大量の押収品があるので、分析する方もとても大変だ。

 ミュウさん達財務職員も連日大忙しで、エレンお祖父様は日帰りで三回もオオクズ子爵領へと向かった。

 一番懸念していた貴族主義勢力からの攻撃は、幸いな事に全くなかった。

 僕達が対策をしっかりしていたのが知れ渡り、更に軍も町の巡回を強化した。

 貴族主義勢力も、下手に手を出せないと理解したみたいだ。

 そんなこんなで、何とか一週間が経った。


「エレンお祖父様、少し疲れていますよ」

「連日捜査で大忙しだったからな。とはいえ、初期対応は無事に終えた。一ヶ月は忙しいだろうが、ここは正念場だ」


 謁見の日となり、僕達はキチンとした服に身を包んで謁見の間の前にいた。

 シェイク子爵領復興に参加したナッシュさんやモーニング様、更にクリスの姿もあったのだ。


「ひ孫はとても可愛いぞ。何というか、あどけないのがいいのう」

「わあ、良いなあ。私も、この前オオクズ子爵領で赤ちゃんを抱っこしたんです。とっても可愛かったですよ」


 モーニング様とクリスは、赤ちゃん談義で盛り上がっていた。

 クリスは事あるごとに実家に帰り、ナッシュさんの娘を可愛がっていた。

 最近のクリスは、とにかく赤ちゃんにメロメロだ。

 仕事はしっかりとやっているので問題ないし、アイちゃん達もとても可愛がっていた。

 僕の実家でももうそろそろ赤ちゃんが生まれるし、クリスの赤ちゃん可愛がりはもう少し続きそうだ。


「シェイク子爵領の災害復旧、並びにオオクズ伯爵が主導した不正対応にあたった者が入場します」


 おっと、僕達の出番だ。

 僕達は、改めて気を引き締めた。


 ギギギ……


 謁見の間の扉が重厚な音を上げながら開き、僕達は赤い絨毯の上をゆっくりと進んだ。

 多くの貴族がにこやかに拍手をする中、一部の貴族は苦々しい表情をしていた。

 間違いなく、貴族主義勢力の貴族だろう。

 でも、僕達は特に気にすることなく所定の場所に移動し、膝をついた。

 それと同時に、他の貴族も拍手をやめて臣下の礼をとった。


「皆のもの、面をあげよ」


 陛下の声で、僕達は一斉に顔を上げた。

 陛下は、周囲を見回してから話し始めた。


「まず、シェイク子爵領で発生した暴風雨による災害対応を進めたものに感謝する。皆も知っている通り、シェイク子爵領は多くの鉱物を産出する国の要だ。鉱山に通じる山道を早期復旧したことは、誠に大儀である」


 陛下は、最初にシェイク子爵領復旧対策について述べた。

 災害復旧作業なのだから、この辺りは特に問題ない。

 というか、この対応に文句を言う貴族がいたら大変だ。


「そして、忘れてはいけないのがオオクズ伯爵をはじめとした不正を暴いた功績だ。多数の証拠を押収し、オオクズ子爵領の住民への対応も始めている」


 ここで、陛下は一呼吸をおいた。

 そして、ギロリと貴族主義勢力を睨みつけてから話を再開した。


「愚かにも、奴らは私兵を大量に雇って調査団を襲った。力を持って国からの調査団を潰そうとするなど、こんな馬鹿な事はあってはならない。特に糾弾しないといけないのは、不正をして当たり前、貴族は偉いのだから何をしてもいいとという腐った根性だ!」


 おお、陛下は久々に激怒モードですね。

 幼い子を人質にしようとする腐った根性を、僕は実際に目の当たりにした。

 人の心を、そして親心を失ったとしか言えないでしょう。

 現在謁見の間にいる貴族主義勢力の貴族は、陛下からの睨みもありただ下を向くだけだった。


「人の心を失ったものは、もはや人にあらず。勿論、貴族でも何でもない。今後も厳しく財務監査を行う。ここにいるものが、人の道を踏み外さないことを期待する」


 そう言い、陛下は玉座から立ち上がって舞台袖に向かった。

 一部何とも言えない表情をしている者がいるが、今は気にしない素振りをしておこう。

 スラちゃん達もいるし、ササッと鑑定してもらった。

 こうして謁見は終わり、僕達は応接室へ移動した。


「陛下、謁見の間でスラちゃんが調べた貴族になります」

「うむ。先ずは軍に調べさせる。良い機会だから、国に巣食う馬鹿どもを一掃しよう」


 陛下は僕から受け取ったメモを一瞥し、直ぐにヘルナンデス様に渡した。

 ヘルナンデス様は、直ぐに通信用魔導具で部下に指示を出した。


「今回の対応に関する報奨は、もう少し時間がかかるだろう。仮に調査対象が増えた場合、来年の新年の謁見時にズレ込むだろう。まあ、余はその可能性が高いと踏んでいる」


 陛下は、お菓子をもりもりと食べながらこの後の展開を予想した。

 僕も、不正をしている貴族は出来るだけ排除したい。

 来年は帝国のビクトリア皇女の結婚式に参加するし、ヘルナンデス様とルーカス様も不確定要素は出来るだけ排除したい思いだった。


「今回の皆の働きはとても良い。時間があれば、学園生にも話をしてもらいたい。不正には断固たる対応を取るという、国の強い意志を教える必要がある」


 陛下は「かも」って話していたけど、この分だと絶対に学園生への出張講義がありそうだ。

 とはいえ、僕は元々色々な人から話を聞こうと思っていたし、ちょうどいい機会かもしれない。


「財務職員への警備強化は、引き続き行う。ケンも、祖父に暫くサンダーホークを預けるように」

「ピッ」


 僕よりも先に、エレンお祖父様の側にいるアルファちゃんがやるぞと気合の入った返事をした。

 貴族主義勢力への捜査は暫く続くし、身の安全の確保は最優先課題だ。

 ミュウさんのところの魔物にも手伝ってもらい、安全に捜査が行われるようにしないと。

 こうして、謁見後も色々と対策案を話した。

 何にせよ、一区切りついたのは間違いなかった。

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