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毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第百六十四話 爆発した屋敷からの撤収と保護した女の子

「おい、ルーカス、ケン君、大丈夫か? とんでもない爆音と煙が上がったから、急いで様子を見に来たぞ」


 粉々になった執務室から庭に移動すると、ヘルナンデス様がかなり慌てながらやってきたのです。

 どうやら、あの三回の大爆発はかなりのインパクトを残したみたいだ。

 周囲に建っている貴族の屋敷もガラスなどが割れており、相当な被害が出ている事が分かった。


「マヌ伯爵が爆発型魔導具の使用を誤り、爆発したのです。更に、もう二つの爆発型魔導具も誘爆しました。正直なところ、ケン君とスラちゃんの魔法障壁がなければ爆発に巻き込まれていました」

「そうか、そんな事があったのか。本当に無事で何よりだ」


 ルーカス様の話を聞き、ヘルナンデス様はホッと胸を撫で下ろしました。

 すると、僕たちの会話を聞いた使用人が、恐る恐る僕たちに話を聞いてきた。


「あの、それではご主人様は……」

「跡形もなく爆発した。恐らく、遺品すら残っていないだろう」

「「「「「なっ!?」」」」」


 ルーカス様が告げたあまりに残酷な現実に、使用人のみならず多くの人がショックを受けた。

 中には思わず泣き出してしまった使用人もいたが、それだけ衝撃的な内容だった。


「そして、屋敷は爆発による影響を確認しないとならない。問題のない者は、私とアスター男爵で分けて保護する事にする」


 ルーカス様の方針に、僕も頷いた。

 現在スラちゃんの鑑定魔法によるチェックが行われており、問題のある者は次々と捕まっていった。

 マヌ伯爵家の者も同様で、残っているのは僅か三歳の令嬢のみだった。

 ルーカス様の屋敷はスーザンちゃんが産まれたばかりなので、三歳の令嬢はお世話係の使用人と共に僕の屋敷で保護する事になった。

 大忙しの中の護送や保護の手配が終わったので、僕とスラちゃんはヘルナンデス様とルーカス様と共に王城に向かったのだった。


「二人とも、無事で何よりだ。今回の件で、過激派がかなり危険な存在だと改めて知らしめる結果となった。今後も、過激派は厳しく取り締まらないとならない」


 王城に着いて応接室に案内されると、陛下は僕たちの無事を祈りつつ改めて取り締まりの強化を明言した。

 今回のマヌ伯爵による軍施設爆発未遂と屋敷での爆発事件は、王城でもかなりの衝撃を持って捉えられているという。

 何しろ、爆発音と爆発で起きた煙を王城でもハッキリと感じたからだった。


「暫く、ケンにはスラム街での奉仕活動を増やしてもらおう。馬鹿な貴族でない限り、自ら馬脚を現す事はしない。なら、対応可能な犯罪組織から手を付ける事とする」

「畏まりました」


 僕は、ソファーから立ち上がって陛下に頭を下げた。

 その時、ヘルナンデス様とルーカス様の通信用魔導具にとんでもない連絡が入ったのです。


「これは……捕縛された使用人の中に、帝国兵が含まれている事が判明しました」

「どうやら、帝国側の貴族と繋がっている模様です」

「なら、直ぐに手を打とう。今の皇帝は、無駄な争いを好まない。何かしらの対策をするだろう」


 陛下は、帝国とのホットラインを使って連絡するという。

 何にせよ、あまり良くない状況と言えた。


「マヌ伯爵家の処分は後ほどだが、国家反逆罪だけでなく外患誘致罪まで加わるとなると厳罰は避けられない。ケンが保護した少女を仮当主とするが、そのまま保護になるだろう」


 まだ三歳の女の子に聞かせるには酷な話ばかりだ。

 何にせよ、暫く様子を見ないといけない。

 これで打ち合わせは終わり、僕とスラちゃんは屋敷に戻った。

 因みに、軍の施設の検問にいるチビスライム達は、今日はこのまま検問を頑張るそうだ。


「それで、この女の子が屋敷にいるんだね」

「すー、すー」


 応接室で話を聞こうとしたのだけど、女の子は疲れたのかぐっすりと眠ってしまった。

 クリスもミュウさんの屋敷から戻ってきたが、あの爆発音はミュウさんの屋敷でも聞こえたという。

 僕は、女の子専属の使用人に詳しく話を聞くことにした。


「その、ケイトお嬢様は家族の中ではあまり面倒を見てもらえず、専ら使用人がケイトお嬢様の面倒を見ておりました」


 紫色のボブカットのケイトちゃんは、家族が金品に目が眩んでいたのもあってネグレクト状態だったらしい。

 なので、生育環境はあまり良くないという。

 ちなみに、ケイトちゃんは暫く客室に住んでもらうことになった。


「正直申しまして、皆様方にケイトお嬢様を保護して頂いて良かったと思っております。暴力などはありませんでしたが、過激な思想が飛び交っておりましたので……」


 この使用人は最近採用されたばかりで、マヌ伯爵家がおかしいと気がついたそうです。

 とはいえ誰にも相談できず、ケイトちゃんの世話に専念していたという。

 中々難しい状況だ。


 シュイン、ふわっ。


「うーん……」


 そして、スラちゃんがケイトちゃんを念動で浮かべて、そのまま客室のベッドへと運んだ。

 ゆっくりとベッドに寝かせたので、ケイトちゃんが起きる事はなかった。


「取り敢えず、今聞いた話を軍に伝えます。色々とありがとうございます」

「こちらこそ、何から何までありがとうございます」


 僕たちは、客室から出ると執務室で手紙を書いた。

 ルーカス様の所に保護された使用人からの証言もあるはずだ。

 帝国との戦いは、別の意味でまだまだ続いているのだと実感したのだった。

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