第百五十五話 奉仕活動で不審な視線?
翌週、ナッシュさんとコリーナさんの結婚式が無事に執り行われた。
元々ヘルナンデス様とルーカス様はナッシュさんの直属の上司だし、ナッシュさんも上級官僚試験に合格した軍の幹部候補生だ。
更に、コリーナさんと、アリアちゃん、ブライトちゃん、ジョセフちゃんはとっても仲良しだ。
軍人貴族も多数来ていたため、結婚式自体もとても安全だった。
ルートちゃんも、またまた張り切って挨拶をしていた。
こうして、秋に予定されていた二つの結婚式は無事に終了した。
終了したと思った、
思ったのだが......
ジロジロジロ。
「あの、何でこんなにも多くの貴族令嬢がいるのでしょうか……」
「何となく理由は分かるけど、本当に下世話な事なのよ」
僕の呟きに、王太后様も思わず溜息をついていました。
今日は大教会で奉仕活動を行っているのだが、いつも見ないような貴族令嬢が沢山来ていたのです。
メアリーさんとシーリアさんは妊娠中で休んでいたので、代わりに王太后様が奉仕活動に来ていた。
王家のちびっ子たちもいないのに、何だろうと思っていた。
しかも、全員僕に視線を向けていた。
「何らかの要因で、この前の二つの結婚式に呼ばれなかった貴族の者よ。そして、王家に繋がりが深いケン君に何とか接近しようとしているの。下級貴族の結婚式に、王家の者が出席するなんてありえない事なのよ」
王太后様は、わざと大きめの声で話してから貴族令嬢の方に視線を向けた。
すると、貴族令嬢たちはサッと視線をそらしたのだ。
何というか、ある意味現金な性格だ。
僕は、思わず溜息をついてしまった。
ギュッ。
「クリスが、ケンの婚約者なの。誰にも渡さないの!」
王太后様の話を聞いた途端、クリスが僕の腕に思いっきり抱きついてきた。
そして、貴族令嬢たちに向かって思いっきりキシャーって威嚇していた。
すると、数人の貴族令嬢はさっさと帰って行ったのだ。
何というか、本当にこういう貴族令嬢には困ってしまう。
「普通にしていれば、婚約者云々とは関係なく貴族としてのお付き合いを考えるんですけど」
「その、普通を考えない貴族だから仕方ないのよ。普通が出来る貴族は、前から奉仕活動などに参加しているわ」
おお、王太后様も珍しく帰っていった貴族令嬢をバッサリと切り捨てた。
王家としても、近寄りたくない存在なのかもしれない。
スラちゃんたちやピーちゃんも、帰った貴族令嬢を目茶苦茶警戒をしていた。
「ねーねー、どーしたの?」
ここで、僕たちと一緒に奉仕活動に来ていたルートちゃんが不思議そうに見上げていた。
うん、問題のある貴族令嬢は帰ったし、ここからは気持ちを切り替えて頑張らないと。
「何でもないわよ。さあ、ルートちゃんも一緒に頑張ろうね」
「うん?」
クリスも、僕から離れて改めて気合を入れ直した。
僕も、まだ不思議そうにしているルートちゃんの頭を撫でてあげてから治療を再開したのだった。
「うんしょ、うんしょ」
そんな中、可愛らしい女の子が一生懸命お手伝いしていた。
赤髪ショートカットのマーヤちゃんはオーフレア様の娘さんで、僕も何回か会っていた。
今も後片付けを頑張ってくれていたけど、そういえばマーヤちゃんをジロジロと見ていた貴族令嬢もいたっけ。
オーフレア様に話をしておこう。
「……という事があったんです」
「はあ!?」
訓練終わりにマーヤちゃんを迎えに来たオーフレア様は、僕の話を聞いた途端かなりビックリしていた。
オーフレア様は、直ぐにマーヤちゃんに確認をした。
「マーヤ、大丈夫だったのか?」
「大丈夫だったけど、チラチラと見ていた人がいたんだよ」
「はあ!」
マーヤちゃんが素直に話したから、オーフレア様の怒りに火がついてしまった。
とはいえ、オーフレア様は子煩悩だから気持ちは分からなくもない。
そこで、王太后様はオーフレア様にこんな指示をした。
「オーフレア、年末の炊き出しの際にはひ孫たちも来るわ。普通に、宮廷魔導師として現場警備にあたればいいわよ」
「王太后様、配慮頂き感謝します」
オーフレア様は、スッと王太后様に頭を下げた。
警備の大義名分があれば、オーフレア様も堂々とマーヤちゃんの側にいる事ができる。
もちろん、本来の王族警備という任務もある。
僕たちも皆のことをガッチリと守るし、何もなければきっと大丈夫だ。
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