第百三十四話 新年とドレス姿のミュウさん
年末の奉仕活動の翌日、いよいよ新しい年となった。
僕とクリスは十三歳になり、大人へと少し近づいた。
今日も実家に挨拶をして王城に行くのだが、いつもと少し違うところがあった。
「わあ! ミュウさん、ドレスがとっても似合っていますよ」
「うんうん、とっても良く似合っているね!」
「「「「「グルル」」」」」
「あっ、ありがとうございます……」
今日は、マネー伯爵家の暫定当主としてミュウさんも王城に行って謁見に参加する事になった。
いつもメイド服姿だったミュウさんも、謁見に合わせて綺麗なドレスを身に纏っていた。
クリスもスラちゃん達も、もちろんいつも一緒にいる魔物たちもミュウさんのドレス姿を褒めていた。
当のミュウさんは、着慣れないドレスにかなり恥ずかしそうにしていた。
「じゃあ、みんなはお母さんになる子をしっかりと守ってあげてね」
「「「「グルル!」」」」
そして、魔獣達はフォレストタイガーのメスを守るとミュウさんに張り切って返事した。
ハンナおばさんをはじめとする屋敷の使用人とも友好的な関係を築く事ができ、落ち着いた環境にいる事で精神的にもすっかり落ち着いていた。
サンダーホークの番は、よく屋敷の庭を気持ちよさそうに飛んでいた。
さて、僕たちも馬車に乗ってノーム準男爵家に向かわないとね。
「「「新年おめでとうございます」」」
「おめでー!」
応接室に案内されると、ノーム準男爵家の面々が勢揃いしていた。
ルートちゃんの元気いっぱいな返事に、応接室にいる面々も思わずニコリとしていた。
そして、エレンお祖父様がミュウさんに優しく話しかけた。
「ミュウさん、王城に行くのに緊張と不安になるだろうが、ケン君がいれば大丈夫じゃ。マネー伯爵家への裁判の判決が出ておらんので夜会には参加できんが、ケン君の知り合いになるだけで必然的に多くの者と接するぞ」
「本当に色々と気を使って頂きありがとうございます。ケン様に保護されてまだ数日しか経っていませんが、私もケン様はとっても凄いと思っております」
エレンお祖父様は、ミュウさんが不安にならないように色々話をしていた。
更に、フリージアお祖母様もミュウさんに気遣いながら話をしていた。
フリージアお祖母様は、謁見後に僕の屋敷に来てくれてミュウさんとゆっくりと話す事になった。
さて、そろそろ王城に向かいましょう。
エレンお祖父様も加わって、改めて馬車に乗って王城へと向かったのだった。
「こ、これが王城。とても大きいです……」
「大きいですよね。私も、初めて行った時はびっくりしました」
ミュウさんは王城の大きさに圧倒されていて、そんなミュウさんにクリスがニコリとしながら声をかけていた。
僕も、初めて王城を見た時は圧倒されたっけ。
そして、玄関で馬車から降りて、いつもの応接室に案内された。
「「「はよー!」」」
応接室に入ると、双子ちゃんとジョセフちゃんがニコニコしながら僕に抱きついてきた。
体も段々と大きくなってきて、とても活発になってきたね。
ビアンカちゃんも首が座っており、僕達をジッと興味深そうに見つめていた。
「陛下、皆様、新年おめでとうございます」
「「「おめでとうございます」」」
「うむ、おめでとう」
そして、僕たちも王家の人々に挨拶を交わした。
今回はヘルナンデス様とルーカス様も来ており、物凄い面々にミュウさんは圧倒されていた。
でも、少し気持ちを落ち着かせてから話し始めた。
「陛下、皆様、この度はマネー伯爵家が大きな事件を起こし申し訳ありません」
「うむ、ミュウからの謝罪を受け入れよう。マネー伯爵家への捜査は続いており、引き続きケンが保護をする通達を出す。なにせ、親類も捕まっておる」
陛下曰く、マネー伯爵家の親類も軒並み捕まったので現在当主代理ができるのはミュウさんただ一人だという。
ミュウさんの出生届が王城に出されてなかったため、ミュウさん本人が後付けで提出をした。
使用人も数多く捕まっており、屋敷の運営もままならない状況だという。
なので、引き続きミュウさんは僕の屋敷で過ごす事になった。
そして、もう一つ話があった。
「ミュウと共にいる魔物は、そのままミュウが責任持って飼育することにする。他の家から保護された魔物とは違い、野生に返すのはほぼ不可能だ。産まれてくるフォレストタイガーの子も、そのまま飼育するように」
「ご配慮頂き、誠にありがとうございます」
ミュウさんが飼育している魔物はずっと地下に閉じ込められていた上に、幼い頃から人間であるミュウさんしか接していなかった。
管理もしっかりとした上で、ミュウさんが今後も飼育するしかないでしょう。
そもそも、あの魔物がミュウさんから離れたら大暴れするのは目に見えていた。
陛下は、この点も気にしていたのでしょう。
「ミュウさんは、使用人として丁寧な挨拶などはできるわ。これからは、貴族令嬢としてのマナーなども身に着けないといけないわね。クリスちゃんと共に、しっかりと学びましょう」
「ありがとうございます」
王太后様の話に、ミュウさんは深々と頭を下げていて、クリスは聞いていないよとビックリした表情をしていた。
とはいえ、クリスももう少し礼儀作法を覚えた方が良いのではと思ってしまった。
「だー」
「あ、あの、抱っこしても宜しいのでしょうか?」
話はこれで終わり談笑していたら、ジョセフちゃんがミュウさんに抱っこをせがんできた。
ミュウさんも、どうすれば良いのか迷っていますね。
「ジョセフは抱いて欲しい者を選ぶ。気にせず、抱くとよい」
「あー!」
ルーカス様の許可の前に、ジョセフちゃんはソファーをよじ登ってミュウさんの膝の上にいた。
新しいお姉ちゃんに抱っこしてもらい、ジョセフちゃんはかなりご機嫌だ。
「ビアンカちゃんも、だいぶ大きくなりましたね」
「あうあう」
「ええ、そうね。間違いなく、アーサーとルーカスよりも育てやすいわ。二人はあまりお乳を飲まなかったのよ」
僕はというと、王妃様からビアンカちゃんを抱っこしていた。
ビアンカちゃんも、グズることなくニッコリとしていた。
因みに、アリアちゃんはクリスが、ブライトちゃんはエレンお祖父様が抱っこしていた。
みんなすくすく育っていて、王家もとっても賑やかになっていた。
「ケン君とクリスちゃんの赤ちゃんを抱くのは、もう少し先になりそうね。その頃には、もっと赤ちゃんが増えていそうね」
王妃様がニコリとし、メアリーさんとシーリアさんもニコリとしていた。
三人とも赤ちゃん大好きで、特にメアリーさんとシーリアさんは若いお母さんだ。
どちらかというと、アーサー様とルーカス様の方が王妃様の話を聞いて少し苦笑していたのだった。
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