表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/153

35.相手の攻撃を必死に耐え続けました


「チッ、手こずらせてくれる。だが、これは果たして耐えきれるかな、スライムッ!」



 ディーラスは指を鳴らす。

 するとさらにもう一方向別の所から大量の棘が飛んでくる!


 三カ所から棘が飛んできていて、一カ所はヴァルドが防ぎ続けてくれているので、二カ所から来る棘が僕達に襲い掛かる事になる。

 さて、早速新しい作戦といきますか。



「ラス、棘を完全に防がなくていい! 少し速度を抑えるだけでいいよ!」

「えっ、でもそれだとあーくが」

「大丈夫。中の棘はゴンが何とかしてくれる。それに僕もいざとなったらバッグで身を守るよ」

「……うん、わかった。それならそうするよー」



 ラスは僕の指示を受けて、体の密度を変える。

 そしてそれからラスの体に突き刺さった棘は弾かれずに、中を貫通するようになった!



「ゴン!」

「…………任せろ」



 ゴンは貫通してきた棘を地面に叩き落とす。

 その手さばきは実に鮮やかで、ゆっくりとはいえ、大量に襲ってくる棘で一つ一つ確実に防いでいく。



「むむむ……ゴブリンまでが……! くそっ、これならどうだっ!?」



 指を鳴らすディーラス。

 するとまさかのさらに別方向からも棘が襲ってくる!


 三方向からの棘の来襲。

 さすがにゴンもさばききれなくなっているようで、ちょくちょくそのまま僕達に襲い掛かってくる棘も出てきている。

 このままだとまずいな……。



「アーク、大丈夫か!?」

「正直厳しいかも……。何とか相手の数を減らせないかな?」

「数秒くれればいけるが、だがその間、俺様は一切アーク達を守れなくなる」

「……上等だよ。それなら、お願いしてもいいかな? 僕達は数秒だったら耐えてみせるから」

「……本当にいいのか?」



 不安げな声を出すヴァルド。

 まあ、確かにこんな危ない様子じゃ、心配になるのも無理はないか。

 正直、今でさえギリギリな状況なのは事実だし。


 でも、このままじゃジリ貧だし、いつかはやられる。

 ここは攻勢に出ないと。



「ラス、ゴン、これからは僕を守ろうとしなくてもいい。僕は自分の身は自分で守る。だからさ、あと数秒、四方向からの棘に耐えきってもらってもいいかな?」

「あーく、だいじょうぶなの?」

「…………アーク心配」

「二人とも、心配かけてごめん。だけどこうしたら何とかなる気がするんだ。だから頼む」

「……うん、わかった。あーくがそういうならしんじるよー。ぼくもできるかぎりがんばるから」

「…………アーク信じる」

「という事みたいだ。だからお願い!」

「分かったよ。全く……本当にお前って奴は無茶をする奴だな。どうなっても知らないぞ!」



 ヴァルドはそう言うと、一瞬にしてどこかへ消えていった。

 そしてその瞬間からヴァルドが守っていた部分からも棘が来襲する!



「さあ、ここが勝負所だ。みんな頑張れ! 頑張れ僕!」

「ちょっとだけあつめにしておくねー。うーやっぱりつらいー」

「…………もっと頑張る」



 棘の数がさらに増えた事により、ラスの体は激しく消耗し、ゴンは処理すべき棘の数が増え、そして僕にはそれでも処理できなかった大量の棘が押し寄せる。

 今までは全て避けていたのだが、これからはそうは言っていられない。

 僕はバッグから取り出しておいた硬化の瓶を利用し、バッグを鋼のように硬化させ、バッグを盾代わりにする!


 避けずにあえてバッグの盾で防ぐという選択肢が増えた事で、僕は何とかギリギリでやり過ごす。

 しかし、いくら硬化しているとはいえ、やはり硬度には限度があり、バッグの中にいくつか貫通している棘もあった。

 これで中身が色々とダメになってしまっているだろうけど、そんな事は気にしていられない。

 身の安全が最優先なのだから!



 それから何とか耐える事、数秒。

 来襲する棘が若干少なくなる。

 その時以来、数秒経つごとに、来襲する棘が三カ所から二カ所、一カ所と減っていき、ついには僕達に襲い掛かってくる棘がなくなった。



「な、何が起きた!? おい、アラクネ、何をやっている!? くそっ! ネイラ、来いっ!」



 ディーラスがそう言うと、ディーラスの足元が揺れ、そしてディーラスを持ち上げるような形で巨大なアラクネが出現した!


 ネイラ……それはディーラスがエースとして運用しているアラクネの名前だ。

 つまり、このアラクネは今までのアラクネよりもさらに強い。

 そいつを出してきたという事はよほど困窮しているという事だろう。



「……なるほどな。ようやく最大戦力のお出ましって奴だ」



 どこからか現れたヴァルド。

 アラクネを倒し終わってここに戻ってきたという所か。



「それにしてもよく無事だったな、アーク。まあかなりギリギリだったようだが」

「うん、まあね。それより、これからどうしようか? 迂闊に攻撃はできなそうだけど」

「そうだな。実に嫌な状態だ」



 うん、本当にヴァルドの言う通り、嫌な状態だ。

 最大戦力のアラクネを引きずり出すまで追い込めたのは良いんだけど、レクがあのディーラスの手元で拘束されているから、迂闊にディーラスをかくまっているアラクネを攻撃できない。

 半端な攻撃ではアラクネを倒せないだろうし、一体どうしたら……?



「ハハハ、お前は本気で俺を怒らせたな!? さあ、やれ、ネイラ! 死の連撃蔓舞!」



 ディーラスがそうネイラに命じる。

 するとネイラが地面から無数のツタを出現させる。

 そしてそのツタが一斉に僕達に襲い掛かってきた!


 そのツタ攻撃にヴァルドが対応しようとしたその時――



「風圧障壁!」



 突如、僕達の前に緑色の高い風の壁みたいなものが出現し、その壁がツタの攻撃を寄せ付けない!

 この技、そしてこの声って、もしかして……!?



「と、父さん!?」

「アーク、すまない。遅くなった。だけど間に合ったようで何よりだ」



 Aランク魔物フレーズヴェルグに乗っている僕の父親は、空から僕の近くに舞い降りた。

 上空から森に着地するのって相当難しいのに、あっさりとそれを成し遂げるなんて、さすがだな。

 それにしてもどうして父さんがこんな所に?



「どうして父さんがこんな所に? 父さんは魔人との戦いの場に行っていたんじゃ?」

「ああ、行っていたさ。だが、息子の窮地に駆けつけない程、俺も冷たくはない」



 そう言って手に握っていた青い石をチラリと見せてきた父親。

 ……なるほど、そういう事か。


 アラクネの棘攻撃を防ぐ際、バッグを盾代わりに使った。

 その際に中に入っていた青い石が壊されたんだろうな。

 それで父さんに連絡がいった、と。

 確かにこの森と戦地とは直線距離にすればそこまで遠くはないし、父さんの魔物の速さからすれば、すぐに駆けつけられるのも納得だろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ