選択肢②
「で、どうするんだ。大人しく金を出すか、痛めつけられるか、好きな方を選びな」
「えぇ、っと。少し待ってください。逃げませんので、部屋に戻っていいですか」
「あぁ、なんでぇ。何企んでやがる」
僕の丁寧な言葉に切れるゴンザ。こっちが下手に出てやってば、だんだんイライラしてきた。どうやらアリーシャに騙されたことがショックで性格が変わってきたのか。
切れやすい若者の一歩手前か。
「いえいえ、お渡しするものを見繕ってくるんですよ? 今僕がそんな金目の物持ってるって思います? 見てわかりません?」
「あぁ!」
しまった、ちょっと挑発的過ぎたか。
「すみません、なのでちょっと待っててください。なんなら二人で見張ればいいですよ、窓と廊下。この2か所みてればいいわけですし。ちなみ一緒にくるのはなしですよ、それを見られるとお互いまずいですよね? 下手に第三者に勘繰られて衛兵でも呼ばれたら――」
「あぁ、わかった。それでいい、じゃぁ、お前は部屋に戻れ。俺たちは見張ってる。間違っても逃げようとすんなよ。俺の手元は狂いやすいんだ。刃先がするっとお前の首に、な」
「ええ」
そういうと僕は自分の部屋に戻る。さて、もちろんあいつに渡す者を見繕って、というのは僕が部屋に戻って一人になるための建前だ。本命はこれにある。
猶予は30分程か。僕は一人になるとすぐに転移を使用する。目的地は遠くのためかなり集中力を使う。
「やぁ、久しぶり! メリッサさん」
「きゃぁっ、ってマオさん。どうしてここに!?」
僕は聖王都のとある場所に転移したのだが、運よく目の前にメリッサさんがいた。そして、いきなり現れた僕に丁寧に対応するメリッサさん。さすが姫様付きの騎士である。
「えっと、アルスさん、勇者様は今どこにいます?近くにいるならすぐに会いたいのですけど」
というとメリッサさっは申訳ない顔をして
「すみません、勇者様達は今は遠征中です。なんでも鍛えなおすと仰ってました」
「そうなんですね、ありがとうございます。では、これで失礼します、ちょと急いでますのでまたゆっくりお話しでもしましょう」
「あ、はい。それでは、また」
僕はその場を駆け出し、メリッサさんの視界から消えると再び転移をする。
次に転移したのは自分の自室だ。考えるときはここが一番落ち着く。
さて、勇者様に偶然見つかって助けてもらっちゃった作戦は最初の段階でとん挫してしまった。となると、逃げるか、無双の2択しかない。
よし、少しシミュレーションをしてみよう。
ケース 逃げる場合
このまま何事もなかったようにここで過ごす。→ゴンザが僕の逃亡に気づく→ここに来る→リリやララが危険にさらされる可能性がある→ダメだ。
*ゴンザはこの世界の基準で言えば無敵だ。
ケース 無双する場合
村に戻る→あいつらを蹴散らす→真なる魔王が僕の関与に気づく→さらなる敵が襲ってくる→リリやララが危険にさらされる可能性がある→ダメだ。
*真なる魔王は加護を当てるだけで強者を作れるのだ。
・・・・・・。
・・・・・・。
。。。。。。
詰んだ。
リミットまで残り10分(目安)
新作も順調に書いていますが、かけば書くほどこうした方が面白いかな?
という考えがでるため、順調の割に進んでないです。
こちらの作品ももちろんがんばってます。
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