暴露
アリーシャさんは椅子に腰を下ろすとその長い足を組み、面倒くさそうに話を続ける。僕は少し離れたベッドに腰を掛け彼女を見る。そこにはかつて僕が素敵だと思った彼女の面影はなかった。
「マオさん。いや、マオ。あんたは騙されたんだよ!」
「誰に? いや、僕も馬鹿じゃないですから・・・・・・」
「そう、私にだよ。ここに来て私を信じるまでは入りこんでなかったようだね」
「これでも言い大人ですから。で、いつからですか?」
「目を着けたのは、初めて出会った頃、身なりは普通なのに見つけていたマジックアイテムは高価なもの。気にならないはずはないわ」
「初めて丘の夕暮れに泊まった時ですね。となるとマジックリングですか」
「そうよ。とりあえず、この時はまだもしかしてこの子は良い金蔓になるかなぐらいだったけど、女の子たちの一件に、毎日ポーションを売るという噂。だんだんと先の予感が確信に変わったわ」
「あの時の話は嘘だったんですか? それに会の時の優しい気づかいも?」
「そうよ、すべてはあなたの関心を引くため。でも、長いこと宿に滞在してたのに急にいなくなっちゃった時は少し焦ったわ。せっかくいい関係が気付けたと思ったのに、すべてがパーになったと思ったもの」
頭では了解した。けど、心が、、、。
嘘であって欲しい、これも、この姿のアリーシャさんもあの男の仕業であって欲しいと強く強く思った。
「まだ信じられないって顔してるわね。これだけは言っておくわ。全部私の意志よ。あなたを騙したのは。あなたはこんな私の思惑に気づくことなく私をお店に誘ってくれたわね。最初はいろいろ考えたわ、宿を止めることのデメリットとあなたのお店に行くメリット。始めのうちは信用されないだろうからきっとなにもできないだろうし、本当にどうしようか悩んだけど、給金もよかったからその迷いもなくなったわね。そして私の判断は間違ってなかった」
「僕の気持ちは知っていたんですよね?」
「ええ、もちろん。私の能力はもちろん、それ以上に個人的に好きであってくれたんでしょ? だからこその待遇であり、対応」
「それをわかってなお、なぜこんなことができるんですか?」
「もちろん、彼のためよ。彼、お金が必要なんだって。私と一緒になるためにもどうしてもって。だから私が今回の計画を彼に話したら大喜びしてくれたわ」
「僕の気持ちを踏みにじったんですね」
「そういう捉え方もあるわね。あら? お金とかそのあたりはいいの? 結構な大金よ」
僕の気持ちを弄び、他の男のためにあまつさえ騙し利用した。さらにはここに来てまだお金の話。ここで、ついに僕の我慢の限界が切れた。久しぶりに感情が爆発する。
「うるせー、こっちの気持ちを返せよ。ふざけんな、恋愛感情使って人騙して金を奪うとか。ってかそんなんに俺もひっかかったのか。TVで見てた時はこんなのはバカな男しかひっかからないと思ってけど、俺もそのバカの一人か」
怒りに続いて自己嫌悪もし始める。でも、まだ怒りのが上だ。
「いいんだよ、あんなはした金。そもそもあのお店自体が趣味みたいなものだ。どんだけ赤字でも問題ないぐらいの基盤は持ってる。だからそういう意味では今回はいい勉強代だと思ってあきらめるよ」
「ふーん、まさかそこまでだったのね。でも本当にいいの? お金取り戻さなくて。いくらあなたがはした金といっても普通で考えたらそれなりの額よ」
「だからいいって。俺としては早くこのことを忘れたいんだ。あほな自分ごとな。いい思い出をありがとうってことでもらっておけ。ただし、二度と俺の前に現れるな。あったらたぶん俺も普通でいられないだろうから」
「わかったわ、それじゃ――――」
「おいおい、アリーシャ。それはちょっと失礼だろ、もう少しゆっくりしてもらっていけよ。いろいろお話したいしな」
不意に扉をみるとそこにはにやにやと薄笑いを浮かべたゴンザが立っていた。
ただいまの書きダメは0。
プロットもあと6話分ぐらい・・・・・・。
6章がどうなることやら。
新作でも書いてみようかな。
と、つぶやきでした。
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