洞窟の風景④ -階層主(下)-
スラきちがベヒーモスから距離を取る。 (一体どうっやてあんなに素早く動くんだ!?)
「凍えて眠れ、永久に融けぬ堅牢なる牢獄の内で」
氷魔術:アイスプリズン (強化)
「綴る、次なる言葉、凍れる墓標よ、我が命に従い砕け散れ」
氷魔術:クラッシュアイス(-アイスプリズン)
サイ達には効いた魔術もやはり効果がない。砕けたのはリリが魔術で作った氷だけで、ベヒーモスはぴんぴんしている。
「やっぱりダメだったわね。」
自分でも言ってたしね。でもそう言ったリリの目に諦めの色は微塵もない。僕が話したことに相当興味を持ってくれたみたいだ。
「スラきち、また盾役お願い。できたら、いやできるだけ私たちとは距離をとって。ララは弓での攻撃、私が炎でエンチャントしたやつでお願いね。ライムは引き続き流れ弾の対処を。私とララはベヒーモスの攻撃を対処できないわ」
「「ピィィィー」」 「はーい」
「ライム、特にララをよろしくね、攻撃をしてもらうことになるから奴の意識がこっちに向かう可能性もあるわ。それじゃ、みんないくわよ」
リリの言葉を合図に、スラきちはすでに対戦中だけど、皆がそれぞれ動き出す。まずはララはライムの後方から弓を放つと弓はしっかりとベヒーモスを捉えた、もちろんダメージを与えた様には見えないが弓が当たった所から白い煙のようなものが出てきた。
「ララ、その調子よ。もっとたくさん当てちゃって」
「うん!」
その後もララの弓は基本的に全てベヒーモスにヒットする。ベヒーモスが避けようと思えば避けれる速度なのだが。まぁ、ダメージはほぼ0で目の前に最大の脅威、スラきち、がいるのだ躱すという隙をつくりたくなったのかもしれない。
いくつもの弓がベヒーモスに当たる、しかし先程から最初の頃見られたいた白い煙は見えることがなくなった。
その状況を確認するとリリはララに【とっておき】を使うように言った。彼女の言う【とっておき】とは先程までに使っていた弓矢とは違いリリが時間と手間と魔力を惜しまずかけた傑作の炎属性の矢である。
今回はベヒーモスも少し警戒したのか、ララの弓を回避しようとする、がスラきちがその動きを止める。結果矢はベヒーモスの体に刺さる。しかしそのダメージは低そうである。
人間が蚊に刺されたような感じか? (言いすぎたか!?)
少し時を遡る。
ララがとっておきの弓矢をセットしている間リリはすでに詠唱を始めていた。
「時を待ち、猛き業火よ、あまねく覆い、全てを灰塵に帰せ」
炎魔術: フレイムウェーブ (-ディレイ) (-強化)
ここで普通でれば魔術が発動するが今は発動しない。これは失敗ではない、はず。
そして続くリリの声。
「炎に導かれ、その力を具現せよ、業火に佇みし、熱き猛き炎の大精霊、イフリートよ」
炎魔術: クリムゾンフレア・レイバースト (-トリガー) (-強化)
とっておきの矢がベヒーモスに当たったその僅か後リリの魔術は完成していた。スラきちは空気を読んでまたまた大きく跳躍(だからどうやって?)してベヒーモスから距離をとる。ライムがリリの元に行ったのを見たからかスラきちはそのままララの近くに着地する。
魔術を発動したリリはその魔力消費からか満身創痍で立つのも辛そうであるがすでにライムが府フォローに入っていた。
詠唱が終わり少し、ほんの僅かな間のあと、ベヒーモスが行動するその瞬間、洞窟の温度が急上昇する。ベヒーモスの周囲全体を業火が包む。炎がところどころ黒く見えるのはその炎がただの炎ではないと示している。さすがのベヒーモスもこれは無傷でやり過ごせないと判断したと思う。
灼熱の業火の壁がベヒーモスに迫る。逃げ道はない。あるとしたらそれは空、上空である。
もちろんベヒーモスは空を飛ぶことはできない、がその身体能力は高いので楽々飛べるに違いない。しかし、それは最悪の選択だ。
迫る炎を横にベヒーモスが跳躍を始めてしまった。ベヒーモスが炎の壁の頂点程の高さに来た、その瞬間今度は迷宮が赤く染まった。
リリが戦闘開始に使った炎魔術のマルチフレアランス、あれを数十倍に威力をあげ、槍の量を数十倍にしたものを想像して欲しい。
それを、数倍酷くしたのが今の状況だ。
一つ一つの閃光の威力は激しく、その膨大な数の炎がベヒーモス1体に集中するのだ。地上にいれば回避できたか万全の状態で迎えれたのに、今は空中、足場も悪く力も出ない。
最初の数発は障壁ででも防いだのか炎の光は霧散した。けどその後の数百を超える炎の閃光はひたすらベヒーモスを貫いた。
爆炎と爆音が収まったあとベヒーモスはの姿は・・・・・・・・。
あった。が、その命も時間の問題であろう。この他っておいても・・・・・・・・。
パスッ
ララが再び弓を放ったみたいだ。それがとどめとなってベヒーモスの姿は消え残ったのは大きな魔石とベヒーモスの素材であった。
「終わったね」とか言わないでよかった。絶対詰めが甘いとか、それがいつかマオを危険に、とか言われただろう。
と、こうしてなんとか(?)階層主を倒し僕達は最奥を目指す。
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