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目指せ!ポーションで理想の生活 IN 異世界  作者: ペンギン
第4章 聖都騒乱
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教会の風景

本日はなんと2話更新予定です。

 

夕方17時に更新予定ですのでお見逃しなく!!



勇者は城を後にすると姫やメリッサと合流し一度教会を目指すことに。彼のここでの拠点はもちろん教会である。


 「姫様、これからどうしましょうか? 」


 「そうですわね、結局のところ魔王は見つからないわけですものね」


 「一度聖女様に相談してみますか」


 聖王国教会の勇者であるアルスと聖王国の姫君であるエリザベートが、護衛であるメリッサを横に控えさせこれからの道筋を模索する。


 聖王国教会、略して聖教会の呼び名で聖王国はもちろん周辺諸国まで広く信仰されている一大宗教である。なぜ、そこまで民の信仰を集めることができるのか、それは聖教会がもつ異世界勇者召喚の儀式のためである。


 「そういえば、僕の前の勇者は今どちらに? 彼がいてくれた方が魔王との戦いの時心強いのですが。僕もそれなりに鍛えましたけど、年季が違いますからね」


 彼が言った先代の勇者とは? 


 実は聖教会は数十年に一度異世界から勇者を召喚する。そして召喚された勇者例外なく強大な力を秘め、魔王や魔物、人々にとって害悪となるものをその力を持って薙ぎ払ってくれる。


  「えぇぇ、すみません。私は聞いておりませんね。きっとどこかの国に強大な魔物でも現れてそれを討伐にいっているのではないでしょうか。今はこの国に一番必要なお人なのに」


 姫の目線を感じたリッサが申し訳なさそうに言葉を発する。


 勇者は自国の民だけではなく様々な国の民を助ける存在である。そして民とは現金なもので、自分たちを救ってくれない自国の宗教よりも、自分たちに手を直接差し伸べてくれる他国の宗教を信仰してしまうのである。これが聖教会が広く広まった理由の一つでもある。


 また、その力を頼っているのはなにも民だけではない。過去数百年現れた真の英雄、魔王に匹敵した能力をもつ勇者、はすべてこの異世界勇者である。どこの国も自国に魔王が現れた時はこの勇者を頼るほかない。民も貴族も王族も、全ての人族が聖教会の恩恵を預かっているのだ。このことがあるから他国の宗教である聖教会がどの国でも禁止にされない理由であり、先に述べたことあいまってその勢力は拡大する一方であった。


 「しかたないですね、あの人は国とか宗教とか気にしない人ですから。ニホンジンはそういうのあまり気にしないんだよね」


 つぶやくような勇者の声に姫とメリッサが不思議そうな顔をする。それに勇者は気づくけれど特に話題にすることはなかった。


 聖教会を擁する聖王国の力は絶大だと思うかもしれないが、それは間違いである。聖王国があって聖教会ができたのではない。はるか昔、聖教会がありそこから国が興ったのだ。


 今ではお互いが不可侵であり、どちらが上だ、下だといったことはない。それゆえ今から姫様がお願いしに行ったからといってそれを受け入れてくれる保証はない。


 もちろん、それが勇者であってもだ。形上ではあるが勇者は聖教会の組織の一端をになっているので、最終決定権は聖教会トップの聖女が握っている。


 「それでは姫様、一度聖女様のもとへと行きましょう。魔王のことはそこで」


 「わかりましたわ。メリッサ行くわよ」


 そう言うと3人は部屋をでて、教会内を歩き聖女のいる部屋へと向かう。本来であれば聖女と会うには事前にアポイントメントが必要になる。が、しかし姫と勇者、であればそのあたりぐらいはどうにかなる。


 いくら政治と宗教が分離されているとは言え完全にはできないのが人の世の中である。


 質素ではあるがしっかりとした作りの廊下を歩き目的の部屋へとつくと聖女お付きのものに話を通し話をする機会を彼らは得た。


 「これはこれはエリザベート様、今回はどのようなご用で?それに勇者様まで」


 勇者達はこれまでの事、姫の逃走劇から魔王のこと、自分たちがこれまでに得た情報を聖女に伝える。聖女というと幼い姿を想像するかもしれないが、目の前にいるのは20代前半から半ばのキャリアウーマン的なひとだ。


 「そうか、魔王が今どこにいるかはわからんが、強大な力を有する魔の者の場所はだいたいだがわかるはず」


 そう言うと聖女は目を閉じ祈るようにその口をわずかに動かす。


 「わかった。場所、それはこの国近くの洞窟、【真実の洞窟】のあたりだな。ひときわ大きな魔を感じる」


 「ま、まさか。魔王はその姿を公の場で見破られるのを恐れ、ってなると3人が危ない」


 勇者は突然顔色を青くし、今にも駆け出す寸前である。彼は商人と二人の少女を思いだしたに違いない。知らないとはいえ彼は知り合いである彼、彼女達をそんなにも危険な場所に案内したのだ。


 「い、いえ」


 「それで、これからどうするつもり?」


 その問いに姫は答えられない。答えるのは勇者。


 「まず、僕は【真実の洞窟】付近の村へ行きます。これは僕の仲間と合流するためです」


 「ふむ」


 どこか含みがある聖女の声が勇者の次の言葉を促す


 「次に、姫様は伝手を使って有能な文官をなるべく多く集めてください。城の中はすべて魔人でした。この戦いが終わった後政治をする人間がいない、できないでは困るでしょう」


 「あぁぁ、そうですわね」


 今思いついた様な反応である。実際後のことを考える余裕が姫にはなかったのだろう。


 「聖女様もできましたらその協力を。戦のあとは荒れますゆえ、民のことを思えばです。あとできる限りの護衛を集めてください。戦いが始まったあと魔人達が街へ襲いにこないとはかぎりません」


 「ふむ、よかろう。それで、そなたはどうする? すぐに立つのか?」


 「いえ、まずは自身の準備をしその後、街にいます仲間と合流をし次第洞窟へ向かいたく思います。ですから今日はここで休んでいこうと考えております」


 「わかった、3人にはそれぞれ部屋を用意する。あとで案内の者を寄こす。先いた部屋で待っておれ。」

 


 こうして勇者達は魔王討伐へ向けてその準備を詰めていく。


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