ポーション屋
街に戻ってきた私達はさっそく、ポーション屋に向かった。
ワンワンでポーション屋として店を構えているところは1つしかないらしく、人に聞くとすぐにわかった。
清潔感溢れるお店に入ると、私よりも小さな綺麗な青髪の女の子が店番をしているようだった。
いかにも魔女っ子といったとんがり帽に黒のローブという格好がとても似合っている。
厳つくガタイのいいおじさん相手にも怯えずにきちんと対応している様子は素直に尊敬出来る。
確か、おじいさんに渡さなきゃいけないんだよね。
この子のおじいさんなのかな?
お客さんがいなくなってから話しかけてみる。
「ポーション屋のおじいさんに渡したい物があるんだけど、呼んでくれるかな?」
すると、女の子は少しムッとした顔をしてしまう。
なにかまずいことでも言っちゃったかな。
「この店は私の店でおじいさんは雇ってないわ。誰からの依頼?」
「えっと、依頼というか、『Cafe 猫の足跡』のランドリーさんに教えてもらったというか」
少し棘のある言い方に慌ててしまったのと情報屋さんのことを話してもいいのかに迷って、煮えたぎらない返事をしてしまう。
「ああ、ランドリーね。ならそのおじいさんは私のことよ。私の名前はジイナ。ランドリーからはジイちゃんって呼ばれてるの。昔はジジイなんてあだ名でからかわれたりしたもんだから、過剰に反応してしまったわ。ごめんなさいね。それでなんの用かしら?」
気の強そうな顔が少しゆるんでホッとする。
「ランラン草を取ってきたんだけど――」
「ランラン草?!本当に?!」
「う、うん」
カウンターから身を乗り出してくるジイナちゃん。
見た目よりも大人っぽい話し方をするジイナちゃんには似合わない興奮の仕方にびっくりする。
「ちょうど在庫が切れて困ってたの!売ってくれるの?売ってくれるのよね?売るっていいなさい!」
私の肩をガクガクと揺さぶりながら、勢いよく迫ってくる。
必死に頷き返すと、「よっしゃー!」とこれまた似合わないガッツポーズを見せてくれた。
あまりにもその様子が第一印象と違っていて、つい頭を撫でてしまう。
それで我に返ったのか、真っ赤な顔でこちらを睨む顔はとても可愛い。
自分より小さい子と絡む機会の少ない私は少しお姉さんになった気がした。
「ちょっと!そのにやけ顔やめなさい!……んん、それでいくつあるの?」
「えっとねー売ろうと思ってたのは50本だよー。でも少しなら予備あるから必要なら言ってね。もっといるならお姉さんがとってきてあげるし」
「50本!ちょうどいいわね……ってなーにがお姉さんよ!私は399歳のレディ。貴方、魔力的にまだベビーちゃんでしょ。私の方がお姉さんよ」
399歳という数字にはびっくりしたが、ふんっと鼻を鳴らして得意気に胸を逸らしている姿は変わらず愛らしい子供だ。
「そうなんだ。ごめんね。じゃあジイナお姉ちゃんって呼ぶね。私のことはメリアって呼んでね」
可愛いなあと思いながら言うと、ジイナお姉ちゃんは少し嬉しそうな顔をして、すぐそれを誤魔化そうとしたのか変な顔になる。
「す、素直な子は嫌いじゃないわ!おおお姉ちゃん呼びを許可します!」
ビシッとこちらを指差して何故か格好つけて許可された。
素直な子は素直じゃないお姉ちゃんが大好きです。




