朝
パチパチ……
火。焚き火。
木から、白い煙が出て、炎がつく。
炎が上がり、火の粉が小さく吹き上がる。
飽きるほどずっと、見ていた。
その時、やかましいモーター音が聞こえてきた。
俺は目を覚ました。
焚き火、それは幼い頃に行ったキャンプの思い出だ。
いい夢だったのに。
俺は天井を見ながら、怒りが湧いていた。
モーター音は、裏の方から聞こえてくる。
カーテンをそっとずらし、確認する。
髪が白い隣の爺さんが、落ち葉をブロアーで吹き飛ばしていた。
海外製の高価なブロアー。
「……」
時間をみる。
六時。
俺が起きるにはまだ早い。
持っているスマホを使ってSNSに書き込む。
『クソジジイ。朝っぱらから、デケェ音がするブロアーで落ち葉の掃除。今やらんでもいいだろ』
リプがくる。
『特に海外製のブロアーは日本みたいに小さい家を想定してないからやかましいよね』
よくわかってるじゃないか。
俺は少し気が楽になった。
その時にはブロアーの音が聞こえなくなっていた。
再びベッドで横になり、少しだけでも休もうかと考える。
すると裏から、またさっきの音が聞こえてくる。
しばらく鳴って、止まる。
止まっているかと思うと、うるさくなる。
うるささに慣れてくると、静かになる。
こっちは落ち着きたいところをわざと外してくるように思えてイライラする。
収まりかけていた怒りが、また湧き上がってくる。
機械の何かが壊れたのか、ブロアーから出る大きな音が止まらなくなった。
パチパチ……
ブロアーの音に混じって、焚き火の爆ぜるような音が聞こえた気がした。
「婆さん、婆さん、これどうやって止めるんじゃ!?」
ブロアーの音に負けないように、爺さんも大声で叫ぶ。
うるさい。
イラつく。
「くそぉ」
俺はSNSに書き込んだ。
『壊したのか、使い方が分からないのか、近所の爺さんのブロアーが鳴り止まない。本当に寝てられない』
書き込み直後に音が聞こえてくる。
パチパチ……
なんだろう、現実ではないような気がする。
音がする方向を探そうとするが、わからない。
「?」
スマホの周りに煙が見えた。
煙はゆっくりと窓の方へ漂う。
窓は開いていないはずだが、貫通するように消えていく。
時間をみると、もう起きて着替える時間だった。
俺は足で床を叩いた。




