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第2話 

長兄マウス 次兄ドリス 末弟トリス。父であり全能の神であるジアスの頼みで3人の兄弟は地上に降りた。


しかし、3人ともまだ神としては半人前だ。しかし、長兄のマウスには計り知れない怪力がある。次男のドリスには知恵、末弟のトリスは不思議な力が備わっていた。そして3人は他の神々と同様に永遠の命を持っている。


地上に降り立った3人は途方に暮れていた。「いったい、どうやってマーラの肉体を見つけろというのだ?」長兄のマウスが切り出した。


次兄のドリスが答える。「マウス、マーラの捨てセルフを思い出してみてくれ。マーラは「人類を邪悪な存在にしてやる。」と言ったんだ。おそらくマーラは人間の体を乗っ取り、何かとんでもなく邪悪な事件を起こすだろう。人並外れて邪悪な人間が現れたら、その人間を捕まえればいいはずだ。」


末弟のトリスもドリスに同意する。「さすがドリス。俺もそう思うよ。」


長兄のマウスは「しかし、いつ現れるか分からない相手を待つなんて気の遠くなるような仕事になりそうだな。」


トリスはマウスをなだめるように言った。「時間はかかるだろうけど、それしか方法はないだろう。気長にやって行こう。」




しかし、マウスの言う通り、何も起こらない日々が永遠と続いた。


その間に地上の人口はあっという間に膨れ上がり、人類は世界中のありとあらゆる場所に住み着いた。


人口が集中した場所には国ができて、そして文明が栄えた。文明が栄えると強大な権力を持つ王が現れ始めた。


その中には残虐な王も現れたが、その王たちの中にマーラの邪悪な影を見つける事は出来なかった。


しかし、ついに3兄弟のもとに恐るべき王の噂が届いた。



その王は初めに義理の弟を殺害した。次に母、妻、後妻を殺害し、ついにはキリスト教徒300人に無実の罪を着せ、生きたまま焼くという暴挙に出たというのだ。


次兄ドリスは叫んだ。「間違いない。その王の体はマーラに乗っ取られている。もはや人間に出来る所業ではない。」


3兄弟は急いでローマに向かった。しかし、3人がローマに到着した時にはすでに決着はついていた。


王はその残虐さから孤立無援となり、一人で別荘に身を隠していたのだ。


3人はその別荘に入り込み、王と対峙(たいじ)した。


3人が王の姿を見た時、その王はマーラに乗っ取られていることがすぐに分かった。王の体から邪悪な気が(あふ)れかえっていたからだ。


次兄のドリスが王に向かって叫んだ。「何という恐ろしい事をしたのだ、お前は。」


「私は王だぞ。私が何をしようが私の勝手だ。」その王はこの期に及んでも悪びれる様子すら見せなかった。


マーラに乗っ取られている者に何を言っても無駄だった。長兄のマウスはその怪力で王を取り押さえ、末弟のドリスがその不思議な力で、王の体の中からマーラの体の一部を取り出した。取り出されたのはマーラの左脚だった。


3人はジアスから預かった「神の箱」の中にその左脚を入れて封印した。


左脚を取り除かれた王は、正気を取り戻したのか訳が分からない様子だった。


ドリスはその王に王自身のやってきた残虐行為の全てを告げた。


王は自責の念に耐えられず、自ら剣を(のど)に突き刺し自害した。


その自害の様子を見ていたドリスは「そうなんだ。普通の人間であれば、こんな残虐な行為に自分自身が耐えられる訳がないんだ。」そう言って黙ってしまった。


この残虐の限りを尽くし、30歳で自害した王こそローマ皇帝 暴君ネロ である。



つづく

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