あいの聖女に祝福を
「良いお友だちを持っているのね、ネルソンさん」
ヒルダの姿が見えなくなると、ドローレスは花束に顔をうずめた。
「私たち、仲良くなれそうだわ」
ドローレスは楽しそうに笑った後、少し迷いながら付け足した。
「実はね、私、少しだけヒルダさんに嫉妬していたの」
ドローレスはその事を恥じ入っているようだった。
「ネルソンさんがヒルダさんの事を大切にしていたから、私は二の次なのかな……って」
「彼女は友だちだよ」
ネルソンが優しく言った。
「不安にさせてごめんね」
「いいの。私が勝手に勘違いしていただけだから」
ドローレスは慌てて弁解した。
「私、やっと分かったの。ネルソンさんが愛してくれるのは私だけ。あなたの愛は私だけのもの。……そうでしょう?」
「もちろん」
ネルソンはドローレスの髪をひとふさ取った。指に巻き付け、そっと頬ずりをする。そんなネルソンの頭を、ドローレスが藍色の指輪のはまった手で撫でた。
「イヤリングは捨ててしまったけど、ドローレスさんは、やっぱり聖女だったんだな」
ネルソンはドローレスの髪を弄びながら囁いた。
「あなたといて不幸だった時なんて、一瞬たりともなかったんだから」
そう感じているのはネルソンだけなのかもしれない。だとするのならば、ドローレスは自分だけの『青藍の聖女』だったのだろう。ネルソンにだけ愛と祝福をもたらしてくれる存在だ。
滑らかで艶やかな美しいドローレスの髪。そのどこまでも濃厚な藍色にネルソンは口付けた。
こうして触れているだけで吸い込まれてしまいそうな濃藍は、聖女の証だ。きっとネルソンは、ドローレスと初めて会った時から、彼女の色に手繰り寄せられていたのだろう。そして、心を染め上げられた。
一生涯落ちる事のない色に。
この祝福された麗人の、深いあいの色に。




