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アタシは邪魔されないようにネコノミコンをしっかりと抱き締めながら、マーリンの横に立ってた。
マーリンの前にはアタシが教えた召喚術用の祭壇。
三流のクセにマーリンの塔にはいろんな材料や触媒、マジックアイテムが豊富にあって、ちょっと信じられないけど1時間程で準備が完了した。
いける!
これはいけるぞ!
モルガングレムスをアタシのものにしてミーナヘイムへ帰還、そしてアドロポリスの神々を血祭りにあげてくれるわ!!
「次はーこれでーす。それからこの呪文を唱えてー」
アタシの色気にマーリンはすっかりやられてる。
素敵な女神じゃなく、次元をも揺るがす魔界の獣が出現したとき、どんなマヌケ面になるのか見ものだ。
まあ、カッコいいから命だけは助けてやろう。
「ミューちゃん、ちょっとオイラの話を聞いてよ!」
ネコノミコンが騒いだ。
きさま、まだ生きていたのか!?
全てが終わるまで静かにしていろ!
「グゲッ…。く、苦しい!」
「ミュー、これでいいかな?」
「はい、はい! それでいいですよー。素敵!」
よしよし。
これで後は術者の血を杯に溜めて最後の呪文を唱えるだけ!
アタシはナイフをマーリンに渡した。
「血で杯をいっぱいにしてー」
マーリンが右手に持ったナイフの刃を左手のひらに当て…