53
「私は『カルナディア七傑』の1人、『赤毛』のアドリス。こちらは」
アドリスがドラゴンの背に乗った女を指した。
「『竜槍』のシスティナ」
システィナが手綱を引くとドラゴンが低く唸った。
「お前が私たちの欲しい物を持っているのは分かっている。渡してもらおうか」
アドリスがマーリンに言った。
「そうですね」
マーリンが答えた。
言ってやれ!
何回、来ても無駄だって!
5人もやられてんだから、そろそろ気づけよ!
言ってやれって!!
「差し上げましょう」
そうそう!
帰れ、帰れ!
さっさとそれを持って…ええーっ!!
緑の宝石、あげちゃうの…!?
せっかく集めたのに!?
マーリンの手から、今まで集めた緑の宝石が浮き上がった。
アドリスの出した右手に宝石が飛んでいく。
「賢い選択だ」とアドリス。
アドリスがブツブツと呪文を唱えだした。
そして。
消えた。
帰った?
「あなたも、ここにもう用は無いでしょう」
マーリンがシスティナに言った。
システィナが首を横に振る。
「お前に殺された仲間の仇を討つ」
「その考えはあまりオススメしませんね。おそらく『カルナディア七傑』はアドリスが発起人でしょう? 彼がどのような甘言、あるいは恐怖であなたを従わせているか分かりませんが、目的の宝石を手に入れた途端、姿を消したのをおかしいと思いませんか?」
「何の話だ?」
システィナが顔をしかめた。
「アドリスは宝石を使って、彼の主人を呼び出すのが目的。あなたは用済みです。あなたと僕が戦う理由は、もうありません。そうでしょう?」




