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 アタシは、たった1人でアガーテ山の山道を下りてた。


 マーリンとネコノは居ない。


 魔方陣も使えないから、自分の足で山を下りるしかなかった。


 ただの村娘の足腰に、この下山はかなりこたえる。


 あのクソメガネ、ホントにアタシを置いてきぼりにしやがった!!


 サイテーだよ!!


 そりゃあ、アタシは裏切ったよ!!


 回数も1回や2回じゃない…でも、今回は仕方なかったじゃん!!


 あれだけマーリンがやられればフツー、次の手を打つよ!!


 そうじゃないとアタシとネコノが殺されちゃうじゃん!!


 それなのに、あの変態エロメガネ!!


 何が「僕も堪忍袋の緒が切れました。もう、終わりにしましょう」だよ!!


 スカした顔してんじゃねえよ!!


 勝手に終わらすな!!


 顔がムカつく!!


 寝グセ、直せ!!


 あー!!


 めちゃくちゃ腹が立つ!!


 下り始めたときは真上にあった太陽が、とうとう沈んだ。


 岩だらけの曲がりくねった山道で辺りが暗くなると、何だか不気味だ。


 朝以降、何も食べてないからお腹か減った。


 さっきから何回もグーグー鳴ってる。


 気温も急に下がってきた。

寒い…。


 てか、この山、いつになったら麓に着くの?


 このままだと餓死するか凍死する。


 考えてみればアタシはホントに無力だ。


 この身体だと何も出来ない。


 こんなことなら魔法の練習でもしておけばよかった…。


 でも、この身体にされたのは白い部屋の女のアタシに対する罰だから、そういうパワーアップみたいなのは、もしかしたら禁止されてるかもしれない。


 贖罪するどころかアタシは死にそうだ。


 うん?


 なんか狼みたいな遠吠えも聞こえてきた。


 そうだ、もしも何かに襲われたら、その時点でアタシは終わる。


 モルガングレムスを召喚して、アドロポリスの神々を倒す目標とのあまりの差にアタシは悲しくなった。


 あれ?


 顔が濡れてる?


 アタシ、泣いてるのかな?


 違う!!


 雨だ!!


 雨が降ってきたんだ!!


 くそーっ!!


 踏んだり蹴ったりじゃねーかっ!!


 天もアタシを見放した!!


 このまま濡れたら、ホントに凍え死ぬ。


 アタシは雨をしのげる場所を探した。


 道の途中で、人が入れる大きさの洞窟を見つけた。


 慌てて中に駆け込む。


 これで雨に濡れなくてすむ。


 さ…寒い!!


 少し濡れたせいだ…。

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