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「雑魚キャラがオレ様に説教か。お前は2つ、間違いを犯した」
ワーウルフが指を2本立てた。
「ひとつはこのオレ様、カルナディア七傑の1人『餓狼』フェンリル様に生意気な口をきいたこと」
カルナディア七傑!?
何だか、めちゃくちゃヤバそうなことを言い出したぞ!
これはマズい状況なのでは?
アタシは3歩、後ろに退がった。
マーリンの背後に移動する。
「2つめはオレ様を怒らせたことだ。兄弟たち! そいつらを殺せ!」
決断の時が来た!
アタシは思い切り助走をつけて、マーリンの背中に頭突きを食らわせた!!
「わっ!!」
マーリンがヨロヨロとフラついて地面に転がった。
この軟弱めが!
「フェンリル様!」
アタシは必死に呼びかけた。
「アタシは魔女ミュロクロノス! この男とは仲間でも何でもありません! いや、むしろこいつはアタシをこき使う敵! どうしようが、ご自由になさってけっこうですので、どうかアタシの命だけはお助けください!」
フェンリルは一瞬、面食らった。
そして。
「ぎゃははは!」
笑いだした。
「何だ、何だ? 仲間割れか? 面白い奴。いいだろう、まずは男を片付けるか」
フェンリルが右手を上げてサッと下ろした。
「殺れ!」
狼たちが一斉にマーリンに襲いかかる!
アタシは無視された。
ホッ。
助かった。
ナイス判断、アタシ!
地面に座り込んでたマーリンが何か呪文を唱えるのが聞こえた。
す、すごい早口だ。
こ、これは長くて時間のかかる呪文を素早く唱える高速詠唱魔法では?
かなりレベルが高い魔法だ。
ま、まさか…?
マーリンの身体の周囲に突如、炎の壁が出現した!
アチッ!
これは炎の防御呪文!!
マーリンに襲いかかった前衛の狼たちは炎に呑まれ、瞬時に燃え上がった。
次々と後ろの狼たちにも炎が燃え移る。
狼たちは全滅した!
炎の壁が消えるとマーリンが立ち上がって、ローブについた土をパンパンと払う。




