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頑張れ王子

「食糧の減りが早い。何が起こっている?」

「トリキアの食糧が不足し、王国側の食糧を分けているようです。」

「トリキアへ抗議と調査の依頼を!急げ。それから補給の予定を早めるぞ」


「…ハイルライドのクーデターはどうなった?」

「未だ実権を完全に奪取出来ないようだ。討伐隊への影響は計り知れんな。ただ軍部の此方方面へのラインは混乱なく生きているらしい。それだけでも良しとせねば」

「国という甲羅の中に引っ込んでる臆病な亀達が足を引っ張ってるんだろ。先が思いやられるな」


前線支援基地に、ルーカスとレーベルは居た。

作戦本部席に座っているが、発言権はない。

そのため、軍のお偉いさんよりいない人扱いをされている。


「伝令!補給路が周りこんだ魔物の群れにやられました。殲滅はしたものの、輜重用の荷車と馬が被害を受けました!」


「くっそ、魔王支配下の魔物は知恵がまわるという文献は本当であったか。まるで人のような知略ではないか」


「感心している場合か!前線が人の領域に食い込めば、被害は拡大する。奴らを勢いづかせるな!」


「輜重用荷車の修理と新しく補充を。馬もどうだ?数は足りているか?」


慌ただしく基地内のテントには報告や伝令の兵が出入りし、将校達はあがってくる報告を忙しく分析し決断し作戦を立てていく。


「部隊再編時に…一部、統率が難しい者ばかりを集めて小隊を作成。これが成功。目覚ましい働き?」


「編成の自由を与えたが現場で何を遊んでいるのか?」


魔物によって攻撃方法が違うため、現場に部隊編成を自由に組み替えられる権限を与えているが、何とも変な報告があがってきた。


「光魔法に優れた少女を中心とした部隊?なんだそれは…」


一番の上座に座るこの将校は右眉の上に斜めに傷が走っている苦味走ったベテランの中将だ。


ルーカスとレーベルは緊張した面持ちで、彼らの采配を見守る。


「ともあれ、最初の接触想定線まで押し戻せたな。では解散!次の作戦会議は日の出後とする。各自次の会議までに至極滞りなきように」


「「至極滞りなきように」」


ルーカスに形ばかりの敬礼をすると、将校達は己のなすべき事をする為に作戦会議室を出ていく。


「それでは殿下、私も下がりますので」


部屋を下がろうとした中将をルーカスは呼び止めた。


「中将、何か私に出来る事があれば…」


「御身が健やかでありさえすれば、何も」


要はお前の出る幕はないという事だ。


ルーカスもそのことに気が付いてはいたが、はっきり言われるとそれ以上の事を求める事が出来なかった。

何よりも、中将はここの総責任者であり、彼の身をこの場に推し止める事は邪魔をするという事と同じだ。例え王子と言えども強権を発動するのは憚られた。


「そうか、何かあれば言って欲しい」


「は、ありがたき幸せ」


それでもルーカスは言い募り、中将に慇懃に返礼を受けただけに留まった。



「…これも罰のうちか」


「…現場から必要な何かを学んで来いと言う穿った見方も、はは、無理ですか」


「それでも、何かを成し得なければ挽回も出来まい」


「そうですね。幸いにも我々にはここに自前の頭があります。何とか考えてみましょう」


レーベルは己の頭をつついて見せた。


幸い、作戦会議で用意された資料はそのままだ。


「なるほど、補給路を断たれたのか」

「兵站を制するものが戦いの勝者たるとよく言ったものです」


彼らは彼らで足掻いていた。
















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