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そのころの現場では

「国内の拠点は、ほぼ問題なく稼働出来ます」


「備蓄状態はいかほどの物か」


「3年、いえ2年は問題なく稼働できるかと」


「短いな。もっと余裕が欲しいところだ」


「はっ。順次補給してまいりますので」


「武器と人の手配はどうだ?」


「はっ。民間より志願兵を募り、数を調整しております。武器については国内だけでなく他国からのルートも押さえました」


「我が国以外の拠点はどうなっている?」


「まだ足並みが…過剰に用意できているところもありますし、逆に…「大変です!マ・ハイルライド国でクーデターがっ!!第3王子が軍部と王宮を制圧したと!」…それどころじゃない所もあるみたいですね」


「第3だろうと第何だろうと構わんが、使えるのか?そいつ。こんな時にやらかしおって」


上の首が挿げ替わったとして、今までの関係が劇的に変わる事は少ない。今は「魔王の脅威」を払拭する方が優先で、人族同士の覇権争いは一時休戦中だ。

問題は、新たな王が「使えるか使えないか」である。


「さっさと後継者を決めておかんからだ、ルモンド・マ・ハイルライドの奴」

「ルモンド王は殆どボケていたという噂ですからな。何故正気なうちに後継を決めておかなかったのか」


ここは王宮内の組織「対魔王円卓賢人会議」の場である


円卓に座るは国王のバーエレン・アスタ・フィストリア、宰相のマティス・ホーン、宰相補佐のウルノ・オルトロート、それと白髪の賢者っぽい人物2人、それと軍部の偉いさん、大臣数人。


「陛下それは、天に唾ではありませんかな?」


ちくりと賢者っぽい人物の一人に言われ、国王は鼻に皺を寄せた。


「ダメだ。ダメだ。ルーカスにあの時のようなやらかしを再びされたらたまらん」


「立場が人を作るとも言いますし、そろそろお許しになっても…」


大臣の一人も、親子の間をとりなそうと言うが王は拒否をした。

それには傍らの宰相も同意のようだ。まぁ彼の息子が王子の愚行を進んで手助けしたのだから仕方がないのだが。


「…それを言うか?それこそ愚の骨頂じゃ。ファーミア侯爵にどれほど詫びを積んだか…」


「王都防衛の要の要塞の着工をお命じになったのでしたな。その褒美に何をお与えになるおつもりでしょうか?」


「王領のひとつと侯と子息に『王国防衛』の役目を申し付けるつもりである。つまりは遠征軍には組み入れぬという事よ」


「それは…また、反発する者も出るのでは?」


「そのための要塞と防壁の着工よ。ここを拠点に魔物を食い止めよと命じてある。防壁はファーミア侯爵領の一部をも覆う形で作り上げる。奴にとっては自領をも守る物という形になろう」


つまり魔王軍が進軍してきた場合、最終防衛ラインをまかせるという事になる。

遠征軍に組み込まれる他の貴族達には不満が出るであろう。


「明後日の魔王対策国家間連絡会議で、わが国の準備は万端だと発表することにしよう。さて「ジェラルド将軍の麦」じゃな。その辺りが万が一でも魔物達の進行ルートになる可能性はどうだ?」


「可能性は低いとはいえ、防衛も必要かと。ですが予算が厳しいですな」


「それはわが弟、クラウド・フィストリアに命じるとしよう。王家から支援を出す。その代わり、各貴族家から討伐隊のための準備金をひねり出させろ、国民には忍耐をさせるが、魔物に襲われ蹂躙されてからでは文句さえも言えぬのだからな」


「王よ…」


「この魔王顕現から魔物の暴走の騒ぎでいくつもの王朝が過去に消えてきたのだ。魔物にのまれる国、魔物を何とか撃退した国、区別なくな。覚悟は決めておる。例え王国の国庫が空になっても、民を守る。民が残れば、国の名前、統治するものが変わっても、人の営みというものは変わらぬのだからな」


この言葉は大臣達、とりわけ軍部の者の心を揺さぶったようである。


「「我々も、この身が砕け散るその時まで、この身をこの国に捧げます!」」


「うむ。励めよ。わが王国のため、わが民のために」


賢人会議も終了し、大臣達が出ていった後、賢者っぽい一人が去り際に王を振り返っていった。


「まだ国庫には余裕があるようですな?王はどのような錬金術を手になさったのやら」


「錬金術など、そのような夢の話をなさるのか?賢者様ともあろう方々が」


ニヤリと悪そうな笑みを浮かべて王は言った。


「いやいや金が湧き出る甕をたまたま手にいれただけで、まぁこれは秘密にして頂きたい。枯れてしまっては何ですしな」


宰相と二人になると、王は宰相に命じて言った。


「例のものを呼び出せ」


「はい。すでに控えさせております」


「金の湧き出る甕だ、大事にな」


「はい。もちろん」





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