頑張らない令嬢がいろいろとやらかします②
野生のワイバーンを捕獲し、『魔物を従わせる効果のある魔道具のアクセサリー』(王国金貨10000枚分)で従わせ、自領にあるお家に帰る途中、シルビアは街道の上を横切った。
この辺りは小さな村がポツポツと点在するだけで、付近にある森に隠れて賊の根城があった所である。
もちろん行きにシルビアは彼らのいくつかのグループを捕獲して深い穴を土魔法で堀り、置き去りにしていた。近くの冒険者ギルドへ報告してあったので、今頃は王都にしょっぴかれているはずなのだが。
「ん?あれは?」
その街道上で、荷車を数台を連ねたグループが複数の小さな獣に襲われていた。
「んー」
どう見ても農民達のグループのようである。護衛は2人で苦戦しているようだった。
「あー護衛代節約しちゃったのね」
賊が一網打尽にされたとの噂か何かを聞いて、護衛代をケチったのであろう。
「あーそうか。今までは賊の人が根城の近くの魔獣を狩ってたから…」
どこかに魔物が湧きやすい場所でもあるのだろう。今までは自分達の安全のために、盗賊が根城近くの魔物を狩っていたのだが、彼らがいなくなったので、魔獣が調子に乗って街道まで出てくるようになったのだ。
「うーん。難しいねぇ。ひとつ改善すると次々と影響が出てくるという。ギルドにこの辺を見まわるように村から依頼を出してもらわなきゃねぇ」
呑気にそう言うとワイバーンにその頭上でホバリングさせる。
「あのぅ。助太刀いたしますかぁ?」
拡声魔法を使い声をかけるがとても頭上に救援がいるとは分からないらしい。
だが助かったとばかりに「頼む!」との声。
「アイスニードル!」
またも、魔法発動時にうっかり手のひらを突き出してしまい、ムムムとなるシルビア。
「え?どこから?」
護衛も農民達も辺りをキョロキョロするが、頭上になかなか気が付かない。
「ワワワ、ワイバーン!!」
農民のひとりが宙にいるシルビアに気がついて指をさしたので、ようやくみんなの視線がシルビアに集まった。
「あのぅ。私が倒した分の魔石も差し上げますので。冒険者ギルドにこの辺りの見回りを提案してもらっていいですか?」
「「え??」」
「私、早く帰ってこのコの面倒を見ないと!なの。後はよろしく~」
ワイバーンを飼うためにいろいろ用意しなくてはならない。
飼育小屋しかり、調教師の手配しかり。病気のチェックや健康診断も。
一応、一番若くて元気そうなのをゲットしてきたつもりだが。
「「ええ??」」
どうやら助けは上にいるワイバーンを操っている者らしいが、その背にいるのは女の子らしい。王国竜騎士ではなく、女の子だ。
混乱をしている農民達とその護衛が頭上を見上げたまま口を開けているとシルビアはもう彼らに興味がなくなったと見え、ワイバーンにその場から飛び去るように命令していた。
ワイバーンを使役しているのは王国広しといえども、王国竜騎士団だけだ。
しかもそれほど頭数は多くない。
何故女の子がワイバーンに?
え?どういうこと??
唖然とする彼らを置き去りに移動をはじめたシルビアは、少し遅れて大きな声をあげていた。
「あっ!!男の子か女の子か、この子ったらどっちかしら??」
気にするのそこ???
冒険者のひとりがそう突っ込んだとか突っ込まなかったとか。
とにかく、「ワイバーンに乗った女の子」の話は、彼らがかけこんだ冒険者ギルドを通じて国王の耳にまで入るのであった。




