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#8 野宿は嫌だ!野宿は嫌だ!!

#8 野宿は嫌だ!野宿は嫌だ!!


「またまた帰って来たぜ、商店街。結局、身を隠すとなるとここが一番だよな」


 軍の連中から逃げ切った俺たちは、またも商店街へと戻って来た。

 ここなら人混みに隠れられるし、軍の奴に見つかったとしても路地に逃げ込むことができるから、俺らにとってこの道は生命線。


 しかし、流石のルミナも限界がきているようで。


「でも、これ以上歩き周るのもそろそろ限界。陽も落ちてきてるし、どこか泊まれる場所を探さないと」


「そうだな。この機に乗じて宿くらいは探したいもんだが... そもそも、金の無い俺たちは宿に泊まれるのか?」


「...野宿」


「終わった...」


 御年17歳。まさか野宿をすることになるのか?

 冷たい夜風、冷たく固い地面、そして隣には冷たい美少女...


 そんなのゴメンだ。何としてでも屋内で寝たい。

 フカフカのベッドで温かい毛布を被って朝を迎えたい。


「おい、お前金持ちなんだろう? 紙っぺら一枚でいいからよぉ、よこせよ、なぁ」


 すると、裏路地から物騒な声が聞こえてくる。

 話の内容的にチンピラに絡まれているようだ。

 うー、怖い怖い。そりゃあ異世界にもチンピラくらいはいるよな。


「ねぇ、あなた聞いた?」


「ん?」


 はて、何のことだろうか。俺の耳にはチンピラの声しか聞こえなかったが、それのことだろうか。

 いやそうか、ルミナはこう見えても『HARMONIA(ハルモニアー) 』。

 世界を調和する者として、ああいうのは見過ごせないってか。

 なんだ、カッコいい所もあるじゃねえか。


 そういえば、俺を助けた理由も『可哀想だったから』って理由だったな。本当かはわからんが...

 コイツにはコイツなりの正義ってもんがあるのかもな。


「あの人、金持ちなんだって。助けたら報酬貰いましょう」


「えっ」


 さっきの言葉全部撤回。クズだ、ただのクズだった。

 ま、まあ見捨てないよりかはクズではないか...


「なあ、良いだろう? さっさと渡せよー」


「僕だって努力して稼いでいるんです。このお金は、みんなが汗水流して稼いだ大切な()なんです! あなた達のような人には一銭も渡しません!」


「チッ。やっちまえ、お前ら」


 二人の男に刃物を突きつけられる。

 だが、そこには二人の救世主(・・・)がやってくる。


「ガハッ!!」


 一人の男がその場から倒れる。


「ん? どうした! 何をやっている?!」


「グハッ!!」


 もう一人の男もその場から倒れ、残るは先程から色々と言っていたチンピラだけに。


「なんだ! 何が起こって...!」


 チンピラは終始、困惑していた。

 何故なら次々と自分の部下が倒れていくのだから。


 まさか、美少女が一瞬で首をチョップして気を失わせているなんて思いもしないだろう。


 そして、美少女はチンピラの前に姿を現す。


「だ、誰だ! お前は!! コイツがどうなっても...」


 言葉を言わせる間もなく、ルミナはチンピラを無力化させた。

 ふっ、流石としか言えないな。

 全く、恐ろしい美少女だ。


「大丈夫? 怪我はない?」


 そしてルミナは、まるで天使のように手を捧げ、優しく声をかける。

 俺の時も、そう言うので良かったんだぞ?ルミナさん。


「え、えぇ...」


 絡まれていたお金持ちは、この状況に困惑しているようだ。

 それはそうだ。見ず知らずの美少女に助けられるのだから。

 わかるぞ、お金持ち。俺もそういう気持ちだったのだ。


「助けてくださりありがとうございました。なんとお礼を申せば...」


「いえ、お礼なんてそんな... お礼してくれるならありがたくいただきます」


 途中で俺たちの置かれている状況を思い出したのか、言うことがガラリと変わった。

 でも、こういうのは助けた側が求めちゃカッコ悪いから相手の気持ち次第だよなぁ。

 あまり期待しないでおこう。


「是非、お礼させてください! お金を渡すのは少し生々しいですし、よければ僕の経営する宿に無料で泊まっててください」


「「え」」


 嘘だろ...?今、俺たちが求めてたヤツがそのままきた。

 なんという偶然、なんという奇跡!

 上手くいきすぎて逆に怖くなってくるな。


 ここまで上手く物事が進んでいるんだ。

 このお金持ちには悪いが、ボロ宿だったりするんだろ。俺たちをはめているんだろ。

 きっと満足できるものじゃないんだろ。


 そう不安になりながら、俺たちは宿へと向かった。

 そこに広がっていた光景は...


「「......」」


「ここが、僕が経営する宿泊所です!」


「なぁ、ルミナ。俺たちは夢を見ているんじゃないよな」


「また、あなたの腹殴って確かめた方がいいかも...」


「それは、やめてほしいが、なんというか...」


「「最高だ」ね」


 そこには、まるでどこかの異世界ファンタジー作品で出てきそうな、でっかい豪華なお城が建っていた。

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