#3 俺の学校に美少女が転校してきました。
「...ん? ここは車の中か...?」
ルミナにハニートラップをかけられ、気を失わされた俺は、気づけば車の後部座席で横にさせられていた。
あれから何分、何時間経ったのかはわからないが、今の状況はわかる。
間違いなく誘拐されているな、これは。
いくら命の恩人と言えど、あの女、許さん。
そして俺は、運転席にいるであろうルミナに文句を言うために起き上がるのだが...
「あ、起きた。全然起きないから死んじゃったのかと思ったよ〜」
そこには、見知らぬ若い男がいた。
「えっ。誰ですか」
「あ、驚かせてごめんね〜? 僕はルミナの連れの者さ。今、彼女は手が離せなくてね。代わりに僕が子守りしてたんだよ〜」
「子守りって...」
確かにまだ子供だが、その言い方には少しイラッとした。
というか、人の気を失わせといて、手が離せないとはどういうことだ?
あまりにも不条理だ。
「じゃあ、天海くんも目を覚ましたことだし、少しお話しようか。あ、心配しなくても学校には間に合わせるよ? なんなら今、学校の裏に車停めてるから話が終わり次第、直ぐに行けるよ」
「それはどうも。で、話って?」
「ん〜、まずは僕とルミナについて知ってもらおうか。正体のわからない人に色々と言われても信じて貰えないだろうからね」
「それはそうだ。早速、お前たちが何者かを教えてくれ」
「ルミナ含め僕たちは、ある組織に属している。その組織の名は」
【HARMONIA】
「ハル、モニアー...?」
「古代ギリシャ語でハーモニー、『調和』を意味する。僕たちはこの世界を調和させるために活動しているんだ」
「調和...」
「この世の中には調和を乱す、愚か者が沢山いてね? それを僕たちは駆除している」
「駆除って... そいつらは人間なのか?」
「うーん、人間の形をした化け物...かな」
「具体的にはどういったところが化け物なんだ?」
「彼らは人知を超えた力を使い、罪なき人々を残虐している。だから化け物かな」
「確かに化け物だな... ただ人知を超えた力って?」
「信じられないかもしれないけど、この世界では稀に、特殊な能力をもって生まれる人間がいる。その能力は過去に実在した偉人、あるいは妖怪、神などの能力だ」
「例えば偉人だったら、戦国時代とかに有名だった武人の力だったり。妖怪なら、炎出すヤツの能力得ていたり。神だったら、なんの神かによるけど、その神にちなんだ能力扱えたりとか」
「ちょっと待て、意味がわからん。そして、偉人、妖怪、神の互換性も無い気がするのだが...」
「それに関しては僕たちにもわからないんだ。それが遺伝子的なものなのか、あるいは転生してきているものなのか。どちらにせよ、そういうヤツらがいるってことは頭に入れて置いて欲しい。あ、もちろん機密情報だから他人に漏らしたら、ルミナに殺されるから注意してね」
「なぜルミナ...」
「ルミナは君の飼い主だらね〜」
「アイツのペットになってたまるか!!」
やっとコイツらの正体が掴めてきたが、蓋を開けてみればわけがわからんな。
俺は今、ファンタジー作品の中に入り込んでいるのか?
この世の中にはヤバイヤツらがいるということはわかったが、そいつらを駆除するための組織の人間がなぜ俺を守る?
それも、聞かなければ。
「なあ、なんでアンタたちは俺を守る? 俺を守ることがこの世界の調和に繋がるのか?」
「うーん、それはまだ言えないかな。詳しくはまた今度話そう」
「なんだそれ、1番肝心な話題なんだが?」
「あ、ほら。もう時間無いよ! 学校に行ってらっしゃ〜い」
「なぜ誤魔化す... あと一つだけ聞かせてくれ。俺の命を狙っていた黒服はいわゆる調和を乱す愚か者だということはわかるんだが、ヤツらは何者だ?」
「あの黒服はただの愚か者組織の下っ端一般ピーポー。んで、その話もまた今度。今はあまりにも時間が無さすぎる」
「わかった。また今度、ゆっくり話させてくれ。なんせ俺の命がかかってるんだからな」
「ああ、そうだね」
話を終えた俺は黒い車から出る。
「あ、心配しなくとも僕たちの組織の組員が学校周りを監視させてるから安心して学校生活を送ってね〜」
「それはどうも」
─黒い車をあとにした俺はやがて教室につく。
全く、朝から色々あったせいで憂鬱だ。
「そういえば、あの胡散臭い若い男の名前を聞くのを忘れていたな」
まあ、それはいいとして。
HARMONIAという組織は、さっき言ってた人間を駆除すると言っていたが、組織のヤツらも人知を超えた能力を持っているのだろうか?
人間相手に通常兵器が通用するとは思えないのだが...
そんなことを考えているうちに、『キーン、コーン、カーン、コーン』っと鐘が鳴り、SHRが始まる。
いつも通り適当に起立して、礼をして席に座り、机に突っ伏していると。
「急だが、今日からうちのクラスに転校生が来る」
というような内容の声が先生から聞こえてくる。
「急だな」
勿論、周りのクラスメイトもザワつき始める。
だが、俺は興味がないため、突っ伏したままでいた。
一瞬、俺の命を狙っているヤツらが転校してきたのかと思ったが、HARMONIAがそれを見逃すわけがないだろう。
「まあ、なんかあったら、またあの美少女」が助けてくれるだろう」
そう思いながら、耳だけ傾けていると。
「初めまして、西中から転校してきました。夜月 空です。よろしくお願いします」
『パチパチパチパチパチ』っと拍手の音が教室に響き渡る。
そして、その音に混ざって『美少女』だの『可愛い』だの『綺麗』だの、色々と聞こえてくる。
おいおい、そんなに美少女なのか?気になるじゃないか。
でも、俺は見ないぞ。
美少女だから見るというのは、俺のプライドが許さない。
「んじゃ、夜月の席は天海の隣の席な。おい、天海。困ってたら助けてやるんだぞ」
ん?なぜ俺の隣?
ああ、そういえば俺の隣の席のヤツ、なぜかは知らんが移動させられてたな。
まさか、転校生の席をわざわざ俺の隣にするために席を移動させたのか?
なぜ?
「おい、天海! 聞いてるか?」
「はい、わかりました」
俺は渋々、机から起き上がり先生に返答する。
そして、自然に今まで気にしていなかった転校生の方へ視線がいくのだが...
「え... お前は...」
そこには、俺がよく知る美少女の姿があった気がした。
______________________
〜あとがき〜
ファンタジー系の物語のハズなんですが、ラブコメ展開が多すぎますね。
ファンタジーを見たくて来てくれてる方には大変申し訳ないです。
ただ、徐々にファンタジー要素も増えていきますので、これからもよろしくお願いします。




