#1 死ぬかと思ったら美少女に助けられました。
「なんでこんな事に...」
俺は今、薄暗い裏路地で謎の黒服集団に銃口を向けられている。
なんで?なんか俺ヤバいことしちゃった??
俺はただの男子高校生。今日もいつも通り、学校帰りにコンビニへ寄って、買ったお菓子とジュースと共にアニメ鑑賞をしようとしていたのだが...
どうやら俺の人生はここまでらしい。
仕方ない。今日の23時に放映されるアニメは天国で見るとしよう。
でも、なぜ殺されなければならないのだろうか。こんな普通の男子高校生を殺して何になるのだろうか。
殺される理由くらいは聞いておくか。
「なあ、なんで俺の命を狙ってるんだ?」
「......」
え、沈黙?こういうのって大体、「ふっ。それは死んでから考えるといい...」とかそういうセリフがくるところじゃないの?
マジでなんで殺されるんだよ。せめて理由だけは教えてくれよ...
黒服が銃の引き金を引こうとする。
「ハハッ、さらば世界、また逢う日まで...」
「パーン」
銃の発砲音がこの薄暗い路地に鳴り響く。
あーあ。俺、死んじゃった。
案外、痛みを感じる間もなく死ぬもんなんだな。
いや〜、それにしても夜風が気持ちいい。
天国に昇るスピードってこんなに速いんだな〜。
こりゃぁ腕で俺を抱えて天国に行く天使も一苦労だ。
......ん?
何か違和感を覚えた俺は目を開けると...
「は?」
えっ、ちょっ、ナニコレ?!
俺、めっちゃ速いスピードで地上を移動してる?!
いや、違う。誰かが俺を腕一本で抱えて走っている。
...薄暗くて容姿が見えないが、香水のいい匂いがする。
「あ、あんた一体...」
「うるさい」
「え」
嘘だろ。辛辣すぎてビックリしたわ。
というか、この声質からして女性か?
いやそれは置いといて、よくよく考えれば助けてくれた恩人にあの言い方は失礼だったな。気を取り直して。
「た、助けてくれてありがとうございました。ところでお名前をお聞きしても...」
「うるさい」
えーー。ウソーン。
これは何言ってもダメだな。うん、もう諦めよう。
この人の目的はわからないがとりあえず大人しくしてよう...
「パーン、パーン」
お、おい!
めっちゃ後ろから銃弾が飛んでくるんだが?!
「あっぶね!!」
「あーもう、あなた本当にうるさいね」
「しょうがないだろ!銃弾だぞ、銃弾!!」
「はい、はい。そんなに怖いなら当たらないように射線を切るから」
なんでこんなに余裕そうなんだ?この人は。
当たったら死ぬかもしれないのに...
「しっかり捕まってて」
「いや、もう既にガッチリ掴まれているのですが...てかそれは?」
暗くてハッキリと見えないが何か銃のような物を持っている。
「あ、これ?これはグラップルガン」
「なんでそんな物持ってるんだ、よ〜〜〜!!」
グラップルガンを上の建物に向かって発射したため凄い勢いで上昇し、俺たちは月に照らせれ華麗に宙を舞う。
そして、月の輝きでようやく、俺を腕一本で持っている女性の容姿を確認することができた。
フードを被っていてはっきりとは見えないが、顔つきはまだ幼い少女で、髪はショート、色は綺麗な夜空と同じ紺色で、目は夜空に輝く星のような輝かしい黄色で、服は真っ黒なフード付きのローブ、ただそこから微かに覗く肌は真っ白。
「綺麗だ...」
ボソッとつぶやいてしまうほど少女はとても美しかった。
こんな美少女がなぜ俺みたいなヤツを助けたんだ?
宙に舞っていた俺たちはやがて建物の屋上に着地する。
着地した後も少女は走り続ける。だが目の前には柵が現れる。
「お、おい。この先は柵があって行き止まりだぞ!」
「え、飛び越えればいいじゃん」
「ちょっ、おい!!」
すると少女は一瞬で柵の上に乗り、それを踏み台にして加速し、隣の建物の屋上へ飛び乗る。
「お前、正気か?!」
「なに?男のクセに高い所、怖いの?」
「そういう問題じゃなくてだな?!」
もう本当に何なんだ。一体全体、何が起こってるていうんだ。
今日はただアニメを見ようとしていただけなのに...
「ここまで来れば大丈夫でしょう。ポイッ。」
「グハッ。って、『ポイッ』じゃねぇよ!もっと愛のある降ろし方をしてくれ...」
「え?あなたに愛なんて無いけど」
「そういう意味じゃなくてだな...」
この美少女。助けてくれた恩人であることは間違いないが、ここまで悪態をつかれると、そろそろ出るもんが出そうだ。まあ出さないけど。
そして俺は、月あたりの良いこの屋上でまた改めて質問をしてみる。
「なあ、追手からの追跡も免れたんだし、そろそろ聞かせてくれ。一体アンタは何者なんだ?」
「...まあ、いずれ知ることになるさ」
「?...どういう意味だ?」
「じゃあ私、帰るから」
「え、ちょっと待て。俺、ここから一人で帰るの?ここどこ?」
「スマホの地図アプリ使って帰れるでしょ。まさか私に抱えられながら帰れるとでも思ったの?恥ずかしい。恥を知りなさい。」
えー、言い過ぎだろ...
こんな理不尽があってたまるかよ。
普通、あーいうシーンで助けてくれる美少女で天使のように優しいヤツなんじゃないのか?
この美少女は天使というより堕天使だな...
助けてくれたのは間違いないが...
あ、そういえば助けてくれた理由を聞くの忘れてた。
「なんで俺なんかを助けてくれたんだ?」
「別に深い意味は無いよ。なんか可哀想だったから」
「可哀想だったからか...」
「なんか期待してたみたいだけど残念だったね」
「いや、期待ってなんだよ」
「じゃあ私、本当に帰るから」
「あ、最後にもう一つだけ!」
「ほんと質問多いわね。こんな美少女を質問攻めにするだなんて、アナタ、さてはモテないでしょ」
「ああ、俺は確かにモテない。この17年間で交際経験は無しだ」
「哀れね」
「......それは置いといて、キミの名前だけ教えてくれ。もちろん、名乗るものでもないとかは無しな」
すると彼女は少し間を開けて言う。
「『ルミナ』......じゃあね」
「あ、おい!」
彼女は屋上から飛び降りてどこかへ行ってしまった...
「ルミナ、か...」
名前からして本名ではなさそうだ。コードネームか何かかだろうか?
あの少女が何者なのか余計気になるな。
「さて、俺も帰るとするか...」
状況がまだ掴めない一方だが、とりあえず帰宅してアニメを観る準備をしよう。
こういう時は何も考えずにしたい事をすればいいのだ。
「えっと、まずは地図アプリを開いて経路案内を開始しなければ.......って自宅から5キロも離れてんじゃねえか!!あの美少女、一体どうなってんだよ...」
─翌日。
「あ〜あ、寝みぃ〜。あのアニメ面白いんだけど寝る時間が無くなるのが少々ネックだな。昨日も色々あって疲れたし、今日学校休もうかな...」
夜更かししたせいなのもあるが、昨日の事もありとても疲れた。その為、学校を休みたいところだが、今まで休み過ぎてるため、これ以上休む訳にはいかない。
こういう時のために休まなければよかったなぁ。
いや、こういう時ってなんだよ。もう起こらないでくれ。
「準備するか...」
憂鬱になりながら渋々、学校に行く準備を始める。
そんな時だった。
「ピーン、ポーン」
え、インターホンが鳴った?こんな時間に?一体誰だ??
...まさか。
俺の命を狙っていた黒服集団が家に来たのか...?
なぜ朝からこんな緊迫した空気にならなきゃいけないんだよ...!
「ピーン、ポーン」と、二度目の音が鳴る。
「...」
「ピーン、ポーン」、三度目。
「......」
「ピーン、ポーン」、四度目。
「.......」
「ピーン、ポーン」、五度目。
「.......!あーもう、うるせぇーー!!!」
俺は大きな声をあげて、ドアをおもっいきり開けた。
すると...
「ドン!!」っと銃声とは異なる、何か硬いものにぶつかったような鈍い音が鳴った。
疑問に思った俺は恐る恐る外を確認すると...
「え?お前は...ルミナ??」
そこには、頭を抱えてうずくまる、昨日お世話になった美少女がいた──。
〜あとがき〜
新連載です!
よろしくお願いします。




